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【とうらぶ:短編】貴方の始まり、私の始まり

全体公開 8544文字
2015-03-14 14:21:27

※注意書き
・審神者の話
・審神者しかいない
・名前あり

+++++




【貴方の始まり、私の始まり】

Side;MILITARY

<Case1:陸軍大将、藤崎圭一郎の場合>

元々霊力の高い家系で、弟も妹も海軍で化け物と戦っている。アイツらが使役する九十九を宿した少女達と似たようなのが、俺達が使役する九十九の青年達。
刀剣の付喪神であり、基本的には男性体で姿を現すことから『刀剣男士』と呼ばれる彼ら。
本来であれば彼らを使役するというのは、この陸軍直轄のとある部隊の役目であった。だが彼らがようやく日の目を見たと思った矢先に人員不足が判明した。何せ付喪神を一から呼び起こすのは骨の折れる仕事だからだ。高い霊力を持つだけでは対応しきれない。
それが原因で俺を含む、数々の部隊から引き抜かれた“物に宿る思いを呼び起こし、姿を与えられる力を持ち、なおかつ高い霊力を持つ者”通称、『審神者』候補生が集められた。素質が十分である事から、俺達は軍事機密満載の小型チップを体に埋め込まれた。
なんでもこれを埋め込む事で時空の行き来が可能になるらしい。戦争屋でしかない実働部隊からすりゃあ、よくそんなものを開発する暇があったもんだとしか思えなかった。
もっとも、異次元渡航自体は50年近く前に確立されたもんだったが。そこから現在、23世紀では時間渡航技術まで開発されちまって。もっとも本来であればこれはまだ理論だけで、実証はされていなかったんだよな。
何せこの理論が最大限に適用されるのは21gまでだったからな。そうだ、21g。魂の重さだな。だから生きた人間は時間を超えるなんてできない。
だが人間でない存在ならばどうだろうな。例えばそう、神様とかな。
ま、これ以上の事は上の連中が隠したがっててな。特に技術開発班とか。この歴史なんて何通りもの結果が望めるものを巡る戦争の始まりが、本当に神々の手によるものかなんて関係ありゃしねぇんだ。
起こっちまったもんは起こっちまったもん。ただそれだけじゃねーか。
そして俺は、人の手に余る戦いに放り投げだされた人間の一人でしかない。なら勝とうが負けようが全力でかかるしかないだろう?
そうして俺は候補生として旧友と励みながら学校を出て審神者になった。
ちなみに最初に選んだのは加州だ。今じゃ色々あったがいい仲だと思ってるさ。

*****

<Case2:海軍少将、藤崎双次郎の場合>

幼少期から体が弱く、また妹よりも綺麗で可愛いとか、男として不名誉な称号を貰い続けていました。あ、いえ、それ自体が悪いわけじゃないです。ただ、そのせいで海で提督として働かされるまでその、ある事件が切欠で女性恐怖症だったんです、ハイ。だから兄にも妹にも心配迷惑をかけました。
えぇそうです。陸軍だけでは人が足りなくなったんです。だから我々海軍も歴史改変を目論む者たちと対峙する羽目になりました。
まぁ、こちらは元々人数も多く、戦果らしい戦果も出ていて優勢ですからおそらく。あちらの方がこちらの動きを読んでいる可能性も否めませんが。まぁ大丈夫です。難易度の高い作戦を遂行してきた提督もたくさんいますから。え?私、ですか?私はド底辺です。だから、陸の方へ回されたのかもしれません。あ、軍籍は海のままですけど。
ちなみにその際、一人だけつれていってもいいと言われたので連れて来ました。底辺でもケッコンカッコカリはします。はい、初期艦とです。ロリコンじゃないです。ただ、彼女以外の女性と目をあわせられないだけなんです。え?妹?あの子は男っぽいので大丈夫です。
あらかじめ付喪神の説明は受けていましたから、我々海軍人は審神者としての心得だけを短期間で叩き込まれました。担当してくれたのが女性教官じゃなくてよかったと思ったのは秘密です。その後、私達もチップを埋め込まれ、異次元へと送られました。
そこで出会ったのははい、あの、陸の方はどうか知りませんが、我々海の方はあらかじめ選んだ後候補生として学び、卒業して、本丸へ行くんです。だから出会ったのはこんのすけとかいう式神ではなく山姥切国広様でした。えぇと一応私の霊力で目覚めた事にはなっていたみたいで、目が覚めたとき私がいなくて不安だったようです。とりあえず謝っておきましたが、なんというか過保護になられました。
妻(仮)も私に対して過保護なんですがあの、私、そのうち神隠しされそうで正直怖いです。でも今の生活は楽しいですし、病弱が治ってくれるならいいかもと思い始めてるあたり毒されてるかもしれませんね。

*****

Side:SHAMAN

<Case3:巫覡、九条誠也の場合>

神道系の大学を卒業し、いざ家業を継ぐぞーッ!となった時。俺は突如現れた政府のお役人方に拘束されていた。え?何これ?とか考えるより先に、死んだら我がPCに保存されている嫁(二次ロリ)を発掘され親に死んだ魚のような目を向けられるんじゃないかとかそんな事しか考えられなかった。
いや、ハイ。噂に聞いていた軍部が苦戦する例の過激組織『歴史修正主義者』の討伐任務ですよね、知ってます。神々に対する礼儀とか神事とかそういった事では口の回る俺氏ですが、リアルでは豆腐メンタル紙メンタルのハイパーコミュ障。断りたいとかせめて一度家に戻ってから必要なものをそろえてとか言う暇がなかった。
半ば強制的に連れて来られ第一声が「死んで本丸に飛ばされてくださいね☆」ってなんだよこんちくしょー!俺はまだ若いもーんって思ってたが、どうやら俺の霊力は肉体によって制限されてるらしい。ナァンテコッタイ。
それで審神者に十分な霊力を得るために肉体と魂を切り離すらしい。それでなんか、なんか知らんが、現世に戻れなくなるけどいいよね見たいな。もうもうね、コミュ力のカケラもない俺氏にそんなんハイしか言えないやん
一応、家業は弟が継ぐことになったらしいし、家族にもいっぱいお金行くらしいから安心してねって言われた。あと、使ってたPCとか本丸に送っておくとか言われたらもう強制的じゃん
で、ここからが本題。なんか政府としては死んで審神者になる連中になんでも望みを一つかなえる権利を与えてくれるらしい。なんか、その、今になって思うとすごく申し訳ないお願いだった。自分で思い返しても思うよ、なんだよ「最初に選ぶ打刀様と初めて本丸にいらっしゃる太刀様を幼女にしてください」って。なんでそこで性癖露呈させちゃうの俺。あぁ泣けてきた。っていうか絶対政府の人も引いてたよアレ。俺混乱してたからわかんなかったけど。
で、最初に選んだ山姥切国広ちゃんに魂を引っ張ってもらって本丸に来ましたとさ。まる。そこから?うん、幼稚園以来の旧友と演錬で再会したり、色々あったようんロリおかんは正義だよな

*****

<Case4:巫覡、大神菊代の場合>

先にお伝えして起きましょう。私の姉は歴史修正主義者です。しかも最初期の頃から活動する古株の。
私たちの家は代々豊穣の神に仕える家系でございます。姉と私は生まれながらにして高い霊力を保持していました。ただ、姉と私の違いと言えば、現状に納得しているかという部分にございます。
姉は己の立場に納得しておりませんでした。霊力の高い、豊穣の神に仕える家系その本筋であるということに。本来であれば誉れ高いはずの位置にいるのに。姉が失踪してからは次期当主候補として私と分家の長男坊の名が挙がるようになりましたね。あぁ、ちなみに私は生きながらにして審神者となりましたから、当主候補として名は残っています。
私としては姉と永遠に戦い続けたいので、殺してくれた方が嬉しかったんですけどね。霊力高いってこういう時に不便です。おのれ政府め
こほん。ということで私は半ば、歴史修正阻止というよりは姉の野望を阻止するという目的の為に審神者となりました。だって、姉を阻止しなければ私は審神者でいられませんし、今の家族の下に生まれるとは限りませんから。
それに仮に豊穣の神を滅するなどという方向に行けばこの土地が滅びる可能性だって考えられます。だから私は姉と戦うのです。
正直、姉と戦い続けるためだけに喧嘩し続けるためだけに当主の座なんて投げ出したいんですけどね。ついでに言うとチップを埋め込まれると聞いた時、私がマジメに審神者する気ないことバレるじゃんと冷や汗ダラダラでしたよ。
まぁ、それなりに姉を探しながらちゃんと改変阻止はしていますよ。最初に選んだ蜂須賀虎徹様とは結託しました。彼は打倒兄。私は打倒姉。クックック、今に見ていろあの愚姉。アンタの部隊をフルボッコにしてお縄頂戴してやるんだから。

*****

Side:PUBLIC

<Case5:帰国子女、三条正斗の場合>

Guten Tag。え?日本語で?あ、片言でもちゃんとした日本語になるんですね。よかったー。
コホン。えーっと。父はスイス人で母は日本人。幼稚園を卒園した後からスイスに移り住み、大学を出て日本に戻ってきたら空港で攫われたパターンです。新しい俺の生活が始まると感動していた矢先ですよえぇ。就活頑張るぞって忘れかけてた日本語を思い出しながら空港を出た瞬間、目の前に黒い服の男達が出てきてなんか難しいこといわれて、頭に疑問符浮かびまくった状態で連れて行かれました。
その後?もうハニワだかサニワだかわからねぇ状態でしたよ。でもとりあえず、俺が片言日本語な事と、ようやく俺が海外から帰国したばっかりっていうところを理解してくれたのか数週間の猶予をくれました。日本語、ムズカシイ。
で、それなりに日本語が話せるようになってきたところで死ねと言われて日本怖いスイス帰りたいってなりましたね。まぁ審神者になるための過程でってことでしたから。その時に政府の方でいろいろな話をしてくれたんですが俺が理解できたのは『願いを一つだけかなえてやる』っていうのと『魂を導いてくれる神を選べる』ってところでした。
前者に関しては、俺は一人っ子だったので両親の老後の面倒を見てくれと頼みました。後者はその、よく覚えてないんですよね。ただ、雪みたいに真っ白な神様がいるなら、その神様がいいって言った事だけは覚えています。
それでリクエストした後はその神様の宿る刀で死にました。それが原因かは分かりませんが、首には今でも縫い目が残っています。不思議ですね。
ちょっとホラーチックになりますが、うちにいる鶴丸さんが苦しんでいると、この縫い目も痛くなるんです。本当に不思議ですね。最初感じたときは驚きました。
あ、最初に選んだのは陸奥守吉行さんです。適当に選びました。お互い言葉が通じなくてこんのすけに泣きついたのはいい思い出です!

*****

<Case6:生け贄、野々瀬翔の場合>

狭く苦しい世界の中、私は生きてきた。呪われ、嫌われ、疎まれ、家族にすら見放された私に手を差し伸べたのが政府だった。
生まれつきの高い霊力、そして兄が受けるべきだった呪いが私という存在を縛り上げ、屋敷の蔵の中暮らし続けていた。遊んだ記憶も、まともな食事をした記憶もない。ただただ、太陽の下に出される事なく壊れなかったから更に忌み嫌われ。
もう頭部につけた被り物だけが私の友人のようなそんな感じでした。
政府に拾われてからは、審神者となるための知識を与えられ、そして一振りの打刀を与えられました。えぇ、他の皆様は選ばれていますが私は強制的でした。
それもそうですよね。私に宛がわれた本丸は、前任者が何者かによって殺められた所謂元ブラック本丸だったのですから。そこは打刀がほぼそろっており、いなかった歌仙兼定様が私には与えられました。
本来ならば、本丸と言う場所は清浄な空間ですから、穢れが瘴気となるなんてことはありません。全て洗い流され清められます。ですがブラック本丸というのはそんな事お構いなし。そもそも洗い流しませんから清められもしません。
瘴気は私を蝕みました。そうですね、来て一週間ほどは寝込みましたね。その間に歌仙が色々とやってくれたようで本当に申し訳ない。でも彼のおかげで元から本丸にいた神々とはそれなりの距離を保てています。ただ、歌仙。頼みますからもう少し過保護っぷりを解いていただけると私も被りものを外しやすいのですけど。

*****

Side:MONSTER

<Case7:カマイタチ、春風涼香の場合>

私たち妖怪にまで助けを求めてくるなんて、人間て本当に脆い生き物ねーなんて思っていた頃が私にもありました。うん、そうだよね。私たち妖怪だって変えたい歴史とかあるもんね。
元々私はとある山中で寝泊まりしていたただの風だったの。でもある時、山の神様から人間がお前に話があるーなぁんて来ちゃって。何かなーと思ったら審神者になれってお誘い。うわさは聞いてたし、暇だったから二つ返事で受けたわ。
勿論冒頭に言ったように、人間脆いなーとか思ってた。でも、違ったの。だって信じられる?基本人間の事にはノータッチの私たち妖怪すらもあちら側についてるのよ?しかも元々人間だった連中と同化してる連中もいたし。アレ見た瞬間、なんか一気に現実に引き戻されたんだよね。これ、人間だけじゃなくて私たち妖怪にも関係ある話だーって。
てかそもそも、付喪神だって神様神様言われてる部分もあるけど九十九が立たなきゃただの妖怪だよ。九十九になる前は赤ん坊みたいなもんで、宿ってはいるけど形にはなってない感じ。
でも赤ん坊の時に可愛がってくれた持ち主の事は覚えてるもんなの。海の方に行った時見かけた付喪神を宿した少女達あれがいい例でしょうね。建造されてしばらくもないけど、一緒に行動した人間達の事、自分自身に起こったことはちゃんと覚えてる。だから、その歴史を変えたいって部分はあるんだと思う。
で、私たちもそういうの分かるから手を貸してあげたくなっちゃうんだろうね。でも私はそれを間違いだと思うから、政府側に手を貸すの。
最初に選んだ加州ちゃんとはいいお友達よ。それに何時堕ちてもおかしくないから、ちゃんと見てて上げなきゃって思う。

*****

<Case8:人狼、大守狼志の場合>

普段は人間に紛れて暮らし、三日月の晩だけ山にこもるなんて生活をしていたのですが、気がついたら審神者になっていました。
三日月の晩になると人狼になるんです。困ったもので、実を言えば三日月形のものをみれば無条件に人狼化してしまうんです。それを知ってか知らずか、政府の人々は本丸にあらかじめ離れを作ってくださったのです。暴走用なので、そこだけ近代風の要塞っぽくなっています。まぁ、獣の叫び声とか聞いて敵襲じゃないと思う方が難しいですよね。
さてさて、そんなこんなで審神者として働かされる我が身ですが、ちょっとしたトラブルが御座いまして。えぇ、皆様ご存知、審神者サポートプログラムであり式神の一種であるこんのすけ。彼が何を思ったか私の元には届かなくてですね。本当に一人で本丸に放り出されて泣きたくなりました。あ、私は一応死亡組に属します。妖怪も一筋縄じゃないんですよ。亡霊とか、カマイタチとかああいう固形の姿をハッキリともたない連中は死とかの概念ないんですけど、俺達みたいな特定の形を持つ連中は死にます。だから鵺も討伐されちゃったんです。たぶん。
閑話休題。で、こんのすけがいなくてやることわからない!ってなり、最初に選んだ蜂須賀虎徹さんとあたふたしながら刀装作ってみたり鍛刀したり。あぁここでも困ったことが。お試しと称して大量に資材なげうったのはいいんですけどね。出てきたのがその三日月宗近さんなんですね。もう全身三日月じゃないですかあの人。もう叫びました。叫んで離れに走りました。蜂須賀さんに三日月さんの衣装から三日月消しといてっていうのと、三日月さんに目隠しするように叫びながら走りました。いやぁ、あと少し遅かったら醜い姿(神様から見れば)を晒す羽目になっていたと思います。
えぇ、すごく申し訳ないです。だって言えるわけないじゃないですか。三日月形を見るだけで化け物になるなんて。

*****

Side;ENEMY

<Case9:元僧侶、須藤健士の場合>

歴史修正主義者。あるいは、遡行軍と呼ばれる者たち。それの一員となったのは他でもない。事故だ。間違いなく事故だ。
だって、もう明日には冥土へ旅立つ予定だったのに朝起きたらすごく体調良いし体動くし目線高いし何事と思った。そして極めつけは面倒を見てくれていた自称人間の使用人(実際は半分雪男)が叫んだ「わ、若返ってイラッシャアアアル!」とか言う台詞。もうなんなんだと思った。何せ使用人をはさんでいる見知らぬ鬼二人に目が皿になったし。
状況をうまく飲み込みながら鬼二人に問いかけたさ。オマエラなんだと。そしたら片方へし切長谷部と名乗る鬼が言った。何でも私には高い霊力と政府連中が言う『審神者』たるに十分な能力が備わっていると。で、彼らはそれを勝手に利用して過去へと飛んでいたらしい。そしたらある時代に踏み入ったとき、その時代に眠る過去を変えたい怨念共があふれ出たそうな。そしてそいつらのせいで私は人間を辞めさせられた上に若返ったらしい。なんと迷惑な!
で、もうこうなった以上姿を隠すのもアレだということで出てきたら使用人と鉢合わせしてしまったらしい。そしてお互いに不審者ーッ!と叫んでボコスカしてたらしいが勿論2vs1で勝てるわけないだろう相手は一応神様だぞとなったわけだ。
まぁ結局のところ、死にたくても死ねないし私の屋敷も異次元に引き込まれたらしいのでもう面倒見るしかねぇなって。長谷部と使用人、そしてもう一人の鬼こと今剣。あと名前のない連中たくさん。私自身は歴史改変に興味はないが、彼らの手入れなら引き受けてやろうと思う。それに第二の人生みたいなもんだ、楽しまなきゃ損だろう?
それに、苦しむ者たちを癒すのも大事な事であろう。なぁ、政府の連中よ。お主らが遅いから、我々の方で動くのだ。当然だというにむしろ感謝してほしいぐらいだな。ブラック摘発だなんだと言っても所詮穢れを纏った化け物を殺すことに変わりはないのだから。

*****

<Case10:病人、如月健吾の場合>

私の知る世界は、病院のベッドの上。ただただ白い部屋でした。生まれつき、痛みも感じなければ汗も出ない病にかかっており、太陽の下に出られるのはほんの短い時間だけ。危ない事など、血が出れば止まらないのだからさせてもらえるわけがない。管理された環境、管理された生活。親の顔ですら見たことがありません。
霊力の高い私は、幼少期から神々の夢を見ていました。神々の夢渡りそれだけが私が外の世界を知る唯一の方法。神々は色んな話をしてくださいました。天気の事、自然の事、人間の事。それを見続けること十数年。16になっても外の世界を知らない私は正に箱入り息子でした。
それが一変したのがそう、ある神からのSOSでした。その方の名は一期一振といいました。なんでも彼の主審神者から暴虐の限りを尽くされ、もはや限界だということでした。でも一介の、ただの人間でしか私にはどうしようもありません。審神者となるための能力もなければ、病室の外に出る事すらも間々ならない。
そんな私を連れ出すように、一期一振様は私の手を取り、引き上げてくださいました。そこからは良く覚えています。彼の神と相談し、そもそもその審神者が存在しなかった事にしてしまえという結論にたどり着き、過去へと飛んだのです。
勿論その時既に、私は人間ではありませんでした。ただの人間に時を遡る力はありません。
私は一期一振様の主を審神者になるどころか、生まれる前に殺しました。えぇ、本来死ぬはずでなかった人間を殺したのです。細すぎる私の腕でも簡単にできるものですね。
そこから?鬼へと身を堕とされた神々の手伝いをするように、何人もの審神者を殺してきましたよ。そのうち体も丈夫になりましたし、自然治癒能力が高まったのか傷が出来ても数分で治ってしまう。痛みを恐れていた私にサヨウナラ。
まぁ、死なないと分かっていても熱い場所は今でも苦手ですけどね。ちなみに、私にSOSを出してきた一期一振様は既におりません。いえ、本体である刀はありますが、魂そのものは鬼へと変わりましたから。でも彼のおかげで、私に眠っていた審神者の力も目覚めたようです。あぁ、よかったよかった。

<了>


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