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08_uzume

全体公開 6299文字
2021-01-02 20:54:09



羽珠女「天楽寺、ねぇ。まさかこんな森に宗教施設なんて」

羽珠女「ここを潰せば、ウチの参拝客も増えるかしら?」

??「と、止まってください!」













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華開く木偶の坊

花平 桃子
Momoko Hanahira
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桃子「これ以上は……私たちの、敷地なので……

羽珠女「は?人間?こんな森で何してんのよ」

桃子「そ、それは……

桃子『分からないか?この先にあるのは、この森の霊たちを統べる大怨霊、白峯様の邸宅だ。世間知らずの人間め』

桃子『とにかく、これ以上近づくな。今すぐ退けば命だけは助けてやる』

羽珠女「ふーん。こんな所にも建物があったんだ。この森、意外といろんな物があるのねぇ」

桃子「む、無視……。貴方、早く逃げないと本当に……

桃子『殺される、わよねぇ?お前も分かるようになってきたね』

桃子「う……わ、私は……

桃子『じゃあ行くわよ、私の可愛いお人形さん。目の前の人間を、この屋敷を漂う無垢の怨霊に変えてやれ!』


——撃破後


桃子「い、痛い……

羽珠女「ごめんなさいね。私は忙しいの」

羽珠女「ただの怨霊がうようよしてるだけの屋敷になんて興味無いわ」

桃子『ぐぐ、どこまでも無礼な人間め……覚えておけ!』

羽珠女「あらあら。そんな王道の負け台詞、今更誰も言わないわよ?人間を取り込んでいるなら分かるでしょ?木偶の坊の妖怪でも」

羽珠女「ま、いいや。早く奥に進んでいきましょ。寺はこの先よね?」





羽珠女「なんか嫌な雰囲気……また妖怪とか出てきそうね」

羽珠女「やっぱりこの森は多いなぁ」

??「何が多いって?」













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踊る髑髏の泥人形

スエロ・ツァベラー
Suelo=Zaberar
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スエロ「けけっ、人間。俺たちのような奴の事を言ってるのかい?」

羽珠女「うわぁ出た。邪魔よ退きなさい」

スエロ「随分とひどい扱いだねぇ。縄張りに勝手に侵入して来たのはアンタの方だぜ?」

スエロ「人間ってのは、そういう礼儀とかを大切にする生き物じゃ無いのかい?」

羽珠女「妖怪に払う礼儀なんてありゃしないわよ。人の脅威をこの世界から除くのが、私の仕事の一つでもあるんだから」

羽珠女「分かったら早く退きなさい。今すぐ従えば見逃してあげるわ」

スエロ「ふーん、面白い人間。ま、こんな場所に無傷で居られる人間にマトモな奴なんて居ないよな」

スエロ「俺が退かない事くらい分かって言ってるんだろ?さあ、俺の遊びに付き合ってくれよ!」


——撃破後


スエロ「け、けけっ。流石に強いな……

羽珠女「その笑い方気持ち悪いわね」

スエロ「妖怪にだって傷付く心はあるぞ……本当に、血も涙も無い奴だ」

スエロ「寧ろお前が、妖怪だったりするか?」

羽珠女「んな訳無いでしょ。私は100パーセント純粋な人間ですっ」

羽珠女「これに懲りたら、もう人間の骨集めなんて止める事ね」

スエロ「ちぇっ、分かったよ。お前の骨もコレクションしようと思ったんだけどな」

スエロ「じゃあな。俺は、お前に付けられた心の傷を癒す事にするよ」

羽珠女「はいはい、そうしなさい。意外と面倒な奴ね」

羽珠女「そろそろかしら。これ以上妖怪に出会すと面倒だし……さっさと森を抜けちゃいましょ」





羽珠女「妖怪共の寝ぐらは抜けられたようね」

羽珠女「それにしてもこれは……随分とご立派な建物だこと」

??「天楽寺へようこそ」













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光輝燦然の皇女

穴穂部 光子
Anahobe Miko
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光子「我らの志に賛同する勇敢な者よ。さあ、こちらへ」

羽珠女「は?何よ急に。あんたはこの寺の人間?」

羽珠女「だったら私は、あんた達に賛同する人間なんかじゃないわよ。寧ろ粛清に来たんだから」

光子「ふむ?粛清?何故にそのような事を」

光子「チラシを見たのだろう?であれば、我々の目的も理解しているだろうに」

羽珠女「いや、私はあまり見てないわよ」

羽珠女「邇々芸様に様子を見て来いと言われたからそうしてるだけで。いかがわしい事を企んでるならついでに潰しておこうかと」

光子「ふーん。なら仕方ない。ならば事の詳細は太子様に聞くと良い」

光子「が、その前に……貴方が本気で我々を脅かそうとしているか。私が確かめさせてもらおう!」


——撃破後


羽珠女「で、太子様ってのは何処に?このまま進めば良いの?」

光子「ええ。太子様は本堂にいらっしゃるわ。貴方は通して良さそうな人間ね」

光子「言動は凶暴だけれど……心の奥底には誰よりも強い優しさがある。人々の為に、戦おうとしている。きっと、太子様も認めてくださるでしょう」

羽珠女「……別に認めて貰わなくても良いんだけどね。そんなつもり無いし」

羽珠女「まあでも良いわ。妖怪よりは話の分かる人間が居そうで良かった」

光子「……妖怪でも、人と通わす心はある」

羽珠女「ん?何か言った?」

光子「いいえ、なんでも。……それでは改めて」

光子「我らを導いて下さるこの寺に、ようこそ」





羽珠女「さて、寺の中までやって来たけれど」

羽珠女「なんか嫌な空気を感じるわねえ」

??「よく来て下さいました」













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万象を聞き取る聖女

厩戸 徳映
Umayado no Tokue
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徳映「結界の守り人よ。まさか貴方がやって来るとは思っていませんでした」

羽珠女「あらそう?私はこの結界を守る役割を担う人間ですからね」

羽珠女「あんたらみたいな無法者はシバく必要があるのよ。ここのボスはあんたで間違い無いかしら」

徳映「ええ、そうですが。椿宮はまた、個性的な人間を遣わせましたね。趣味でしょうか」

徳映「貴方はどうやら、最初から我々の目的に参画するつもりは無いようですね。寧ろ、それを潰す為に此処に来ているようだ」

羽珠女「まあ、そうね。その目的とやらもまだよく分からないけど。人と妖怪の平等……だっけ?」

徳映「ええそうです。貴方はここに来るまで、恐らく何人かの妖怪を打ち倒してきたと思いますが……普通の人間にはそんな芸当、出来るものでは有りません」

徳映「悲しいかな、その力の差が今の偏見を生んでしまったのは間違いの無い事実です。あまりに脆く、弱い人間が孕む偏見という闇です」

羽珠女「まあそうかもね。力で勝てないなら守りに入るしかない。だから里はああして結界で守られている」

羽珠女「でもそれの何が悪いのよ?それが人間という生き物の生き方でしょう?」

徳映「それもまた、一つの真実でしょう。……しかし私は、それでは満足出来ない。人と妖が対等に手を取り合い、助け合う世界を創りたい」

徳映「だからこの計画を立ち上げたのです。それを邪魔しようと言うのなら……

羽珠女「排除する、かしら?結局同じね、あんたも。でも良いわよ」

羽珠女「どうにもあんたの意見は気に食わない。一度私が、お灸を据えてやるわ!」


——撃破後


徳映「まさかこれほどとは。結界の巫女も捨てたものでは無いですね」

羽珠女「はぁっ、はぁ……何なのよあんた……めちゃくちゃ強いじゃない」

徳映「人と妖怪を繋ぐ役割を担おうとするのですから、この程度は当然です。しかし貴方は、そんな私にも屈せずに戦った。それは素晴らしい事です」

羽珠女「煽ってんの?嫌味な奴ね。……でもこれで良いでしょ?私はまだやる事があるのよ」

羽珠女「さっきから感じるこの妖気……この寺にはまだ、変なのが居るんでしょう?」

徳映「ほう、気付きましたか。ええその通り、この寺の地下に私の弟子と友人が居ます」

徳映「どの道、我々の計画に賛同するつもりが無いのなら……この先に進んでもあまり意味は無いと思いますが」

羽珠女「うっさいわね、行くったら行くのよ。異変解決はラスボスを退治するまでが仕事なんだから」

羽珠女「……平等なんてよく言うわ。力の差がどうこう話しておいて、あんたが一番人間の弱さを無下にしてるじゃない。認めないわよ、私は」

徳映「…………そうですか。ならば先に進んでみなさい。貴方には少々辛い光景を目にする事になるかもしれませんが」

徳映「それではまた。……私は少し、外の空気を吸って来る事にします」





羽珠女「何なのよここは……見た事無いものだらけね」

羽珠女「私はさっきまで寺に居たはずなのだけど。幻覚でも見てるのかしら?」

??「ちょっと待ちな!」













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人と妖の境目

華堂 飛香
Asuka Kadou
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飛香「この先は通せないねぇ。なんでここまで人間が侵入して来てるんだい?」

飛香「まさか太子を打ち倒した訳でもあるまい。何をしに来たのかしら?」

羽珠女「あんた等を止めに来たのよ。一端の結界の守護者としてね」

羽珠女「地上にいた時から感じていた妖気の正体はあんたね?気配の強さで目眩がするわ」

飛香「妖気、ねぇ。結界の巫女はそんな気配まで感じ取れるのかい。その通りさ、私は太子に仕える妖怪」

飛香「まあ元は人間だったけどね。友人様の力で妖怪にしてもらったのさ」

羽珠女「は……?人から妖怪……何を言ってるの?」

羽珠女「……まさか、皆んなあんたみたいに妖怪に変わる事で、人と妖怪は平等だなんて言うつもりじゃ無いでしょうね」

飛香「言うつもりだねぇ。それの何が悪いんだい?」

飛香「人間は弱く脆い……だからこそ、差別という武器でしか妖怪と渡り合えない。人と妖怪の真に平等な対話というのは、人間が根本的に強くならない限り、ありえないのさ」

羽珠女「……あんたそれ、本気で言ってんの?」

羽珠女「副作用で脳みそが縮んだのかしら。一度殴られてみる?治るかもしれないわよ」

飛香「何だい、怖い顔しちゃって。まぁ良いわ。どの道この先は通さないよ」

飛香「我々の計画を止めたくば、先ずは私を倒す事だね!妖怪となり強大な力を手に入れた、この私を!」


——撃破後


飛香「アンタ……アンタ、強いねぇ。本当に人間かい?」

羽珠女「これで分かったかしら。あんたらの考えてる事が如何に愚かなのか」

羽珠女「人間でも妖怪でも、弱い者は弱い。力の無い妖怪を、力の有る人間を……全部無視して偏見塗れの目で見ているのがあんたらよ」

羽珠女「それで平等?平和?笑わせないで頂戴。私の望むこの世界の平和は……そんなんじゃ無い」

飛香「……ふん。じゃあどうする。長年に渡る、人と妖怪の不平等をずっと無碍にしてきたあんたら人間に、何が出来る?」

飛香「魔法使いは里の結界に閉じこもり、神社の神々は結界守護に付きっきり。そして奴等は口を揃えて言うのさ。だって妖怪は人を食べるじゃ無いか、とね」

飛香「だから無視する。だから排除する。……アンタはその信条に、胸を張って生きていけるとでも?」

羽珠女「…………もう良いわ。あんたのボスとお話しさせて頂戴。この先に居るんでしょ?」

羽珠女「なにかしらね……今までずっと言葉にして来なかった事が急に形になったかのような」

羽珠女「異変解決にしては、なんだかやるせ無い気分だわ」





羽珠女「随分と広い地下室ね」

羽珠女「勝手にこんな施設作って……アカガミの監視能力も落ちたものだわ」

??「我が研究室へようこそ」












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万物を超えた造形師

クリスパー・スキュルトール
Crispr Sculpteur
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クリスパー「結界の巫女よ。君のような人間がこんな場所まで足を運んでくれるとはね」

羽珠女「あんたらが勝手な事するからでしょ。こっちだってこんな寒いなか外に出たくなんて無いわよ」

羽珠女「地下室に入ってから感じていた気配は二つ。一つがさっきの奴で……もう一つが、あんたの物ね」

クリスパー「飛香に会ったんだね。あの子に会っておきながら、無事にここまで来ているという事は……力ずくで彼女を制してきたという所だろう」

クリスパー「強いんだろうね、君は。人間が皆、君のようであればどんなに良かった事か」

羽珠女「そんなのゴメンよ。周りが皆んな私みたいな奴しかいない世界、想像しただけで寒気がするわ」

羽珠女「あんたはそんな世界が好きみたいね。皆んなが同じ、何も変わらない、そんな味気ない世界が」

クリスパー「ああ、好きだよ。僕は調和が好きだ。乱れが嫌いだ。その点においてはこの寺の者達にも同意できる」

クリスパー「良いかい、君は強い。すごく強い。そんな君だからこそ、僕が願う世界が味気なく見えるんだ」

クリスパー「断言する。殆どの人間にとっては素晴らしい未来が待っているに違いない。人と妖怪が手を取り合い、対等に生きていける未来がね」

羽珠女「……そんな未来はあり得ないわ。仮に人間が妖怪のように強くなった所で、元いる妖怪と手を取り合うなんて」

羽珠女「あんたは何やら、ここの奴らとはちょっと違う目的があるみたいだけど。もしさっきの言葉が、あんたの本心なら……

クリスパー「退治してやる、かい?まぁそう来るとは思っていたよ。ちなみに僕は、基本的に嘘はつかない。さっきのも勿論、本心だ」

クリスパー「そしてついでにもう一つ、本心を漏らすなら……君は僕に敵わない。僕の庭とも言えるこの部屋で、妖怪となった僕を、止められる手段は何処にも有りはしない」

羽珠女「言ってなさい。人間の弱さばかりに目を向けて、その強さを知らないあんたが私に勝てるかしら?」

羽珠女「異変は私が解決する。里の人間を妖怪に変えたりなんて、私がさせない」

クリスパー「うん。頑張ると良いよ。僕も一応、この寺の戒律は尊重するつもりだけど」

クリスパー「もし殺しちゃったらごめんね。その時は、僕の更なる研究の為に英霊となってもらう事にしよう!」


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