@Ferin_L
※この記事はBOOTHの倉庫が遅延していなかった頃に書かれた2021年の記事です。現在は大幅な遅延が報告されております。シークレット通販ができる委託先を複数考慮し比較された上でP4Pをされることをおススメします。
当サークルは2020年に支部再録の忘羨小説文庫本を発行し、最初は物々交換で、後にP4Pでの再販を二度行い希望者に頒布いたしました。ここでは私の二度目のP4P体験を基にした、BOOTHの倉庫委託&シークレット公開制度を利用したP4Pのやり方について説明します。P4PとはPay for Production の略で、印刷費や諸経費(例:梱包代)などの実費を参加者人数で割り、二次創作物の制作にかかる費用と送料を参加者が共同で負担する方法で、利益を出さない二次創作物の頒布方法の一つです。BOOTHシークレット公開制度とは、特定の人にのみ注文ページを公開できるBOOTHの機能です。公式から同人活動に関する具体的なガイドラインは今のところでておりませんので、最終的な判断は各個人に任されます。節度のある活動をすれば大きな問題は起こらないのではないかと思います。
この記事はあくまで小説書きである一個人の体験に基づいて書かれたものですので、このやり方が必ずしも正しい&効率的というわけではありません。また、フォロワー数の多い絵師さんの役にはあまり立たないかもしれません。手数料がかからない自家通販がいい方という方や、転売抑止として匿名発送ではなく直接発送したいという方もいると思います。BOOTH以外にもPictSPACEや日光の自家通販代行サービ等を利用する手もございます。P4Pには色々なやり方がありそれぞれ一長一短ですので、ほかの方の体験談なども参考にしながら、ご自分にあったやり方を見つけてください。
BOOTHの倉庫委託を利用する利点
・自宅で梱包、発送などの事務作業をしなくてよい
・デフォルトで匿名発送になる
・自宅で在庫を抱えなくてよい
・入稿→発送までを全てネット上で行える
・P4Pの性質上、倉庫代がかからない
BOOTHの倉庫委託を利用する欠点
・手数料、シークレット公開利用料がかかる
・印刷所から本がBOOTHに到着してから入荷、発送まで時間がかかる
・発送方法は補償付きの宅配便(730円)か、補償なしのゆうパケット(400円)の二択で、それより安い発送方法が選べない
・初めて扱う本・グッズを予約販売する場合、発送方法が宅配便(730円)しか選べない
・注文後のキャンセルができない
P4P作業の大まかな流れ
① P4P参加者の募集
② 発行部数の決定、および一人当たりの負担額の計算
③ シークレット公開でBOOTHの予約注文ページを作成、参加者に送信
④ 参加者による予約注文・入金
⑤ 予約注文・入金されなかった部数の再募集
⑥ 入稿
⑦ 発行、BOOTHに在庫が発送される
⑧ BOOTHに本が到着→入荷→参加者宛てに発送
結構面倒な手順ですが、参加者が誰かを把握したかったこと、先着順ではなく本当に欲しい人の手に渡ってほしかったことなどの理由から、注文ページを一般公開するのではなく、P4P参加者にのみ予約注文ページを公開し本を頒布するこの方法を選びました。
上述の「P4P作業の大まかな流れ」に記した手順について順に説明していきます。
① P4P参加者の募集
P4P参加者の募集は最低でもある程度発行できる予測がついてから行った方がトラブルが少ないです。個人的なオススメはページ数や装丁が確定し、入稿できる目途がたった段階での募集です。何故ならそれらの情報が未定の段階では一人当たりの負担額の計算ができず、注文ページが希望者に送れないからです。応募してから実際に注文できるまでの日数が長くなるなればなるほど、当然ながら気が変わって脱落する人の数も増えます。頒布者側も事情が変わり、発行を大幅に延期したり取りやめたりすることになるかもしれません。ですので、あまり早い段階での募集は避けた方が無難だと思います。正式な募集の前に大体の部数を予め把握しておきたい場合は、需要調査と称して参加者を募ることもできますので、そういう形を取る手があります。
実際の募集ですが、私の場合は再販でしたのでいつでも入稿できる段階で行いました。ツイッター上で忘羨本の紹介およびP4Pプランを宣伝し、応募フォームの受付は魔道祖師オンライン交流会当日限定で行いました。期間限定でツイッターなどで応募を受け付ける方法はポピュラーです。応募フォームの作成はグーグルフォームを利用しました。ここでおすすめしたい事は、タイムライン、連絡方法、期限までに入金がなかった(連絡がつかなかった)場合の扱い、を応募フォームにしっかり明記することです。
<申し込みフォームに記載するタイムラインの例>
■ 1月1日~1月3日:P4P参加者の募集
■ 1月4日:一人当たりの負担額及びBOOTH予約注文ページの連絡を参加者に一括BCCメール送信(1月5日までにメールを受け取らなかった方はツイッターDM等で至急ご連絡ください)
■ 1月11日:参加者による予約注文・入金期限(期限までに入金されなかった場合はキャンセル扱いになりますのでご注意ください)
■ 1月中旬:注文・入金されなかった部数の再募集(参加者全員分の入金が確認された後に入稿となります)
■ 2月1日:発行、および印刷所→BOOTHへ本の発送
■ 2月中旬:BOOTHに本が到着→入荷作業(1~3週間かかります)
■ 2月中旬~下旬:皆様のお手元にBOOTHから本の発送
参加人数次第ではツイッターのDM一括送信が使えますが、人数が多くなると不便でした。私はメールのBCC一括送信で参加者と連絡を取りました。留意したいことは、注文ページを送っても期限までに全員分の注文・入金を受けることは難しい、という事実です。リマインダーを送ってもどうしても連絡がつかない方、もしくは注文されない部数はでてきます。理由としてはメルアドが間違っていた、メールが届いていない、メールをチェックしていない、忙しくて注文を忘れていた、申し込んだ後に興味を失った、などさまざまです。この種の「応募してきた人と連絡がつかない・注文がこない」系のトラブルは残念ながらツイッター上でよく見かけましたし、私自身も経験しました。応募受付をツイッター上でやりとりのある相互さん限定にしたとしてもこういう事態は起こります。対処方法は、最初から脱落者がでる事を想定した上でプランを立てることです。例えば、予めこちらから連絡を出す日をタイムラインに明記しておき、「〇日までに当方から注文ページが送られてこなかった場合はご一報ください。期限までに注文がない場合は自動的にキャンセル扱いになります」と申し込みフォームに記載しておくと色々と楽です。また、キャンセルが出た場合備え、再募集をかける期間を予め予定に組み込んでおく&入稿日を少し後に設定しておくとスムーズです。
他には年齢確認の項目(R18の場合)や無断転載、譲渡、売却など禁止事項の記載、予想される負担額、感想を書き込めるフリーのコメント欄なども申し込みフォームに含めるといいと思います。
② 発行部数の決定、および一人当たりの負担額の計算
同人誌の発行にはさまざまな費用が掛かります。印刷代を筆頭にBOOTH手数料、表紙のデザインや依頼にかかった費用(小説本の場合)、シークレット公開費、送料などが実費に含まれると思います。実費を参加者に負担してもらっても利益はでません。P4P参加者に何をどこまで負担してもらうのか、自分が何を負担するのかの判断は人それぞれですし、具体的な印刷費など諸経費を必ず公開しなければならないという明確なルールもありません。私の場合は印刷代+BOOTH手数料+送料を参加者に負担してもらい、私自身はシークレット公開費などその他諸経費を負担しました。そして印刷代及び部数の情報は、あくまでこのP4P参加者内にとどめるようにと皆様にお願いした上で、印刷費を参加者にのみ公開しました。
オフ活動をされたことのある方には周知の事実ですが、同人誌は装丁、ページ数、部数、サイズ、加工、印刷所、割引などによって単価が非常に大きく変動します。本来、印刷代や部数などの情報は同人界においてとてもセンシティブなもので、同人誌にはいわゆる相場価格が存在します。発行部数が大きくなればなるほど単価は下がります。同人活動をされている他の方のご迷惑にならないよう(特に他ジャンルの市場に響かないよう)、色々工夫する必要がでてくる事も予想されます。
③ シークレット公開でBOOTHの注文ページ作成、参加者に送信
BOOTHの注文ページを作って普通に公開すると、誰でも注文ができてしまいます。そういった事態を防ぎ、あくまでP4P参加者にのみ予約注文ページを公開する方法が「シークレット公開」です。要はパスワード認証で見れる予約注文ページですね。シークレット公開機能の利用には月額550円かかります(なので全員分の注文が確認できた段階で利用を停止しましょう)。メールでやりとりをする場合ですが、P4P参加者リストはグーグル申し込みフォールに入力してもらったメルアドを一括で連絡先に登録することで作成できます。注文ページができたら参加者にURLとパスワードをメールでBCC一括送信し、以降の連絡は同じようにメールのBCC一括送信でこまめに行います。
予約注文ページを作成するにあたり留意したいことは、BOOTHで初めて扱う同人誌・グッズを予約販売する場合、発送方法が宅配便(730円)しか選べない、ということです。一方、印刷所からBOOTHに既に入荷済みの本、もしくは一度BOOTHで扱ったことのある本(再販など)の場合は、補償付きの宅配便730円もしくは補償なしのゆうパケット400円、という二種類の発送方法が選べます。送料を選べるようにするために、先に本を発行してからBOOTH入荷後に注文ページを参加者に送る、という手もあります。この方法には注文されてから数日でBOOTH倉庫から本が発送されるという利点もあります。ただし、この方法を選んだ場合、発行後にキャンセル部数が出るリスクが発生し、後で再募集をかけたり売れ残りの在庫を抱えなければならない(=倉庫代がかかる)可能性に留意する必要があります。
④ 参加者による予約注文・入金
注文期限は長くてもせいぜい1~2週間で十分だと思います。期限が長いと逆に注文するのを忘れてしまう方がでてきますし、大半の方は連絡をもらってから直ぐに注文します。それ以降注文がない場合はメールを見ていない、もしくはメールを見た後注文するのを忘れている場合です。期限内にリマインダーを2回は送りましょう。大抵はリマインダーを送った直後に注文が入ります。ちなみに注文は全てBOOTHにて識別コードで表示されるため、誰が誰かはこちらからわかりません。しかし個々の注文者との直接のやりとりは「注文一覧」→「注文の詳細を見る」→「購入者にメッセージを送る」からできます。P4P参加者から「入金がちゃんとできているか不安」など質問をもらった場合は、注文IDを聞いてこちらから状況を確認できます。
余談ですがBOOTHは転送コムやBuyeeと提携を組んでいるので海外発送できるそうですが、現在支払いに海外のクレカが使えないエラーが発生しているようです(ペイパルは使える)。海外から申し込みがあった場合はその点を参加者に知らせておく必要があります。
⑤ 予約注文・入金されなかった部数の再募集
注文期限がきても注文されなかった部数は、残念ですがキャンセルされたとみなし、再募集をかけます。この時、予約注文ページのパスワードを変更することを忘れないでください。再募集した後に注文し忘れた人から期限後に注文が入るのを防ぐためです。当初の部数に達したら再募集を締め切ります。注文が全員分完了した段階でシークレット公開を終了し(重要!これを忘れると毎月550円の請求が来てしまいます)、注文ページを非公開に変えます。
⑥ 入稿
もし既に原稿が出来上がっていた場合、全員分の注文が確認できた段階で入稿します。そうでなければ締め切りを守って頑張って入稿しましょう。入稿した段階で参加者にその旨を報告すると良いと思います。ちなみに参加者は既にBOOTHに入金していますが、そのお金が実際にこちらに振り込まれるのは本が実際に発送されてから更に翌月です。
⑦ 発行、BOOTHに在庫が発送される
印刷所から本がBOOTHに発送された段階で再び参加者に近況報告します。何も音沙汰がないと不安に思われる参加者の方もいらっしゃいます。何か進展があった場合は私は逐一参加者にBCC一括送信で連絡していました。
ちなみに印刷の段階で発生した予備の本の扱いですが、私はそれらを自宅に発送してもらい、万が一の郵便事故や届いた本に不備があった場合に備えて取っておきました。予備がもらえるか不安な場合は少し余分に印刷しておくことをおすすめします。最終的に余った部数の扱いですが、私の場合は物々交換に利用させていただきました。プレゼント企画に利用されている方を見かけたこともあります。
⑧ BOOTHに本が到着→入荷→参加者宛てに発送
本が印刷所からBOOTH倉庫に届いてから一つ一つ検品され袋に詰められ発送できるようになるまで(入荷作業)かなりの時間がかかります。運がいいと入荷まで1週間、繁忙期だと3週間以上も(!)かかります。入荷が終わってから初めて参加者に本が発送されます。自家通販だと自宅に印刷所から本が届いてからすぐに発送できるのに対し、BOOTH倉庫はこの期間が余分にかかってしまいますので、予め参加者にその旨を知らせておく必要があります。私は入荷作業が始まったときと、入荷が終わり発送が始まったときに参加者にBCC一括送信でその旨を連絡しました。
ちなみに私が取った方法ではありませんが、こういったシンプルなP4Pのやり方もあるかと思います。
❶ まず本を発行する
❷ 印刷所からBOOTHに本を発送→入荷
❸ 利益ゼロの実費のみの本代で注文ページを普通に公開して販売
この方法の利点は
• 参加者を募集して注文ページを送ったりという事務作業を省ける
• 入荷してから注文ページを公開するので、注文してから発送までの期間が短い
• 送料が補償付きの宅配便730円もしくは補償なしのゆうパケット400円の二種類から選べる
だと思います。要は本の値段が実費のみであるという以外、普通に同人誌を売る手順と変わらないですね。皆様に馴染んだ配布方法ですし、ある意味とても楽かもしれません。
この方法の欠点は、
• 部数が読めない
• 注文されなかった分は全て赤字になる
• 売れ残った在庫が多いと倉庫代がかかる可能性がある
• 誰の手に渡るかわからない
• 部数が少なすぎてすぐ売り切れた場合、本当に欲しい人の手には渡らないかもしれない
• 部数により同人誌の相場価格を大幅に下回った原価での公開販売になった場合、他のジャンルで活動しているサークルに響く可能性がある
などが挙げられます。
他にもPixivFACTORYや製本直送などを利用した、利益ゼロの価格設定をした受注生産をする、などのP4Pの方法も考えられると思います。
いかがでしたでしょうか? 残念ながらどのやり方も完璧ではなく、それぞれ利点と欠点があるのがお分かりいただけるかと思います。是非皆さまご自身のアイデアでより良い頒布方法を編み出していってください。同人活動の規模もペースもひとそれぞれですので、無理なく続けていけるような工夫ができたらいいなと思っています。
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<追記 2021/5/31>
何度か聞かれましたので投げ銭(BOOST機能)についての個人的な意見を記します。私自身は投げ銭は「クリエイター本人に対する応援の気持ち」に当たり特に問題はないと考えます。イベントでの差し入れと同じで、頒布物の売り上げのためのものではないからです。海外ではコミッションをするクリエーターも多く、ko-fiやPatreonを利用している人もいます。それにはMXTXジャンルの活動者も含まれます。それを「営利目的」だと捉えるかどうかの議論はひとまず置いておき、現段階で問題になっている様子は見当たりません。そういう状況を踏まえた上での個人的な判断です。ただし、投げ銭は受け取らないと決めている方もいらっしゃるので、P4Pに参加する時は提示された条件をよく読み、頒布者の迷惑にならないよう各頒布者の意向に従ってください。