@Aogami_project
「この事は、誰にも漏らさない方が良い」
アイツはそう前置きをした。結界の森の中、小さな小屋の中で、俺は対面に座るその男の顔を見た。その目にはどこか、寂しげで燻んだ光が宿っているように見えた。
その男——藍瑠は、今年の秋頃にかけてとある異変が起きるだろうという予測を立てた。それは、月からやって来た使者の言から予測したものであり、その内容は随分と物騒であった。
「このままだと、地上は人類魔族ともに仲良く滅びる事になる」
藍瑠は言った。その語調には、どこか自信が無く、覇気が無いように感じられた。
——俺にとって、正義とは何だろうか。
この結界の世界を敵から守る事?……敵とは何だ?この世界に歯向かおうとする奴の事か?この残酷な運命に、抗おうとしてもがいている奴の事か?
だとしたら、……
俺も、何も変わらないな。