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桐真短文

全体公開 6 57 2706文字
2021-01-04 00:51:52

きりゅちゃんが兄さんのピアスであーだこーだ言う話。
めっちゃ短い文章。文章書くの久しぶりだったのでご容赦ください。
誤字脱字がありそう。

Posted by @3271Kkk00

桐真のメモ
【ピアス】
 桐生は、ふと真島の耳に目を向ける。そこにはシンプルな丸ピアスが金色に光っている。決して派手ではなく、しかしきらりと輝きを放ち真島の小さな耳たぶを飾っている。
 これは「ゴロ美」を演じる為だけにピアスを開けたのだと真島本人の口から答えられた。ゴロ美として現れる時、ピンク色のパイソン柄ボディコンドレスが目立っているがいつも大きめのリングが2つぶら下がった煌びやかなピアスが顔のそばを飾っている。最初はイヤリングだろうと思っていたが、その後一年ぶりに会った時に真島の両耳にはピアスの穴の跡が残っているのに気づいた。何となく2人で酒を飲んだ時に桐生は尋ねたのだ。
「それはゴロ美にする前から開けてたのか? 気づかなかったが……
 すると真島は何ともないような口調でこう答えた。
「いや? その為だけにピアス開けただけやで」
 その返事で軽く頭を叩かれたようなショックがあった。あの真島が。俺の為に、いや俺との喧嘩の為に。ピアスを何の躊躇いもなく開けてしまった。その真実が何故か桐生の脳を揺さぶらせた。何故だか分からない、自分だってどうしてそのちっぽけな事実だけでそんなに己が心をざわつかせたのか、桐生は分からない。
 それが桐生と真島が二人ともそれ以上の関係もない時の記憶だった。

 金色のピアスが光を変える。真島がこちらを向いて首をかしげたのだ。じっと耳を見つめていた桐生に気付いたのだろう。
 桐生は真島と関係を持ち、その関係が爛れたものなのか分からないが、肉体も精神も割と通わせるようになった2人に変貌していた。この男を好きだと思い好きだと口にするようになって既に数年は経過している。桐生はもう一度、真島に聞いた。
「俺の為にその耳のピアスを開けたんだよな、なあ兄さん」
「ん? ああ、そうやで」
 真島は桐生にゴロ美で喧嘩を売る以外でピアス穴を使うことが無かったのだが、桐生と再会したときにピアス穴の事を聞いてきたことで気が向いてピアスを付けるようになったらしく、お互いの関係に変化があり、好き同士と言い合えるようになってからも桐生と会う時は耳にピアスを付けて来るようになった。それはごく稀であったが桐生以外の前で付けることは全く無かったので、ピアスをする真島吾朗を見れるのは俺だけだという自信を桐生は持ち合わせていた。
「喧嘩したくてやったけどお前の為に開けたようなもんやなぁ」
 真島は桐生にそう返し、少し眉根を潜ませると「何やそう思たら俺だけピアスしてんのは妙に癪やなぁ、もう付けるの止めよか。せえへんようなったら穴塞がるし今度からはゴロ美はイヤリングでもええもんな」と意地悪な口調で言った。焦るのは桐生だった。自分の前だけでピアスをする真島が好きだ。真島の耳に嵌まるあの小さな金属に特別な感情があった。桐生は「待てよ、何でそうなるんだ」と文句を言う。
 真島がピアスを開けたきっかけ、真島がピアスをもう一度付けるようになったきっかけ、それが全て自分にあった。声に出して言うことでも無いが、優越感があった。本当にどうでもいいような小さい事だが桐生には大事なことだった。
「辞めちまうのか。癪だなんて言うなよ」と桐生はそれまで素直に思ったことを言ってしまった。言うつもりがなかったくせに言ってしまうとこんなものだ。真島はほくそ笑んだ。この男が自分がきっかけでピアスを開けた兄貴分に対して生意気に独占欲を感じてることも見せてきていることも分かっていたし隠してるつもりだということも分かっていた。ガキンチョが独り占めする為に砂場の中にオモチャを隠すくらいのガバガバの隠し方だ。
 分からない方が難しい、桐生と会う時にピアスをつけていくとその視線が何度もチラチラと耳に注がれているし、この男がくれたピアスをつけていった時は似合っているとすごく褒めてくれ耳を見る回数も倍だった。その後の耳への愛撫が増えたのはちょっと恥ずかしかったのも覚えている。馬鹿だ、言葉に当てはめるなら愛くるしい馬鹿。
 可愛いやつ、そんな言葉が頭に浮かんで仕方なかった。こんなオッサン相手に可愛いという表現で良いのか悩んだが、小さな優越感も独占欲も、俺の耳を見て喜ぶコイツも。可愛いやつ。惚れた弱みだろうか、こんな甘い気持ちになったのはいつ以来だったか。しかしながら真島は意地悪だ。ピアスするしない事案に必死になる可愛い弟分を揶揄いたくなる気持ちがムクムクと湧いてくるのもさがである。
「せやったらお前も俺の為にピアス開けろ、出来るやろ」
 真島がそう言うと桐生は目を少し見開いて、数秒眉を上げて考えた後にむむうと唸り鼻息を小さく吐く。嫌そうだった。でもその声に出した言葉は予想外にも「良いぜ、アンタと同じピアスならな」だった。
「ほん? ええんか? お前の顔は嫌そうやぞ。嫌なら俺もお前もピアスを付ける道選ばなきゃええだけなんやで」
「うるせえな、俺はピアスはアンタに付けてて欲しいんだ」
「それで何でお揃いやねん。アホのアベックみたいに同じの付けて並んで歩いて見せつけるようにキスでもしたろか」
 そう軽口を叩きながら真島は桐生の首に手をかけた。その左手を桐生が掴む。
「今の台詞で俄然やる気だぜ。してやるよ」
 目の前の男は半ば意地になり、ヤケクソだった。やる気だなんて言った目には不満が有るのなんか分かりやすく滲んでいた。しかし、それよりも強く桐生の纏う雰囲気は欲情していた。首から伝う体温とおざなりの誘い文句がヤケクソで生まれた感情に悪ノリをした。
 この野郎抱いちまおうという悪ノリだった。
 アホな男やな、でも可愛い。
 この男の性根が好きだ、真島は目を三日月のように細ませて瞳に桐生を閉じ込める。
 ピアスだって、桐生が穴を開けなくても自分はきっと頼まれたら今と変わらず付けるだろうし新しくプレゼントされたら目の前でもうひとつ穴を増やしてしまうだろう。お前が喜ぶなら俺も嬉しい、この男を好きになってからずっと思ってきたことだった。一度だって言葉にしたことはないが顔で身体で表してきた感情である。きっと向こうも気づいている。そうじゃないと真島の左手を離し、二の腕を滑り肩をくすぐり背中をなぞるこの手はあり得ないのだから。
 きっとこのままキスしてSEXして、真島は寝かせてもらえない。だから、起きて身体の自由がきいたらピアッサーと金色のピアスを買ってきてやる。真島も何となく言った桐生のピアスに俄然やる気になっていき、白い歯を見せて笑った瞬間口に飛び込んできた男の熱い舌の肉の味を楽しんだ。


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