FGO 鬼一法眼と不肖の弟子
@syuu_29
そういえば君、あんまり驚かなかったよなとすんなりと食堂に馴染んだ様子で饅頭を割る天下万世の師が言った。まだカルデアに来て数日しか過ぎていない人との思い出であるので、心当たりはそれほどなく、はてと首をひねれども一つぐらいしか思い当たらなかった。この人の正体だ。
「天狗だってこと?」
「うん、それだ。天狗として名を残したつもりはなかったのでな」
「そこは……まあ、牛若丸がそれらしいことを言っていましたから」と素直に答えれば、彼女はむずかしい顔をした。
「まったく――軽々しく言ってくれるよなァ」
「そんなにとっておきの秘密だった?」
「そりゃあな。僕は天狗でなく、陰陽師として暮らしていたわけなのだし」
だのにキャスターじゃないけどさ・と何故だか拗ねた声で目を細めた鬼一は遠くを見つめている。そういえばランサーがよかったと言っていた気もする。おやと彼女の視線を追えばやはりというか、いつもどおりというべきか、不肖と言ってはばからない弟子がいる。しかも今日はテンション高めの水着霊基の姿だ。天狗面まで頭につけている、言い逃れのしようもないその姿は、まだ疑惑に留まれそうな姿形をしている鬼一その人よりも、ずっと露骨に天狗アピールをしている。なんなら天狗がどうのと喋りまくってさえいる。
「おいおい、弟子よ。なぜ君がそんな顔をするんだ。あいつがするならまだわかるが」
「いや、水着霊基はなんというか――」
ハロウィンよりはまともだとかそんなどうしようもない説明をしそうになる程度には、皆水着になるとどうしてか常よりずっと癖が強くて様子がおかしくなりがちなものだから。けれど自分が言い訳するのもおかしいだろうかとなんだかいたたまれない気持ちで牛若丸から視線を戻せば、しかし意外にも天下万世の師たる天狗の頬は緩んでおり、唇のはしだって綻んでいた。
「うん……そうだな。弟子にはわからないかもな」
うれしいものだ、とたぶん彼女は口の中に閉じ込めた。その言葉そのものが聞こえたわけではないけれど――そうだろうなとわかってしまう。
はしゃぐ牛若丸を見つめているその表情は、そういうあまくてやさしいものだったので。
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師匠と弟子〜〜〜ってなって書いたけど掴めてるかちょっと自信ない おそまつさまでした