@Aogami_project

アズール「あーさみぃ……。何だってこんな時季に異変を起こすかねぇ」
アズール「そういえばこの辺に来るのも久しぶりだな……半年振りくらいか?」
??『止まれ、人間』

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華開く木偶の坊
花平 桃子
Momoko Hanahira
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桃子『ここは我らが怨霊殿の敷地だ!不審な者は排除する!』
桃子「ち、ちょっと待ってよ。相手の人間強そうよ?負けちゃうわよ?」
アズール「あ?誰だお前。支離滅裂な奴だな。怨霊殿にお前みたいな奴居たか?」
桃子「私は最近ここに雇って貰った妖怪よ。で、でもそんなに強くないし……」
桃子『何を弱気な事を。さっさと戦わないとひどいわよ?』
桃子「ひぃっ!わ、分かったわよ……戦うから……」
アズール「……?なんださっきから。一人芝居しやがって」
アズール「お前の本体は……人形の方か?」
桃子『ふふっ。分かるかしら?そうよ、この尼はただの私の人形』
桃子『貴方は勝てるかしら?もし死んだら、私の新しい人形にしてあげるわ!』
——撃破後
アズール「悪いな。俺は普通の妖怪よりかは強い人間なんだ」
桃子「げほっ……い、生きてる……」
アズール「でかい方はお前、元は人間だろ。無理矢理動かされてるみたいだが」
アズール「性悪な妖怪もいたもんだ。さっさと離してやれよ、そいつ」
桃子『……ふん。この弱い人間が強くなれたのは私のお陰よ。寧ろ感謝して欲しいわね』
桃子『さっさと行きなさい。主人に見つかったら叱られるわ』
アズール「……ああ、そうさせてもらう。なんかお前は説得しても無駄そうだ」
アズール「これだから妖怪は……やっぱり人間にはなれねぇな」

アズール「なんか少しずつ、道らしきものが見えてきたような」
アズール「こんな場所を開拓したところで、一体誰が使うってんだ?」
??「む、人間!」

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踊る髑髏の泥人形
スエロ・ツァベラー
Suelo=Zaberar
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スエロ「けけっ、珍しいねぇ。どこに用事だい?」
アズール「また妖怪か。相変わらずこの辺は多いな」
アズール「俺はこの先にある寺に行きたいんだ。邪魔はしないでもらえるか」
スエロ「ふーん。この辺で寺と言ったらお前さん、天楽寺に行くつもりかい?」
アズール「ああ、確かそんな名前だったような……知ってるのか?」
スエロ「この辺の妖怪ならみんな知ってると思うぞ。俺たちが唯一、襲わない人間の住処だ」
スエロ「さてさて、お前は……その口ぶりだと、天楽寺に行くのは初めてなようだが」
アズール「いやそんな事ないぞ」
スエロ「けけけっ。まあ良いだろう。つまらん嘘をつく暇があるなら、俺と一緒に遊ぼうぜ?」
アズール「……面倒くせぇ。なんなんだお前」
スエロ「分かるだろ?森の妖怪は暇なのさ」
スエロ「ちょっと付き合えよ。久々に、襲って良い人間に会えたんだから」
——撃破後
スエロ「ちぇっ、負けた。強いなお前」
アズール「そりゃどうも。生憎、お前みたいな妖怪共は飽きるほど倒してきてるからな」
アズール「それはそうと。寺はこのまま進めば見えてくるのか?」
スエロ「ああ、参道がすぐ近くから伸びてるよ。まあ、素直にその道を進む奴なんてこの辺にゃ居ないがな」
スエロ「……それにしても、最近は特に人が減ったような。気のせいかね」
アズール「ふーん。まあ良い、それも寺の人間に聞けば分かるだろ」
アズール「さあ、この調子で進んで行くぞ」

アズール「こんな場所に人工物なんてあったんだな」
アズール「なんでわざわざこんな場所に建てたんだ?何処ぞの神社じゃあるまいし」
??「天楽寺へようこそ」

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極楽浄土の大王
橘 豊人
Tatibana Toyohito
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豊人「人間だね。険しい道中、よく来てくれた」
アズール「まったくだ。こんな立派な参道も、森のど真ん中にあるんじゃ意味ないだろ」
アズール「で、お前は何だ?この寺の人間か?」
豊人「ああ、その通り。そういう君は里の人間かい?我々の撒いたチラシは見てくれたかな」
アズール「あれはやっぱりお前等の仕業か。何が目的だ?」
豊人「ちゃんとチラシにも書いてたろう?この世界をより良くする為の、大いなる志の為だよ」
豊人「我々は、人間と妖怪の共存を長らく願ってきた。それがようやく、叶う時が来る」
アズール「はぁ……なんだかよく分からんが。妖怪ならここに来るまで何度も襲われてきたぞ」
豊人「ふむ。しかし貴方はどうだ。人間ながらにして、襲われてもこうして無事でいる」
豊人「やはり、人と妖の間には圧倒的な力の差がある。これを乗り越えずして、共生は叶わないだろう」
アズール「だったらどうする?里人を連れ出して修行でもさせるか?」
豊人「……本当に何も読んでいないのだな。貴方は何の為にここまで来たのだ?」
豊人「まあ、いいだろう。まずは貴方が、太子に会うに値する人間か。それを確かめさせてもらう!」
——撃破後
アズール「その太子、ってのがここのボスか?」
豊人「ああ、そうだよ。それにしても流石、ここまで無傷でやってきただけの事はある」
豊人「貴方なら、我々と共にこの世界を変えられるかもしれない」
アズール「俺はそれを止めに来たんだがな」
豊人「なぜだ?この世界の不平等を、我々が歩み寄らずして如何に直そうと?」
アズール「さてね。そもそも俺、お前等が何の為に何をしようとしてるのか知らねぇし」
アズール「とりあえず、結界にとっての異変の芽は摘んでおこうかと」
豊人「な、なんて人だ……。本当にこの人間を、太子の下に遣っても良いのだろうか?」
豊人「……まあよい。だったら詳しい話は太子から聞くと良い。あのお方なら、きっと貴方を導いてくれよう」
アズール「ふーん。それじゃあ、このまま邪魔するかね。この先に太子が居るんだろ?」
アズール「……なんだか変な気分だな。異変の現場で、こんなに歓迎されたのは初めてだぞ」

アズール「この寺もまた随分と広いな」
アズール「それに、さっきから薄い妖気を感じる……ここは人間の領域じゃ無かったのか?」
??「ようこそ、おいで下さいました」

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万象を聞き取る聖女
厩戸 徳映
Umayado no Tokue
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徳映「我が天楽寺へようこそ。私は貴方を歓迎します」
アズール「あ……?子供?誰だお前」
徳映「私はこの寺の長をやっている者です。……ああそれと、私は子供ではありませんよ。身体が小さいのは体質です」
アズール「あ、そう……。まあお前がここのボスだって言うなら話が早い。今回の異変はどういうつもりだ?」
アズール「恐らく既に、里の人間の何人かはチラシに扇動されて森に入って来てる。そうなったらどうなるか、分からない訳じゃねぇだろう?」
徳映「そうですね。実力を持たぬ人間なら、そのまま野垂れ死んでしまうかも」
徳映「人と妖怪には、明らかに力の差がありますからね」
アズール「……そこまで解ってるなら、何故こんな事をした?」
徳映「それを差し引いても、為さねばならない事が有ったからです。貴方もチラシはご覧になったのでしょう?」
徳映「大いなる志の為ですよ。これさえ実現出来れば、我々と妖怪は対等になれる」
アズール「その所為で、命を落とす人間が居たとしても?」
徳映「貴方は優しい人ですね。何の犠牲も払わずして、革命というのは成立しないものですよ」
徳映「しかし貴方には権利がある。我々と共に、この先の世界を歩む権利が」
アズール「……なんかさっきから腹立つ物言いだな。小せぇ癖して生意気な野郎だ」
アズール「良いか?俺の権利はお前が決める事じゃねぇ。俺は俺のやりたいようにやる」
アズール「今の俺は、お前が気に食わないから退治する。話はそれからだ!」
——撃破後
徳映「ふむ、これは良い……人間とは思えない練度ですね」
アズール「ちっ……手を抜いてやがったな?何処ぞのクソ魔法使いみたいな真似しやがって」
徳映「結界の長の事ですか?……ふふっ、あんなのと一緒にしないで下さい。私にはちゃあんと、人の心が残ってますから」
徳映「それで、どうやら貴方は……我々の目的に参画する為に此処に来たのでは無いようですね」
アズール「今更かよ。ああそうさ、俺はお前等の起こした異変を止める為に来たんだ」
アズール「一応、此処のボスであるお前には勝ったんだ。今回はもう諦める事だな」
徳映「……いいえ、我々は止めるつもりは無いですよ。それに、この寺にはまだ私の他にも戦える者が居る」
アズール「ふーん?まあ、確かにさっきから変な気配が漂ってるとは思ってたが」
アズール「俺の認識が正しけりゃ……この気配は……」
徳映「そんなに止めたいというなら、自分の目で確かめてご覧なさい。あの子はきっと、この寺の地下に居るでしょう」
徳映「そして改めて、考えてみると良い。どちらが正しいのか?何が間違っているのか?……信じていますよ」
アズール「寺の地下、ねぇ。まだ何か隠してやがるのか」
アズール「なんか納得行かねぇが……通してくれるってんなら俺は行くぞ。邪魔する奴は、お前の身内だろうと倒すからな!」
徳映「ええ、どうぞご自由に。……私の弟子には、殺生は何があってもしないように教えていますから。安心して行ってきて下さいね」

アズール「なんだこりゃあ……急に機械だらけの部屋になったぞ」
アズール「それにこの気配……明らかに人間じゃねえな」
??「あれ、なんでこんな所に」

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人と妖の境目
華堂 飛香
Asuka Kadou
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飛香「太子はどうしたのかな。まさかアンタが倒して来たなんて事無いだろうし」
アズール「戦って勝ったら通してもらえたよ。お前は何者だ?」
飛香「何者?うーん、それは私のセリフなんだけどなあ。あ、もしかしてこの計画に参加したい人間かい?それなら歓迎だよ」
アズール「残念だが違うな。俺はその計画とやらを潰しに来た人間だ」
アズール「黒幕はこの先に居るんだろ?通してもらおうか」
飛香「あちゃー、そりゃ残念。じゃあ帰ってもらうしか無いね。研究の邪魔だよ、しっし」
アズール「研究だと?お前ら一体、ここで何を企んでやがる?」
飛香「さぁてね。アンタも実験台になってくれるなら教えてやるよ」
飛香「まあその時は、二度と普通の人間には戻れなくなるだろうけどね」
アズール「何だかよく分からんが……お前等が想像以上にとんでもない事をしでかそうとしている事はよく分かった」
アズール「お前のその不気味な気配……妖怪だよな?まさか、人間を妖怪にする実験をしてるなんて言わねぇよな」
飛香「……うーん、賢いね。賢いけれど、詰めが甘い。物事の本質というのは、意図的に隠して知らないふりをしておくというのが鉄則よ」
飛香「じゃないと、どうなると思う?私はアナタをどうすると思う?」
アズール「口封じに殺すか?ここの奴は殺生禁止と聞いてたが」
飛香「殺しはしないさ。でもそうねぇ。アナタはもうここから逃げられない。私と共に、大いなる計画の一部になって貰うわ」
飛香「さぁて、始めるよ!これも、未来の平和を思えば必要な犠牲なのさ!」
——撃破後
アズール「さて、ここの元締めの所まで案内してもらおうか」
飛香「くっ……アンタ中々やるね。そこらの実験機器に気を使ってたら負けちゃったよ」
飛香「これが地上の森であれば……いや良い、何を言っても言い訳ね。降参だよ」
アズール「やけに潔いな。まあだが、仮に地上で戦ったとしても俺が勝ってただろうけどな」
アズール「……何しろ、妖怪退治には慣れてるんでね」
飛香「……ふん、嫌味な奴だねぇ。私が妖怪である事がそんなに気に食わないかい?」
飛香「私は、友人様の力によって妖怪となった。これは素晴らしい功績だよ。我々の目的に大きく近づいたんだ」
アズール「まさかとは思うが。里にチラシを撒いたのは、人を妖怪にする実験台を募集してたって事か?」
飛香「そういう言い方すると悪意があるね。でもその通りだよ、アンタの言う通り」
飛香「我々はずっと、人と妖怪の平等を願って活動を続けて来た。この問題を放置し続ける結界師に代わってね」
飛香「そんな時に現れたのが友人様さ。友人様は外の世界の知識を使って、人を妖怪に変える方法を編み出した」
アズール「成る程な。それで里の人間を妖怪に変えてやろうって話か」
アズール「だがそんな事して何になる?それこそ、お前がさっき言ってた結界師が黙っちゃいねぇぞ」
飛香「分からないかなぁ。まあ良いよ、アンタも妖怪になれば分かるさ」
飛香「もしもアンタの望む通りにこの計画を潰そうってんなら、友人様を倒す事だね。ま、無理だろうけど」
アズール「友人様ねぇ。そいつが、お前を妖怪に変えた張本人だよな?それで、今回の計画の根幹を担っていると」
アズール「何だかイマイチはっきりとしねぇが……先ずはそいつを探すとしようか。……ようやく、事の元凶を引っ張り出す事が出来たな」

アズール「今度もまた、人から妖怪になった野郎か……?嫌な気配を感じるな」
アズール「妖怪のなりたてってのは、気配を隠すのが下手らしい」
??「ようこそ、我が研究室へ」

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万物を超えた造形師
クリスパー・スキュルトール
Crispr Sculpteur
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クリスパー「なにやら物音がすると思ったら。飛香を倒したのは君だね」
クリスパー「素晴らしい強さだ。君が妖怪になれば、更に洗練された力を得る事が出来るだろう」
アズール「ならねぇよ妖怪なんて。お前がこの異変の元凶で間違いねぇな」
アズール「お前らは何を考えてる?人を妖怪に変えるなんて、とんでもない事をしでかそうとしてるようだが」
クリスパー「聞かなかったかな?我が友人である、太子の夢を叶える為さ」
クリスパー「人と妖怪が、共にこの小さな世界を幸せに歩んでいける、素晴らしく理想論に満ちた夢をね」
アズール「人と妖怪が平等……?そんなこと実現出来るわけねぇだろ。その為に人を妖怪に変えるってのも分からねぇ」
クリスパー「まあまあ、結論を急ぐんじゃ無いよ。特に君のような強い人間には、弱い人間の気持ちは分からないだろうからね」
クリスパー「分かるかい?弱いんだよ、人間は。妖怪にとって人間が食料になる原因はただ一つ、人間が弱いからだ」
クリスパー「しかし人間は頭が良い。文明を築き上げ、数々の利器を発明し、あらゆる生物の頂点に上り詰めるまでに繁栄した」
アズール「だから何だ?俺は歴史の話を望んでる訳じゃねえぞ」
クリスパー「歴史は大事だよ。未来を語る者が、過去を省みるのはとても大事な事だ」
クリスパー「……そう、人間には歴史がある。それは、自分より強い者を迫害し、差別し、見て見ぬふりをする歴史だ」
クリスパー「確かに人間は繁栄を極めた生物だ。しかしそれと同時に失った……他者との共存、尊重……。その根底には、何があると思う?」
アズール「……人間の弱さ、か?だから妖怪に変えちまおうと?」
クリスパー「ロマンの無い子だね、君は。そこは敢えて間違った答えを言う所だよ。……でも大体合ってる。その通りさ」
クリスパー「そもそも最初から人間の腕っぷしが強ければこんな惨劇は起きなかった。弱肉強食、それだけが法律の世界が続く筈だった」
クリスパー「でも、そんな過去にはもう戻れない。選択できない。……だからせめて、この小さな世界だけでも我々が変えるのさ。皆が平等に権利を有し、生きていけるような世界にね」
アズール「……成る程ね。まぁ、ある程度納得はした。これまでの異変で会ったクソ野郎共よりは大分マシだ」
アズール「だが、俺はお前に賛同する事はない。もしお前の言う通りにこの世界の人間がみんな妖怪になれば……この世界は崩壊する」
アズール「そんな簡単な問題じゃねぇんだよ。弱い人間を否定するだけで解決するなら、とっくに人類はこの問題を克服してる」
クリスパー「そうかい。じゃあどうする?君は我々の計画の深くまで関わってしまった。今更なにもせず、踵を返す事は出来ないよ」
アズール「だろうな。……分かってるんだろ?」
クリスパー「……結局のところ、これが一番シンプルで分かりやすい。単純な力の比べ合いだね」
アズール「ああそうだ。お前らは特に、そういうのが大好きらしいからな」
アズール「……行くぞ!お前らの馬鹿げた計画は、俺が絶対に止めてやる!」