X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです

08_prologue

全体公開 704文字
2021-01-01 18:53:47

結界のとある冬。

景色は白く染まり、道行く人の口元からは白い息が漏れ出す。今年もいつも通りの、いつもと変わらない季節だ。

その光景は人里でも変わらない。里の魔法使いであるマリーは、道に積もった雪を退けながら、少し低めの位置から覗かせる太陽を見上げた。ごく普通の、何ら変わらない日常である。

——しかしそんな日常にも、やはり変化は訪れる。それも決まって、唐突に。



「我々の望む平和の為に、ぜひ協力を」

そんな文句が書かれたチラシが、人里のあちこちにばら撒かれているというのだ。その騒ぎを聞きつけたマリーは、いち早く異変の臭いを察知する。彼女はそのチラシを片手に、里の外へと飛び出した。



……って感じよ。明らかに怪しいと思わない?」

「ふーん。……てかお前、ちゃんとドアは閉めろ。寒いだろが」

「別に良いでしょ、どうせ直ぐ出るんだから。それで、どう思う?アズ」


里から遠く離れたとある草原。そこにぽつんと建っている小屋に、彼女は向かっていた。アズールの家である。

「さあ……そもそも、あの森にこんな建物あったか?天楽寺……寺、なのか?」

「私も聞いた事無いわ。でも、ご丁寧に道のりまで示してくれてる訳だし。確認するのは簡単ね」

「じゃあお前がなんとかしてくれ」

「だーめ。あんたも来るのよ」

「俺は寒いの無理なんだ。ほらとっとと行った」

……来ないなら、このまま家のドア吹き飛ばすわよ?」

………………はぁ、分かったよ。面倒だが、何か異変が起こってそうなのは間違い無いもんな」


そう言って、彼は重い腰を上げた。
突如として頭角を現した、森の寺への旅である。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.