@Aogami_project

マリー「うー、さむ……。こんな時でも妖精達は元気ねぇ」
マリー「……そういえば、この辺ってもしかして」
??「と、止まってください!」

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華開く木偶の坊
花平 桃子
Momoko Hanahira
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桃子「そうしないと……貴方まで人形になってしまうわ」
マリー「うん?怨霊が出てくるかと思ったら……人間?いや妖怪?」
マリー「……ここの屋敷、なんかどんどん人増えてないかしら?」
桃子『ここの主人は寛大な心をお持ちだ。私のような妖怪の端くれも認めてくれた』
桃子『この程度の人間しか呪えない私でもね』
マリー「呪い……?ああなるほど。妖怪の本体はその人形ね?」
桃子「お願い……。この人間には貴方でも勝てないわよ。だから……」
桃子『諦めろって?ただの人形が口答えするんじゃないわよ』
桃子『……ああそれと、人間。あなたの台詞は逆よ。人形は此奴。私じゃない』
マリー「別にどっちでも良いでしょ。で、話は纏まった?」
桃子『ええ、待たせたわね。わざわざやられる為に待っていてくれるなんて』
桃子『さあ行きなさい!逃げたら殺すからね、人間!』
——撃破後
桃子「……貴方、私を傷つけないように加減してたわね?」
マリー「まあね。里の魔法使いとしては、人間はなるべく傷つけたくないのよ」
マリー「それはそうと。この辺にあるらしい寺について、あなた何か知ってる?」
桃子『寺?……ああ、天楽寺のこと』
桃子『人と妖怪の共存がどうたらとか言ってる連中でしょ。他の妖怪からは好かれてるらしいけど、私は嫌いよあいつら』
マリー「ふーん。人と妖怪が……ね。一体どんな奴が住んでるのかしら」
マリー「とりあえず、道は合ってるみたいで良かったわ。このまま進みましょ」

マリー「なんか少しずつ道が整備されてきたわね」
マリー「でもこんな場所にある道なんて、一体誰が使うのかしら?」
??「おっ、人間」

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踊る髑髏の泥人形
スエロ・ツァベラー
Suelo=Zaberar
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スエロ「ごきげんよう。こんな場所に何の用事だい?」
マリー「ちょっとね。この先の寺に用事ができたのよ」
スエロ「ああ、天楽寺か。俺もここに長くいるが、わざわざここまで参拝に来た人間は見たことねぇなあ」
スエロ「見かけによらず熱心な人間だ。けけっ」
マリー「見かけによらずってどういう意味よ。私だって神仏に祈りたくなる時くらいあるわよ」
マリー「それで、あなたは?人間も来ないこんな場所で通せんぼ?」
スエロ「ああそうさ。最近は襲って良い人間が居ないから暇でねぇ」
スエロ「……そういえばお前は、襲って良い人間か?」
マリー「だめよ」
スエロ「けけっ。まあそう言うな。俺がお前の参拝を歓迎してやるよ」
スエロ「どうせお前も暇なんだろ?俺と一緒に遊ぼうぜ!」
——撃破後
マリー「妖怪ってのはどいつもこいつも……」
スエロ「けけっ。強いねぇ、アンタ。ほんとに人間かい?」
マリー「人間よ……一応ね。それこそ、寺の奴らも人間なんじゃないの?」
スエロ「あそこの連中は特別さ。俺は正直、アイツ等を人間だとは思っちゃいない」
スエロ「その辺の野良妖怪なら片手で捻り潰せるだろうね。アイツ等は異常だよ」
マリー「ふーん……そんな人間が居るのね。まあ、結界全土に異変を起こすだけはあるって事か」
マリー「何なのかしらね、一体。急に頭角を表してきて」
スエロ「ま、俺はもう満足したから邪魔するよ。今度はもっと良い髑髏集めてくるから」
マリー「止めなさい、怖いわね。……今持ってるその髑髏をどうやって集めたのかは、聞かないでおいてあげるから」
マリー「はぁ……なんだか今回も面倒な事が起きてそうねえ」

マリー「すごい立派な参道……森の中にこんな場所があるなんてね」
マリー「…………使う人、居るのかしら?」
??「里の人間かしら?」

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光輝燦然の皇女
穴穂部 光子
Anahobe Miko
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光子「天楽寺へようこそ。貴女のような勇敢な人間を待ち侘びていたわ」
マリー「ん?なぁにあなたは。この寺の人間?」
光子「ええそうよ。太子をお守りする側近の一人が、このわたし」
光子「よくここまで来てくれたわ。さあ、早くこちらへ」
マリー「え、いや、ちょっと待ってよ。なんか勝手に話進めてるけど」
マリー「私は、不審なチラシを里にばら撒いた犯人を探してるだけよ。あなた何か知らない?」
光子「知らぬも何も、それを撒いたのは私達よ。なんだ、それを見てるなら話が早い」
光子「貴女も我々の目的に参画してくれるのだろう?……ほら、だから早く」
マリー「いやいや、何言ってんの。私はそれを止めに来たのよ」
マリー「この世界で、あまり訳分かんない事されると困るのよね。……まあとりあえず」
マリー「もうお決まりよね。一旦退治されてもらうわ!」
——撃破後
光子「……なんと。私が人間に負けるなど」
マリー「ま、こんなもんね。……それで、今回の異変はあんたらが起こしたって事で合ってるわね?」
光子「異変もなにも、私達はただ、この世界の不平等を正そうとしただけよ……」
光子「人と妖が平等でいられる世界……太子と友人様の理想郷……それを実現する為の、計画の一つに過ぎない」
マリー「ふーん……?なんだかよく分からないけど。あんた達にもそれなりの事情がありそうね」
マリー「その太子さまってのは寺の中に居るのかしら?まずはこのままお邪魔して、太子さまに会ってみましょうか」

マリー「うーん、太子さまは何処かしら」
マリー「建物の中だっていうのに妖精がそこらに居るし……何だか心の休まらない寺ねえ」
??「ようこそおいで下さいました」

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万象を聞き取る聖女
厩戸 徳映
Umayado no Tokue
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徳映「里の魔法使いですね。まさか、魔法使いがやって来るとは思いませんでした」
マリー「ん……?貴方は太子の部下か何か?私を太子の元へ案内してもらえるかしら」
徳映「太子は私ですよ。私は部下をあまり持たない主義ですから」
マリー「へ?貴方が太子?……なんか、想像してたのと違うなあ」
徳映「ふふ。貴方は私が、屈強で背の大きな男性とでも思っていたみたいですね。いけませんよ、見た目に騙されては」
徳映「普通の人間なら、私の小指を押し返す事すら叶わないでしょうから」
マリー「へえ……そりゃ凄いわね。身体増強の魔法でも使うのかしら」
マリー「まあそれは良いや。私はあなたに文句を言いに来たのよ。あのチラシはどういうつもり?」
徳映「文句、ですか。確かにあれだけの情報では、疑念を持つ者が居てもおかしくはありませんね」
マリー「そりゃそうよ。あんな怪しい宗教じみた事されちゃあ困るのよね」
徳映「我々は一応、ちゃんとした宗教施設の者なんですけれどね……まあ良いでしょう」
徳映「それではどうしますか?貴方はどうにも、私の説得や説明を受け入れる気は無いように見えますが」
マリー「そう思ってるなら話が早いわね。異変解決の時は、とりあえず首謀者をぶん殴るってのが鉄の掟よ」
マリー「貴方が今回の犯人で間違い無いのよね?さあ、覚悟なさい!」
——撃破後
徳映「これは素晴らしい。ただの魔法で、人間はこうも強くなれるのですね」
マリー「ふぅ……この馬鹿力……あんたの身体どうなってる訳?」
マリー「魔法を使ってる訳じゃない……でも単純な力にしては、人間どころかそこらの妖怪の比じゃ無い」
徳映「鍛錬を重ねたのですよ。貴方達の大好きな魔法に頼らずね」
徳映「人間とは本来そういうもの……しかしここまで地道な修行を積める者がごく一部である事もまた事実です」
徳映「皆がこのように強ければ良いのですけれどね」
マリー「……私は嫌だけどね。あんたみたいな奴がうろうろしてたら」
マリー「まあ兎に角。これで異変は解決ね?今度はあのチラシの内容を否定するチラシでも撒くと良いわ」
徳映「いいえ、まだ終わりではありませんよ。私の弟子と友人がこの地下に居ますから」
徳映「そこで彼は、この世界の常識を覆すような研究をしてくれている。我々はそれに賛同する形でこの異変を起こしたのです」
マリー「地下……?この広い寺に飽き足らず、地下室まで作ったっての?」
マリー「なんかやけにあっさり終わったと思ったらそう言う事ね。まだあんたの背後に退治しなきゃいけない奴が居るって訳か」
徳映「……我々の目的は、人と妖怪の共生です」
徳映「これまで里の魔法使いは、自身が創った結界に閉じ籠り、自身が生み出した変異である妖怪を無下にしている。そして"妖怪は人を喰らう悪"と決めつけ、攻撃する事に躊躇しない。おかしいとは思いませんか?」
マリー「…………でも、妖怪は人を襲うでしょう。それは拭えない事実よ」
徳映「……答えを避けましたね。まあ良いです。我々の計画を、その目を持ってご覧になると良いでしょう」
徳映「貴方は我々の計画に足る人材になり得る。期待していますよ」
マリー「はいはい、言ってなさい。地下なら建物も壊れないし、存分に暴れても良いわよね」
マリー「なんだか調子狂うわ……。そろそろ悪人らしい悪人が出てきてくれないかしら」

マリー「うわあ何これ、見た事ない機械だらけだわ」
マリー「寺の地下にこんなハイテクな物があるなんて……なんだか変な感覚ね」
??「は?魔法使い?」

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人と妖の境目
華堂 飛香
Asuka Kadou
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飛香「なんでこんな所に。どうやってここまで辿り着いた?」
マリー「ここの太子が案内してくれたわよ。あなたは何だか……変な気配をしているわね」
飛香「太子が、ねえ。それじゃあアンタは、我々の計画の賛同者かい?どうにもそうは見えないけど」
飛香「魔法使いがこの問題に取り組もうとしないから、私達が居るのにねぇ」
マリー「……?よく分からないけど、少なくとも私は賛同者じゃないわよ。あんた等のいかがわしい計画を止めに来ただけ」
マリー「ようやく分かったわ、あんたの変な気配の正体。……あんた、妖怪ね?」
飛香「ああ、そうだとも。私はもう人じゃない。アンタ達魔法使いが大嫌いな妖怪さ」
飛香「じゃあどうする、私を退治するかい?そうしないと、我々の計画は打ち破れないものねぇ」
マリー「言われなくてもそのつもりよ。人が妖怪になるなんて許された事じゃない。あんたは私が退治する」
マリー「さあ、行くわよ!人間の底力ってやつを思い出させてあげるわ!」
——撃破後
飛香「あちゃー、負けちゃった。アンタ普通の魔法使いじゃないね?」
飛香「勿体ない。アンタが妖怪になれば、私なんかよりずっと強くなれるだろうに」
マリー「私は人を辞めるつもりは無いわ。これからもずっと、人間で居続ける」
マリー「そもそもなんでこんな事してんのよ。人と妖怪の平等を目指したいんじゃなかったの?」
飛香「アンタの言う通りだよ。私達はその目標を掲げてずっとやって来た」
飛香「……アンタは、人と妖怪の間に存在する最も大きな溝ってなんだと思う?」
マリー「さぁ。溝が深すぎて、底なんて見えたもんじゃ無いと思うけれど」
飛香「変なとんちを効かせるんじゃ無いよ。答えは簡単……力だよ。人間は妖怪と比べて圧倒的に弱く、脆いんだ」
飛香「だからそこに差別が生まれる。偏見が生まれる。弱き者は、自分の実力を遥かに超える強大なものに出会った時、それを偏見で補おうとするのさ」
飛香「だからこの問題は無くならない。妖怪は人を喰らう脅威として喧伝され、まともな暮らしも許されない」
マリー「……だから、人を妖怪に変えて強くしてやろうと?」
飛香「そういう事。そうなればこの問題は単純明快になる。もう、種族が無駄な偏見を生む事は無くなるんだから」
マリー「成る程ね。あんたの言いたい事は分かったわ。……納得は出来ないけど」
マリー「どうしてかしらね。あんた達の考える理想郷は、すごく詰まらなそうなのよ。種族の違いを、人の違いを、妖怪の違いを、全部差別と決めつけるそのやり方の所為かしら」
マリー「いずれにしても、私の考えは変わらないわ。このまま進んで、あんたを妖怪に変えた犯人を探し出す」
マリー「そしてとりあえず一発ぶん殴る。……これで、異変は解決よ」

マリー「そろそろかしらね。気配が強くなってきた」
マリー「人を妖怪に変える……そんな事が本当に可能なのかしら?」
??「よく来たね、人間」

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万物を超えた造形師
クリスパー・スキュルトール
Crispr Sculpteur
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クリスパー「我が研究室へようこそ。僕はこの研究室で長をやっている者だ」
マリー「見れば分かるわよ。だってこの部屋、人の形をしたものがあんた以外に殆ど居ないんだもの」
マリー「それにこの気配。……あんたも妖怪ね?」
クリスパー「ああそうさ。あんたも、って事は飛香にも会ったんだね。どうだい、妖怪の力は素晴らしいだろう?」
クリスパー「それこそ、里の魔法使いを凌駕する力を得るなんてのも造作もない事だ」
マリー「あらそう?私はあんたの部下を丁度倒してきた所なのだけど」
マリー「そしてこれから、あんたも一緒に退治する。この馬鹿げた計画を止める為にね」
クリスパー「ふぅん、そうかい。まあ頑張ると良いよ。……それにしても」
クリスパー「里の魔法使いは噂通り、本当に愚かだね。一体どれだけ妖怪を無碍にしたら気がすむんだい?」
クリスパー「本来はこの世界を統べる魔法使いが取り組むべき問題を、こうして我々が代替してあげていると言うのに」
マリー「……確かにあんたの言う通り、里に閉じこもってばかりの魔法使いは自分勝手なのかもしれないわ」
マリー「私達人間は、妖怪から身を守る為に結界を作ったけれど……それは妖怪に対する恐怖を、余計に煽る結果を生んでいたのかもしれない」
マリー「でもね、だからと言ってこんな事が許される訳じゃ無い。人を妖怪に変えて何が解決するって言うのよ?」
クリスパー「分からないかい?人間があまりに弱過ぎるからだよ」
マリー「……は?」
クリスパー「今こうして、僕達が対等に話し合えているのはどうしてだと思う?人間の君と、妖怪の僕がだ」
クリスパー「答えは一つ。君が普通の人間よりずば抜けて強いからだよ。だからこの議論が成立している」
クリスパー「……人間は、つまり弱い存在はこうして対等に強者と向かい合う事すら叶わない。その結果が、妖怪への偏見や差別を生んだというのはあまりに自然な流れだ」
マリー「……だから人間が、妖怪のように強くなれば良いと?」
クリスパー「その通り。そうすれば、きっと皆んな幸せになれる。この寺がずっと願っていた夢が、叶うかもしれない」
マリー「…………良いわ、もう。あんた達の極端な考え方は、私には理解できないみたい」
マリー「あんたは私が退治する。里の人間は私が守る。……それが、魔法使いとしての私の役目よ」
クリスパー「そうかい、残念だ。じゃあ無理矢理従わせるしか無いね」
クリスパー「準備は良いかい?きっと君が見た事のない、全ての細胞が踊り出すかのような戦いを……僕が見せてあげるよ」