Due to a problem with the Twitter API, you have to follow another user on Privatter.

王子様との邂逅〜Magia Notes Part.1〜

Public ツイステ二次創作 2 1885
2020-09-22 17:34:25

慣れない学園生活の中で、私はひとりの美しい王子様に出逢った。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第1話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

世界が歪んで、捻れ曲がっていく。
目の前で何が起きているのかわからないまま、私は次元の彼方へと吸い込まれていった。
気付けば夜の帳の中に放り出されていた。
訳もわからず、黒い馬車に乗せられて、たどり着いた場所は鏡の間。
鏡から聞こえる声に従うまま、私は鏡の向こうから差し出された手を取った。
私に手を差し出してくれた人は、銀髪の整った顔立ちの青年だった。
顔を見たのは一瞬だったけれど、私は覚えている。
学園長のディア・クロウリー氏や猫のグリムたちと初日に色々とやらかした後もずっと。

ナイトレイブンカレッジ唯一の女子生徒、もとい監督生として学園生活を送ることになって、幾日過ぎた。
私はオンボロ寮という名の建物にグリムと一緒に住みながら、勉学と購買部でのアルバイトに励んでいた。
アルバイトの時間まで少し休憩することにした私は、ボトル入りの紅茶とショートブレッドを持って中庭の木陰へと向かった。
ちょっとしたティータイムも私にとっては大事なのだ。
木の近くまで行った時、すでに先客がいるのが見えた。
さらに一歩近付くと、見た目麗しい青年の倒れている姿があった。

「えっ……? どうしてこんなところで……あれ……?」
「ん……

この青年こそ、私に手を差し出してくれた王子様なのではないか。
銀髪の整った顔立ちを見た瞬間、私の記憶の糸が繋がった。
彼は小動物たちに囲まれながら、すやすやと眠っていた。
その天使のような寝顔に、私は心を奪われてしまった。
時間を忘れるほどに、彼の姿に見入ってしまっていた。

「ん……。はっ……! また眠ってしまった……
「わっ、お目覚めになった」
「どうしたんだ。俺に何か用か?」
「あっ、すみません。つい見入ってしまって……

目を覚ました彼の姿も変わらず美しかった。
童話の世界の王子様がそのまま絵本から飛び出してきたと言われてもおかしくないくらいだ。

「お前は……噂の監督生か。俺はシルバー、ディアソムニア寮の二年生だ」
「シルバー先輩ですね。私は監督生のニコル・シャーロンです」
「ニコルというのか。その……学園生活には慣れたか?」
「少しだけですけど……。これから購買部でアルバイトなんです」
「そうか。頑張れよ」

オーロラ色の瞳に吸い込まれそうになりながら、私はシルバー先輩と言葉を交わした。
淡々とした口調ではあるけれど、シルバー先輩の言葉には何処か優しさを感じられる。
私はちょうど余っていたショートブレッドとカップに注いだ紅茶をお近付きの印として差し出した。

「ありがとう。芳しい香りがするな」
「この紅茶とショートブレッド、購買部で見つけたお気に入りなんです」
「美味いな……。マレウス様たちにも教えて差し上げたい」
「是非、教えてあげてください! 喜んでくれると思います」
「わっ、わかった……

私は思わず身を乗り出してしまった。
それから、先生たちのことや授業のことなど色々なことを話しながら時間を過ごした。
気付けば、アルバイトの時間が迫っていた。
シルバー先輩に挨拶をして、私は購買部へと向かった。

「ニコル、またここに来てくれないか? お前とは仲良くなれそうな気がする」
「はい、もちろんです。では、行ってきます!」

シルバー先輩の言葉を胸に抱いて、私は購買部へと足を進めた。
アルバイトもいつも以上に頑張ることができて、サムさんにもたくさん褒められた。
今日は今までの学園生活の中で特に充実した一日になったような気がする。
オンボロ寮に帰って、グリムを寝かせた後、私は紺色のテディベアに語りかけた。
このテディベアは特別なもので、元の世界の私の人格であるニコル・イーリスと通信することができる代物だ。

「イーリス、聞いてくれる? 私、好きな人ができたの」
「そうなんだ。どんな人なんだい?」
「騎士のように凛々しくて、天使のような顔で寝ちゃう素敵な王子様なの」
「へぇ、君の好きな人は眠り王子なんだね。好きな人ができるのは良いことだ」
「おかげで学園生活が楽しくなりそうだよ」
「それは良かった。シャーロン、くれぐれも学業やアルバイトを疎かにしてはいけないよ」
「はぁい」

イーリスは最後まで私の話を聞いてくれた後、優しくも厳しい言葉を私にかけた。
ふと、部屋の窓から夜空を見上げてみた。
綺麗な一番星がきらきらと輝いていた。
学園生活がもっと楽しくなりますように。
そして、そこにシルバー先輩と一緒に過ごす日々がたくさんありますように。
星に願いを託して、私は眠りについた。


Press the Nice button to this post.


© 2023 Privatter All Rights Reserved.