【レドヒツ】ビター・スイート・ビター

@tkaruno
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2015-02-14 22:59:18

突発バレンタインネタ。
色々ご都合主義です。


* * * * *


「お嬢ちゃんからの預かり物だ」
 そう言ってヒィッツはレッドに何やら包みを手渡した。
「はン?」
「今日はバレンタインだったろう。日頃世話になっているからと、十傑集全員にチョコレートを持ってきたんだ」
 あいにくお前は任務だったからなとヒィッツは面倒くさそうに言い、そのままクルリと背を向けてキッチンの方へと向かう。
「なんでそのガキのチョコレートをお前が預かってるんだ」
「樊瑞から次の任務が私と一緒だと聞いたらしい。お前の帰還が夜だから私に預けに来たんだ」
 心底迷惑だと言いたそうな声でヒィッツは言う。
 だが任務明け早々に自室にも戻らず部屋に転がり込んできたレッドに、文句を言いつつも結局こうして酒や簡単な食事程度を準備している辺り、妙なところでお人好しと言うべきか。
 レッドはそんなヒィッツの後姿と手の中のチョコレートの包みを見比べていたが、やがて我慢できなくなったようにニヤリと口角を上げ、
「なあ、お前からはチョコレートは無いのか?」
 言いながら自分もキッチンへと入る。
「はあ?何故私が?」
 ヒィッツはレッドの方を見ることもせずローストビーフとチーズを挟んだサンドイッチを皿に盛り付けている。だがレッドはますます表情を崩すと、
「……今年のあのガキのチョコレートは手作りだったんだってな?」
 ヒィッツの手がピタリと止まる。
「だけど最初失敗したんで、途中で一個分材料が足りなくなったって?」
 レッドはヒィッツの傍らに立つと、テーブルに手を着いた。そのままヒィッツの顔を覗き込むように姿勢を屈ませる。
「『なのでレッド様の分はまた改めてご準備させて下さいね。今日はお会いできると思っていなかったのでチョコレートが無いのです』」
 サニーの口真似をしながらレッドは動かないヒィッツの顔を見た。テーブルに目を向けたままのヒィッツの顔は真っ赤で、何かを堪える様に唇が震えている。
「じゃあこのチョコレートは誰からのだろうなぁ?」
「お……お前っ!戻ってすぐにここに来たんじゃ……!」
 やっと声を振り絞ったヒィッツは、ネジが切れかけている人形よろしくぎこちない様子でレッドの方を見た。白い眼のせいで目の周りが真っ赤になっているのが目立つ。
「ああすぐに来たさ。ただ、その途中で資料室への使いを頼まれて本部へ来ていたあのガキに会っただけの事だ」
 伝言をヒィッツに頼んだ事もすっかり聞いたとレッドは付け加え、
「何を今更意地はってんだって話だよな。そんな事するからこっちは余計に」

 からかいたくなるんだよ。

 そう囁いて、レッドは未だ羞恥で動けないヒィッツに下から口付ける。
 時計の針は日をまたぐ寸前だったが、どうやらバレンタインは延長戦になるようだ。




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