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08_MaryED

全体公開 1141文字
2021-01-30 09:28:40

雪で白く染まった人里。
白い地面に白い息、色味の無い景色の中に、随分と派手な色をした二人が居た。天楽寺から帰還したマリー、そして彼女を出迎えていたミタマである。

ミタマ「お疲れ様。無事に帰って来たわね」

マリー「ミタマさん。こんな里の外れでどうしたの?珍しい事もあるものね」

ミタマ「ちょっとね。あなたが戻ってくるか心配だったのよ」

マリー「そう?まあ確かに、今回の相手は一筋縄じゃ行かなかったけれど」


彼女はそう言って、近くにあった椅子に腰を下ろす。白い息が少しだけ、低い位置から立ち上る。

ミタマ「強くなったわね、あなたも。私が追い抜かされるのも、もう時間の問題かしら」

マリー「そんな……私はまだまだよ。ミタマさんは勿論、今回も敵わない相手が沢山居た。

マリー「強くなればなる程、自分から遠い相手ばかりに目が行ってしまうの」

ミタマ「それはあなたが成長できている証拠よ。大丈夫……あなたにはまだ時間がある」

マリー「…………お母さんに、何かあったの?」


彼女は少しの沈黙と共にそう切り出す。
それはあまりに唐突な質問のようであったが、そんな彼女の質問に対する回答は案外直ぐにやってきた。

ミタマ「…………分からない。でも、この世界の結界が急に弱くなっているのは間違い無いわ。今は神社の神とヘルメス君が何とか対応しているけれど」

ミタマ「何かがおかしい。でもあなたのお母さんの気配は私でも辿れないのよね。一体何処で何をしているのか……

マリー「そんな……。まだ誰もお母さんを見つけられていないの?」

ミタマ「多分ね。だからこうして、あなたが帰って来るのをずっと待っていたのよ」


二人の間に、冬の冷たい風が吹き荒ぶ。
彼女は少し前に腰を下ろした椅子から立ち上がり、里の中心部の方角を見据える。

マリー「……一つ、心当たりがあるの。去年の夏に、冥界から連れて来たクロガミの力……あの子を閉じ込めていた場所よ」

ミタマ「里の地下牢の事かしら。そんな場所に彼女が足を運ぶようには思えないけれど」

マリー「普通ならね。でもあの子は特別。お母さんはどういうつもりで居るのか分からないけれど……でも里の中で何か異常が起きるなら、あそこしか考えられない」

ミタマ「あなたが言うのならその予測は間違いないのでしょうね。分かったわ、すぐ行きましょう。……全速力で飛ぶからね?」

マリー「着いていけないわよ私……もう次から次へと、そろそろ倒れそうだわ」


そう言って、二人は里の中心へと向けて飛んでいった。
冬の真ん中にある暦は、まだまだ明けそうにも無いようだ。

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ED.02
『不穏な冬空』

読了お疲れ様!次回作に続く……
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