@Aogami_project
豊穣の妖精。
秋の実りを司り、黄金色の地上に舞う妖精。そんな大層な名前を貰って、私は魔族を辞めた。
妖精とは、自然や概念、あらゆる物に宿る存在であり、そのルーツは結界世界に満ちている魔力によるものらしい。ずっと存続してきたこの孤立した世界の中で、長い時間をかけてゆっくりと育ってきた。それはまるで、人類がこれまでに積み上げてきた文明のようだと。"彼女"は私にそう話した。
妖精という存在は、多くは人の形を保っているものが多いらしい。それは魔法使いの多くが人間である事に由来しているそうだ。私は彼女の説明を思い浮かべながら、自分の小さくなった身体を見つめた。
いつか、私が死んだら、この宙ぶらりんになった豊穣の女神は何処へ行くのだろう。
この妖精に、罪は何一つ無いのだから。どうか、私の偽物だけは、幸せであって欲しい。