@acbh_dmc4
昔々、何の手違いでか、アウディトーレ家に継父のロドリゴ・ボルジアとその子供たちチェーザレとルクレツィアが家門に入りました。
アウディトーレ家を護るため、フィレンツェ一の美貌を誇る、エツィオ・アウディトーレが残り、母と妹はモンテリジョーニに避難させました。
豪華絢爛なアウディトーレの邸宅に居座っているボルジア家は、イケメンなエツィオを疎み、特にチェーザレ・ボルジアは親の敵と言わんばかりにエツィオに対して辛く当たりました。
「貴様なんぞが私と肩を並べるなんて我慢ならない。お前など使用人の様に床を這いつくばっていろ!」
「フン、そんなに床がお好きならば今すぐ仲良くさせてやるよ」
エツィオはチェーザレの意地悪な言葉など意にも返さず、売り言葉に買い言葉で楽しい会話を続けます。
妹のルクレツィアがイケメンなエツィオにドギマギしているのもチェーザレは気に入りません。
チェーザレはエツィオへの嫌がらせの一環で屋敷の掃除を言いつけました。
「俺に掃除しろだって?何時からアウディトーレ家は掃除婦も雇えない位逼迫したんだ?お前たちの金遣いの荒さは確かに目に余るものがあるが、その程度賄えない程ではなかったと思うんだが?」
「黙れ!勿論、お前への嫌がらせの為に決まっているだろう!貧相な乞食のような見た目のお前には似合いの仕事だろう!」
「やれやれ、チェーザレお坊ちゃんはお部屋のお片付けもまともに出来ないんでちゅねー。仕方がないからエツィオ兄様が直々に片づけてやろう。お前の命をな!!」
箒片手にチェーザレを追いかけ回し、断末魔の叫びが響くアウディトーレ邸は今日も平和です。
そんなある日、チェーザレとエツィオの元に招待状が届きました。
どうやら二人の共通の友人、マキャベリがホームパーティ-を開くようです。
しかし、チェーザレはエツィオが参加するのは絶対に嫌なのでまた懲りずに嫌がらせをしました。
「我が家にある馬車は2人乗り用だからお前は留守番していろ!間が悪い事に、この馬車以外は修理に出してしまったからな!」
「成程、では今こそ貴様を殺せば俺が馬車に乗ることが出来るな」
スラリとした長剣を構え、チェーザレに切りかかるエツィオですが、長年エツィオからの暗殺の手をギリギリで回避してきたチェーザレは、慌てて馬車に飛び乗ると、さっさと発車してしまいました。
ですが、エツィオは咄嗟に馬車に括り付けられて垂れていたロープを掴み、市中を激しく駆け回る馬車に引き摺られながら、一歩一歩と馬車に近づき、ついには乗り上げてきました。
その地獄の底までも追って来る、狂気をはらんでギラリと光るエツィオの鋭い眼光を見たチェーザレは、心底ビビッて走る馬車から飛び降りて悪魔から逃れました。
馬車は勢いよく走り、壁にぶつかり砕けましたが、エツィオはちょっと打ち身を作った程度で無事でした。
あまりの不死身さに恐れをなしたチェーザレは恐怖に震えてマキャベリの家へとすっ飛んで入っていきました。
マキャベリのパーティーにはエツィオも招待されていましたが、馬車に引き摺られ、ボロボロになってしまった服装では参加できません。
折角チェーザレをぶっ殺してやろうと思っていたのに、それが出来ない為、エツィオはちょっと悲しくなりました。
すると、紅白歌合戦にトリで参加して居そうな、かつて来たりし小林幸子がエツィオの前に現れて、悔し涙を流すエツィオに声をかけました。
「其方がかの予言者か。よくぞ参った。証を見せてみよ」
「」
エツィオはマキャベリのパーティーの参加証を確認する人だと解釈し、招待状を取り出そうとして、うっかりこないだロドリゴの書斎から失敬した黄金の球体を差し出してしまいました。
エツィオは内心「あ、間違えた」と言いましたが、かつて来たりし小林幸子は意に介さず、その黄金の玉に手を翳すと、コスモで電波な話を繰り広げて満足してからエツィオにもう一度話しかけました。
「我らが遺した神殿を見つけるのだ。しかし、そんな貧相な装備では心もとなかろう。この写本と、この装束位はくれてやろう」
そう言い残すと、エツィオの体を黄金の光が包み込み、あっという間にオシャンティな白い燕尾服のような衣装に着替えておりました。
そして手には古い巻物の束がいくつか握られています。
とりあえず、ボロボロだった服が何とかなったので、これでマキャベリのパーティーに出席できると喜び勇んで、パーティー会場に入っていき、暫しフィレンツェの要人との歓談に興じました。
一頻りパーティーを楽しんだ後、少し夜風に当たりたくてエツィオはバルコニーに向かうと、そこには先客が居ました。
肩まで伸ばした栗毛の髪と、おしゃれな赤いチュニックを着た美青年が、エツィオの登場に目を丸くしていました。
エツィオは少し興味を惹かれてその青年に話しかけてみる事にしました。
「やぁ、俺はエッツィオ。君は?」
「はい、私はレオナルド・ダ・ビンチと申します。しがない画家です」
柔らかい物言いと人懐っこい笑顔に何故か癒され、エツィオはもっとレオナルドと話してみたいと思いました。
すると、レオナルドはエツィオの腕の小手をチラリと覗くと、急に興奮したようにそれを見せてくれと行ってきました。
ついさっき着せられた際に腕に装着された恐らく戦闘用の小手を外し、レオナルドに見せると、それはどうやら隠しブレードの一分との事だった。
そういえばあの小林幸子が装備が云々と言っていたから、これらは武器防具の類かもしれないと思い、レオナルドに直せる人はいないかと聞くと、調度自分が修理できると言ったので任せる事にしました。
見事小一時間程で隠しブレードが直り、エツィオがそのブレードを出したり引いたりしていると、視界の端にチェーザレの姿を捕らえました。
ここであったが100年目!エツィオはチェーザレに向かい、先程直してもらったばかりの隠しブレードを発動させて、見事暗殺を成功させました。
急な殺戮に会場はもう大騒ぎです。
「アサシンよぉ!」との叫び声や「偶然居合わせただけなんだ!」等の叫び声を背後に聞きながら、エツィオは警備兵が押し寄せる前に逃げ出しました。
逃げる際中、バルコニーから続く階段を使いおりようとすれば、先ほど楽しく会話したレオナルドが慌てて駆け寄ろうとしてきました。
「エツィオさん!どうされたので?」
「レオナルド!君は来ては駄目だ。俺は帰らないと!誰かに何かを聞かれても、決して俺の事を言ってはいけないよ!きっと面倒な事になるから」
心配そうに見つめてくるレオナルドにそれだけ言うと、エツィオは階段の手すりを滑り降りてあっという間にその場から姿を消しました。
エツィオの消えた階段をレオナルドが見つめていると、階段の中腹辺りに何かが落ちているのが見えました。
レオナルドはその落ちているものを拾うと、それはどうやら巻物のようでした。
エツィオが落としたものであれば、いつかこれを返さなければと思い、何か手掛かりがないものかとその巻物を広げると、それは何かの写本のようでした。
しかもその写本は暗号で掛かれており、レオナルドはその写本に一瞬で魅了されました。
エツィオはアウディトーレ邸に帰ると、何食わぬ顔で部屋に滑り込み、着ていた白の装束を丁寧に脱ぎ、写本と共に隠し扉にソッと収納しました。
翌朝、フィレンツェ中をロドリゴ・ボルジアとチェーザレ・ボルジアが暗殺されたニュースがフィレンツェを駆け巡りました。
エツィオは自分がやったのはチェーザレだけなんだけどな、と不思議に思いましたが、目の上のたん瘤が両方取れたのでまぁ良いかと思いました。
ルクレツィアはもう嫁ぎ先が決まっているし、これでアウディトーレ家は安泰です。
警備兵も何名か聞き取りに来ましたが、市中引き回しの後は自宅に帰って部屋に居たと証言すれば、あっさり帰っていきました。
そうして騒動が落ち着いたころ、マキャベリを伴って、レオナルドがアウディトーレ邸にやってきました。
フィレンツェ中の信頼のおける何名かに、秘密裏に写本の断片を見せて何かわかるか探っていたようで、今日はエツィオの元に来たようでした。
エツィオはレオナルドから自分が落とした写本を見て、他の断片もあるとこっそり教えると、レオナルドは目を輝かせてどうか写本を見せてくださいと頼まれました。
どうやらレオナルドであれば、その写本を解読できるようで、エツィオはレオナルドに写本の解読を依頼しました。
友人のマキャベリからは、エツィオの暗殺技術の高さを買われてアサシン教団に入団し、レオナルドが写本で得た知識で高性能武器を作って貰って最強のアサシンと言われる様になりました。
めでたしめでたし。