シンエヴァネタバレ考察と解説
こちらに関しては他の考察と統合した完全版を執筆済みですのでご興味あればどうぞ。
https://note.com/mohi3/n/n0e68e2df8f95
最初に前置き
膨大なエヴァの謎を解き明かしたいから考察をするようになった。
そのうちに避けようのないビッグラブの事実に耐えきれなくなってカヲシンを好きになった。
これは1人の考察書きがカプや腐というバイアスをできるだけ抑えて書いた事実を究明するための考察です。
私はシンエヴァを初見で観ていて謎の既視感を感じていました。
これセカンド旧劇じゃん…と
それは旧劇で補完されなかったゲンドウが補完される物語だからそう感じたのでもあるのですが、違うんです。私が感じたこの既視感は旧劇を読み解いている時に感じたものと同じ。
そう、シンジ君、最終的に隣に女の子がいてもずっとカヲル君のこと思っとるぞ!!?
…これでした。
シンジ君の隣にいるのが誰なのかというぱっと見の画で判断しない方がいいと思います。
シンエヴァの構造は旧劇とほぼ同じです。
旧劇でもシンジ君の心は最後の最後までずっとカヲル君に向いたままでしたし、
新劇でもシンジ君がずっと想ってる人はカヲル君なんだって見るたびに確信しました。
それは他の方も言ってらっしゃるように女の子の告白にも微動だにしなくなってたりマリに一切照れていないから。
その他にも根拠となる部分を「新劇場版世界の成り立ち」というハードの側面と「シンジ君の心理面」というソフトの面から詳しく述べていきます。
まずシンジ君を立ち直らせてくれたのはトウジやケンスケ、黒波の優しさというリアリティの体験。…なんですが、これ実は3人がシンジ君にしてくれたこと、Qでカヲル君がシンジ君にしてくれたことと本質的に同じことなんです。
例を挙げると①居場所を与える②無理に励まさないで1人の時間を尊重する③挑戦させて自尊心を高める④仲良くなるおまじないなどなど…
「どうしてみんな僕に優しくしてくれるの」に対して黒波は「碇君のことが好きだから」と答えます。
これってQでカヲル君がシンジ君に優しくしてくれていた理由に気づいたということでもあると思うんです。Qでのシンジ君はすでに罪人である自覚を持った上でカヲル君の優しさに保護されているので。
この時点でシンジ君はこの世界のカヲル君が自分を想い、好きでいてくれたことを知ります。なのでシンジ君を立ち直らせてくれたのはリアリティと、そしてカヲル君との記憶です。
そしてアナザーインパクトで開いたマイナス宇宙の中で今度はテレビアニメ版→2〜n回目の世界を経て→新劇場版の世界であることを知り、どの世界でもカヲル君が自分を愛してくれたことを知る。
それは今まで理由も分からずただ愛され強く思われるだけだったシンジ君が、どんな理由でカヲル君が自分を想い、愛してくれていたかを全て理解したということ。
シンジ君が思い出したのって、カヲル君からの大きな愛、その一方的なものだけではないんですよね。自分も何度もカヲル君に惹かれ、好きになったことも思い出してる。双方向的なもの、いわゆる両想いに何度もなってきた上で死別してる記憶を思い出した。
これが①テレビアニメ版→②新劇場版の世界っていう単一の繋がりならカヲル君が動く理由は前の世界で自由を与えてもらった恩返しってことになるんですけど、
シンエヴァで①テレビアニメ版→②〜nの世界を経て→③新劇場版の世界という事実が判明した今、
どんな世界でも両想いになるから、シンジ君はカヲル君が自分を好きだから幸せにしようと頑張ってくれてたってことに気付いたということになるんです。
(もちろんカヲル君ももしかしたら旧作の次の世界では恩返し目的で動いてたのかもしれない。そして回数を重ねていくたびに愛しているから行動することに変わっていったのかもしれないし)
そして自分が何度絶望しても「また君に会いたい」と願ってきたことすらも思い出したんですね。全部、全部。
考えてみれば、テレビアニメ版でも漫画版でも「好き」という気持ちを言葉なり行動なりでシンジ君に伝わるよう表現してくれたのってカヲル君だけなんですよね。
それは他のどんな世界でもカヲル君はシンジ君に「好き」を伝えてるってことだし、その度にどの世界でもシンジ君は自分を愛してくれる他人の存在に気付いてきた。
(新劇場版ではレイ(黒波)もアスカもちゃんと伝えた、よく頑張った!って思う)
レイもアスカも、シンジ君に向けた好意や行動を数値化するなんてできないけど、明らかに渚カヲルの愛だけ規模が違いすぎるんですよ。それこそでかい・深い・重い。世界何個も越えて記憶を保持してるんだもの。
全てを理解したシンジ君の心の大部分を占める理由としては納得ですよね。
(そう考えると記憶を保持し続けてきたカヲル君圧倒的有利じゃん!チートじゃん!とも思いますがどうして記憶保持できてるかは後述します。)
実際、13号機と戦っている時父さんに見せられているイマジナリーの世界だとしてもカヲル君と過ごしたネルフのピアノの横に倒れ込んだシンジ君の表情、汚されてしまうピアノを見てすぐに立ち上がる。
カヲル君との記憶はシンジ君の中で絶対に誰にも汚されたくない、踏み込まれたくない部分を物語っていますね。
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次にカヲル君サイドで、今回から新たに出てきた単語「真空崩壊」と「生命の書」がなんなのかということと、シンジ君と必ず出会う運命と記憶保持の関連性について考えていきます。
真空崩壊
宇宙が崩壊するほどのエネルギー現象(空気が無い状態を示す真空とは別の意味だそうです)
「僕を消せるのは真空崩壊だけ」
ということはこの宇宙が存在する限り何度世界が変わろうと生命の実を持つカヲル君は肉体を失っても記憶を保持したまま次の世界に変わった時、次の体で目覚めてしまう。
それを知っているカヲル君はシンジ君に必ず会えるように何度も生命の書に名を書き連ねていく。
生命の書
とは宗教的には永遠の命を神から与えられる人たちの名前が書かれている教典なのだそうです。
エヴァではカヲル君"だけ"がそれを扱えると、現時点の情報では捉えることができます。
ところで
死海文書は使徒が生まれそして還る場所「白き月」の中に入っていた予言書です。使徒がいつ目覚めるのかといった情報が記されている書。
死海という場所でみつかったから死海文書。それはリリンが見つけたから名付けた呼称ですね。
なら使徒の側からすると別の呼び名があったのでは?と思いました。
カヲル君は使徒なので「生命の実」が与えられた側です。
…なんとなく繋がりがあるような気がしませんか?
エヴァの登場人物の中でカヲル君"だけ"が使徒です。
唯一の人型使徒であるカヲル君だけが扱える生命の書…
「生命の書」は=死海文書なのだと考えます。
そしてここからが大切。
死海で発見された死海文書(生命の書)を解読してみると使徒が目覚める時期が分かったので、解読情報を元にゼーレがその後の計画方針書とする「裏死海文書」が作られ、そして使徒が起こそうとするインパクトから人類の滅亡を阻止するためにエヴァの製造がはじまります。
その死海文書を解読したのはユイであるとする説があります。(※ユイはゼーレの所属ですから)
死海文書(生命の書)にシンジ君の存在が予言として書かれていたのならばそれを解読したユイがいずれ来る使徒による世界の破滅を防ぐ救世主を自分の子に託そうと思った…と繋がってもおかしくない。
カヲル君はユイが生命の書を解読してくれることを円環のループの中で確信し、何度もシンジ君の名を書に連ねる。
カヲル君がなぜその行動に出るかと言うと、世界が終わる間際にシンジ君が旧劇のように「また会いたいと思った」と言ってくれるからです。
シンジ君が再会を願ってくれるからその出会いを必然とすべく書に名を記しユイに見つけてもらうという構造が出来上がる。
ここで円環が発生する。
つまりお互いが再会を望む、2人は再会を約束し合っているから次の世界で2人が出会うことは必然であり運命になっている。
再会の日は「約束の時」なんです。
(…カヲル君の気持ちと行動のスケールが周りと違いすぎるでしょう?)
円環の構造をまとめるとこうです
①テレビアニメ版の世界でユイが死海文書を解読する
(この時は使徒が目覚める年が書いてあるだけでシンジ君の名は記されていない、テレビアニメ版が初回の世界なので)
↓
②ユイは自分の子供を世界の救世主にすることを決意しゲンドウと結婚する
(ゲンドウが円環の中心になってしまうのは予想外だと思われる)
↓
③シンジ君とカヲル君が出会う
↓
④サードインパクトが始まり世界が終わる。
終わる間際にシンジ君が願ったこと「ATフィールドがあっても他人のいる世界がいい。もう一度君達に会いたい」
カヲル君「わかったよ」
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⑤カヲルくんは生命の書にシンジ君の名を書く。「お願いユイさんこれを見つけて…!」
そして世界は終了し次の世界へ
↓
⑥次の世界でユイはまた生命の書(死海文書)を解読し救世主の必要性を感じシンジ君を産むことを決意する
↓
⑦シンジ君とカヲル君出会うも幸せになれず死別(ゲンドウのせい)
↓
⑧シンジ君をトリガーとしてインパクトが始まりまた世界が終わる。
シンジ君は何度でも他人のいる世界(相補性のある世界)、カヲル君と出会えることを望む
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⑤〜⑧をn回繰り返す(これが円環)
↓
ついに円環を抜け出し新劇場版の世界に到達する
(正確には序までは円環のまま破で円環を抜け出す)
エヴァという物語はシンジ君とカヲル君2人がたとえ片方記憶を何度リセットされても共に生きたいと願い足掻き続けた物語。
「僕は君だ」
このセリフでカヲル君もまた、この物語の主人公であると分かります。
この考察にあまりレイとアスカの話を出していないのは、円環で何度もやり直された世界の中に存在していたはずなのにレイとアスカの行動では線路のポイントを切り替えるには至らなかったから。それは2人がキーマンではなくマテリアルだったということ。
レイとアスカにもそれぞれに役割や仕組まれた運命がもちろんある。
でもシンジ君のS-DATを次のトラックに進め、運命の線路を切り替える事ができたのはマリ(ユイにシンジ君を見届けることを託された者)とカヲル君(もう1人の主人公)だけなんです。
「相補性のある世界を望むか。シンジ君らしいね」のセリフから、相補性という言葉における相補とは欠けたものをお互いに補い合う事。
シンジ君は、人は完璧じゃなくていい。他人とお互いに支え合える世界を、と
やはり旧劇と同じで「他人がいてくれる世界」であって欲しいと何度も願ってきたんですね。
真空崩壊でも起きない限り宇宙は破壊できない、この宇宙がある限りカヲル君は存在してしまう。自分自身で消えることができないのに本当に自分は存在していいのか、その答えを彼はずっと探していたんじゃないかと思うんです。
ならばシンジ君を幸せにすることができたら自分の存在意義がわかるかもしれない。いや、自分の存在を肯定するためにはシンジ君を幸せにするしかないと思うようになっていく。それが自分の幸せだと誤解していく。
だからシンジ君に会うたびに、「ぼくは君に会うために生まれてきたんだね」と自分に言い聞かせるように呟く。
でも「僕は君の幸せを誤解してた」と気づく。
エヴァが存在するのはどうしようもないことだからその世界の中でエヴァに乗り、シンジ君を幸せにしようとした。
でもシンジ君が願った幸せって実はエヴァが存在しない世界にあった。
シンジ君が願ったさようなら全てのエヴァンゲリオンによりカヲル君も真空崩壊とは別の方法で円環を終わらせやっと消える事ができる。
でもシンジ君は君もこの世界にいて欲しい、1人の人として生きていて欲しいと願った。だからシンジ君は「ネオンジェネシス」でカヲル君の持つ「アダム」・レイの持つ「リリス」というエヴァになりうる要素を消そうとした。
さようなら全てのエヴァンゲリオン
最初はエヴァの素体となる要素を持った全てのものの排除かと考えてましたが違いました。いや、間違えてはいない。エヴァ機体というハードの側面で見たら合ってる。
精神的なソフトの面で見た時、さようなら全てのエヴァンゲリオンは=さようなら父と母。
なんでここで父と母がいきなり出てくるかというと、世界の滅亡を防ぐためとはいえ子育てをほぼできないままエヴァを作ったのはユイとゲンドウですから。
シンジ君は本来両親からもらうべきだった愛情が不足しており、それを身近な人達から補うしかありません。それは決してよくないことではないです。自然なことです。
そして父の代役となれる人がカヲル君で、母の代わりと感じられる人がレイやミサトさんだったというだけです。
自分に必要だった愛情を受け取れた時、シンジ君は大人になるために親(代わりだった存在)から自立しなければなりません。
ですがその別れは物理的な離別じゃなかったんです。それはカヲル君に父を重ねることをやめる、レイから母を感じることをやめる、そして1人の人間として接することができるようになるということでした。(アスカでいうとマリの母性とケンスケの父性からの一人立ち)
しかしカヲル君とレイにはアダムとリリスの魂が入っているというシンジ君とは物理的な離別の危険性をはらんでいます。
カヲル君の魂が13号機に、レイの魂が初号機に入っているままだとシンジ君がエヴァの無い世界を望んだ時に2人の魂もまるごと消えてしまいます。
だからシンジ君は大切な人と一人一人向き合うことでそれぞれの魂をエヴァの機体から脱出させます。(外の世界に出たことを確認してシャッターを下ろしているという風に表現されていますね。)
エヴァの無くなった世界で生きているためには魂の他に肉体もセットになっている必要があるのですが、どうやってカヲル君とレイの肉体を用意できたのかはこのべったー内の別記事に詳しく解説しておきましたのでよかったらそちらに。
ゲンドウが狂わなければシンジ君とカヲル君は出会うこともなかったかもしれないし出会わなければ死別することもなかった。
だから円環が発生することもなかったはず。故にゲンドウが円環の中心です。
ゲンドウはもう大人だから自分でしたことに自分で落とし前をつける。
それは息子に愛情を注げなかったこと、息子の大切な人達を利用してきたことに。
だからユイと共にカヲル君から父親の役割を引継ぎ、レイから母親の役割を引き継いで子供達をエヴァの存在する世界で背負わされていた役から解放させ自分達はエヴァの中に残り消える。
息子の幸せを精一杯サポートするという意味で落とし前をつけた。
物理的な面で言うと以上がチルドレン全員がエヴァの無い世界で生きていられる理由となります。
次に、シンジ君の心が最終的に誰に1番強く向いているかを、それぞれと対話したシーンから見ていきます。
シンジ君はカヲル君に「さよなら」も「ありがとう」も言いませんでした。また会うためのおまじないなのに?
レイがアスカに言った、エヴァに乗らない幸せってシンジ君に出会わなくてもいい、シンジ君を好きにならなくてもいい幸せがあるよって意味に感じてしまったんです。でもアスカはエヴァに乗り続けたしシンジ君を好きになった。
だからシンジ君は大切にしてくれる人の元で幸せになってほしいと願ってアスカに「さようなら」を
レイには自分に固執しなくていい別の生き方もある。でも自分を好きになってくれたことに感謝し「ありがとう」を伝え合っている。
カヲル君にはそのどちらも言わない。言えるわけがないんですよね。
旧作と今作通して
レイとアスカは自分からシンジ君を好きになったから行動した。
カヲル君はね、違うんです。もちろんカヲル君も自分からシンジ君を好きになった。でもシンジ君が自分を好きになってくれたからカヲル君は行動した。
シンジ君はレイとアスカに自分に恋をしない別の生き方もあると伝え気持ちに折り合いをつけられたけどカヲル君にはそうもいかない。だって自分が好きになって一緒に生きたいと願い続けてきた人だから。
シンジ君にとって「ありがとう」も「さようなら」も「いってらっしゃい」も、どの言葉も言ったら最後それは別れを意味してしまうんです。
シンジ君が思い出すカヲル君は「また会えるよ」と言います。Qでもそうでしたね。カヲル君もシンジ君に絶対にさよならを言わない。
さようならという日本語には「Goodbye. (もう会えないだろう・離別)」と「See you.(再会を望む)」の2つの意味が入っています。
送り手が再会をのぞむおまじないに「さようなら」を使っても、受け取り手は永遠の離別と捉える可能性がある。
シンジ君が使うさようならは「Goodbye.」を意味するんです。
さようなら、全てのエヴァンゲリオン。もう会うことはないだろう存在なのですから。
もうひとつ、思い出してみてください。24話で庵カヲル君が最後に言った言葉…「"ありがとう"君に会えて嬉しかったよ」です。シンジ君とカヲル君にとってそれも別れの言葉。
だからこの2人のまた会うためのおまじないは「さようなら」でも「ありがとう」でもないんです。
シンジ君がカヲル君に言いたいのは「また会いたい」以外に無い。でも言ったらカヲル君はシンジ君に会おうとまた頑張ってしまう。その言葉でカヲル君だけまた運命に縛られてしまうから言えない。
だから心の中でずっとずっと「また会いたい」と願うしかない。
仲良くなるためのおまじない。
私はレイとの握手を"達者で(見送り)"
カヲル君との握手を"迎え"と感じました。
1人で渚に座っていたカヲル君。1人だけリリンとは別の存在のカヲル君。
本来、アダムベースの生き物とリリスベースの生き物は同じ地球上では共存できません。どちらかがどちらかを滅ぼすしかなかった。
でも君も一緒に来て欲しい。君は渚カヲルという1人の人間だよこの世界にいていいんだよ。どうか同じ世界を生きていて欲しい。カヲル君の手を取りに来たシンジ君は1人だったカヲル君を迎えに来たのだと…まるで一緒に家に帰ろうと言う子供のように、カヲル君は存在を肯定された。それが仲良くなるためのおまじないのシーンだと感じています。
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カヲル君と加持さんのことも解説しておきたい。
「思い出したんだ、ここで何度も君と出会ってる」ってところがシンジ君ひとりの回想ではなく、思い出の場所にカヲル君ともう一度訪れている。
シンジ君とカヲル君の会話が終始彼らの記憶の中のシーンで行われるのと同じで加持さんとカヲル君の会話もまた、現実世界で過去に彼らが共に見た風景を投影して行われていると考えることができます。
(シンジ君がいるマイナス宇宙は人の知覚で感じとることができないためLCLがその人の記憶を投影して風景を作ってくれている。カヲル君の魂は13号機に残置されてるからカヲル君もマイナス宇宙にきてることになる。もちろん白波もアスカも)
破の嘘予告が空白の14年間の凝縮説を推している身としては、あの予告は14年間のうち最初の半年にも満たない期間に起こった様々であると思ってます。
めちゃめちゃ簡単に略すと破の後にネルフは旧劇と同じく国連に襲撃されネルフ職員は幽閉される。その際にゲンドウと冬月は雲隠れ。暫定的にカヲル君がネルフ総司令となる。そのためニアサーと本当のサードインパクトの間には若干の期間があく。
その間に加持さんとカヲル君が結託しているそのシーンの再現であると予想される。
カヲル君がシンジ君に抱く愛の様々。今まで彼はシンジ君にしか関わってこなかったし、他人にその気持ちを話すことはなかった。
ミサトさんに対して、別れてからもずっと愛情を持ち続けてきた加持さんとカヲル君はたった1人の人を想い続けている同志なんですよね。
もしかしたらカヲル君がシンジ君への想いを吐露できた唯一の大人が加持さんなんでしょう。
そりゃ仲良くもなるよ。
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ラストのシーン
大人になったシンジ君にDSSチョーカーがついたままということはシンジ君とマリだけが肉体を保ったまま補完を乗り越えたという証拠。だから記憶を保持している、2人は真実を共有し合う者。
カヲル君とレイは一度肉体を無くしてしまっているので肉体にあった記憶は無くなっています。肉体を持って生還したアスカもシンジ君が世界を書き換えたと同時に記憶改変されていると思われます。
記憶を保持したままシンジ君をずっと強く思い会える時を待ち望んでいた今までのカヲル君と記憶をリセットされていたシンジ君。
ラストではそれが入れ替わってしまったんですね。
つまりシンジ君はカヲル君を強く思い、また会える時を望んでいる。
エヴァのなくなった世界で、もちろんカヲル君もレイもアスカも記憶は無くしてしまってるけど
3人がシンジ君を愛してくれていたこと、とりわけ何度世界が変わっても自分に会いにきてくれて、ケタ違いの愛情を自分に言葉でも行動でも示し続けてくれていた存在をシンジ君は全部知っているし全部覚えて生きている。
それだけは絶対的な事実なんです。
シンジ君の心はその人に向いたまま。
その上でシンジ君にとってチルドレン全員が等しく大切な人達。
今はその人達が生きてこの世界にただ在ってくれるだけでいい。
マリはアスカが、シンジ君にはカヲル君とレイとアスカが、たとえ向こうが自分を覚えてなかったとしても、もう定められた運命なんかに縛られずみんなが生きてこの世界にただ在ってくれていることを感じていられるだけで今は幸せ。
旧世界では女性恐怖症のシンジ君が同性のカヲル君と出会い惹かれるのは必然。
では女性恐怖症ではない健全な家庭で育ったシンジ君はカヲル君に惹かれないのでは?というのもあるけど、限りなく女性恐怖症にはなっていないであろう新劇場版のシンジ君もまたカヲル君に惹かれた。それは父性を感じたからという部分もあるかもしれない。
でもシンジ君はどの世界でも惹かれるということに、愛に性別は関係ない人間だということが証明されたことになる。
ミサトさんは加持さんに父親を見ていたから別れた。でも離れて時間が経ちお互いに成長した。もうお父さんを感じることなく加持さんを見れるようになったからヨリを戻した。
それってシンジ君→カヲル君にも言えることだし、アスカ→ケンスケにも言えることだと思う。さようならエヴァンゲリオン(ネオンジェネシス)でカヲル君に父親を重ねて見るのをやめ、一人の人間として見ることができるようになった。
依存し依存されの不健全な少年時代から一旦決別し、これからは自立した大人としてまた出会い、友情を深めることもできるしまた惹かれ合うこともできるよって。
ずっと一緒にいながらお互いが変化していくのは大変だと思うけど、少し離れてお互いが成長しまた出会えた時、今度は対等でお互いを尊重し支え合う、相補性のある長く続く関係になるよ。
私はそういう希望のある関係へのポテンシャルを感じました。
シンジ君が駅のホームで目を覚ました時、14歳でエヴァのある世界を終わらせてから一瞬でエヴァが無い世界の28歳時間軸に書き換わったのだと思います。(シンジ君の首にDSSチョーカーがついたままなのがその証拠です)
だからシンジ君はマリの「だ〜れだ?」に対し自己紹介の時にくれたヒント通りの回答をする。
このセリフ、自分もちゃんと記憶を保持してるよ。君もでしょ?ってマリへ伝えているようにも感じませんか?
お互いが記憶を保持していることを確認し合っているシーンになりますよね。
一応書いておくとマリはユイと同世代です。(漫画版14巻の「夏色のエデン」を読んでね!)
ユイは自分が物理的にシンジ君を見守ることができなくなるため同級生のマリに託し、マリは自身をクローン化させてシンジ君達と同年代に存在していることになります。
そのためマリにとってシンジ君は大切な人の忘形見であり、恋愛対象ではありません。
14歳のシンジ君は大人になる一歩を踏み出してエヴァのある世界を終わらせた。そこからラストのシーンまでの体感時間が一瞬であるならシンジ君はラストの時点で体は大人、心は14歳ということになる。シンジ君には少しの間14年間の成長を取り戻すための時間が必要。マリ姉さんのセリフよろしく「世間を知りニャ!」な状態。
マリって自身をクローン化させてシンジ君達と同年代に存在していたとはいえ、ユイ達と共に生きていたオリジナルの時の記憶を有してもいるのでラストのシーンでは身体年齢30歳の精神年齢40歳オーバーです。シンジ君にとっては人生の大先輩みたいなもの。
自分が本当の意味で大人にならなきゃまた誰も、カヲル君も幸せにすることができないから、それまで待っててほしい。
加持さんが別れても変わらずミサトさんを待っていたように、カヲル君は変わらずこの世界にいてくれる。存在してくれてる。それを駅のホームで確信した上で大先輩と一緒に外の世界(世間)を勉強しに駅の外に飛び出す。
チルドレン達の道はもう交わらないのか?それはもう答えが出てるんです。交わる可能性は大いにあります。
あの場に全員がいた。それだけでもすごいこと。
それでいてカヲル君とレイは先にもう道が交わってる。
これって一緒に存在することが許されなかったアダムとリリスが同じ世界にいてもいいと、もうそんなこと気にしなくていいという意味でもあるし、チルドレン達の縁は望めば交われるということの証明でもありますよね。
カヲル君とレイがどうして一緒にいるのかも詳しく考察・解説してるのがべったーの別記事にあるので気になる方はそちらも読んでみてくださいね。
マリは物語をぶち壊す者、それは抜け出せない円環の物語をぶち壊すという意味でもある。
それって、シンジ君とカヲル君の2人を手助けする者という捉え方もできる。
2人が共に存在していける世界になったその立役者はマリ。
そしてマリって、シンジ君の心が誰に向いているのかも知っています。(Qでカヲル君の死にグズるシンジ君を間近で見ているし、ヴィレに戻ってきた理由がその人にあるということを確かめに自己紹介しに行ってます)
ならば2人の主人公の縁を再び交わらせてくれるのもマリ…かもしれませんよ。
新劇場版でゲンドウとユイの縁を繋いでくれたのもマリだったし。
もしかしたらどんなに世界の法則が変わっても、会いたいと願ってさえいれば必ずカヲル君とは惹かれ合えることにもシンジ君は気付いたのかもしれないし。
2人の縁がもう一度交差し、出会う時がめちゃめちゃ楽しみじゃないですか?
そして老後は2人で野菜育てなよ。だって加持さんはシンジ君とカヲル君にだけ土のにおいを教えてくれたんだから。
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