@toki_ko_ko
汐田さま@shio_da_2 の素敵な金福村企画(http://privatter.net/p/717098)に、調子に乗って参加させていただきました…ッ!お目汚し失礼します!楽しかった!;;
▼元の文章はこちらです。
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S系統のバスのなか、混雑する時間。ニット帽をかぶった二十歳過ぎぐらいの男、帽子の端には小さな蛇の刺繍が入っている。スポーツをしているのか体格は良い。客が乗り降りする。隣に立っている金髪の男に何かを囁く。金髪の男はそれを咎める。辛辣な声を出そうとしているが、どこか甘えたような口調。目の前の席があくが二人とも座らない。
二時間後、静岡駅の新幹線改札口前で、その男をまた見かける。連れの男(先程とは違う黒い髪の男である)が彼に、シャツのボタンを付けるよう言っている。男の胸元を指差し、その理由を説明する。
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★★★★
▼こちらの原文を自分の文体で書かせていただいたのが以下の文章で、す…;;
S系統のバスは混雑している。何とはなしに正面の窓を見つめた福富は、硝子に映った金城のニット帽の端に、小さな蛇の刺繍が入っているのに目を留めた。上背のある、体格の良い男の帽子に縫いつけられた、似つかわしくない可愛らしい刺繍。これが他ならぬ男自身の手によるものだと、この車内の何人が気づくだろう。金城が刺繍を趣味にしていることを、福富は最近になって知った。福富も金城も、互いのプライベートについて多くを知らない。
二人のあいだに生じた因縁は、あの夏の日に昇華されたはずだった。だというのに、福富の胸の裡には金城がいる。ずっと消えてはくれはしない。この男に魅了されたまま、福富は彼の求めに応じてここまで来てしまった。
バスが駅前のロータリーに到着すると、車内の客の多くが降りていった。この駅には新幹線は停車しない。福富と、彼を見送る金城が目指すのはこの路線の終着点だ。乗り降りする客たちの邪魔にならぬよう、荷物を押さえて体を縮めると、どうしても隣に立つ男に触れてしまう。昨夜の記憶が蘇って、福富の全身が一気に熱を帯びた。
不意に、金城が福富の耳に囁く。
「———引き返すか?」
勢い良く振り返れば、不穏な瞳とまともに視線がかちあってしまう。
「ここで降りれば、俺の家に戻る系統に乗り換えられる」
もう一晩、泊まっていけ。言外にそう誘う金城を、福富は睨んだ。明日は練習があって休めない、確かにそう伝えていたし、この男も了承していたのに。
「金城っ!」
小声で咎める福富に、金城は冗談だと微笑んだ。それが噓だということくらい、福富にもわかる。辛辣な声音を出すことには失敗した。彼を諌めるために名前を読んだというのに、どこか甘えたような響きが籠ってしまったことに、福富自身ですら気がついていた。
金城の誘惑には応えず、福富はバスを降りなかった。やがてバスはまた動き出す。目の前の席は空いたけれど、二人とも座らないまま、ただ隣り合って揺れていた。
***
二時間後、静岡駅の新幹線改札口を、福富は一人でくぐった。
「ではな、金城。……送ってくれて、助かった」
「ああ、道中気をつけてな」
やれ土産を選ぼう、喉が乾いただろうからお茶でもと、何かと理由をつけてこの時をぎりぎりまで引き延ばしたというのに。別れの言葉は至って淡白だった。先ほど購入した土産の入った袋を下げて、福富は東京方面のホームを目指す。
もし自分たちが男女だったら、あの場で抱擁でも交わしたのだろうか、と夢想しながら、歩を進める福富は気づかない。彼の背に、今しがた別れたばかりの男が、燃えるような眼差しを向けていることに。
完全に福富の姿が消えた頃、黒髪の男がそっと金城に近寄って声を掛けた。
「そんで? 計画はうまくいったのかヨ」
「ああ、おかげさまでな」
微笑む金城に、男———荒北はケッ!と悪態を吐く。
「——ボタン」
「ん?」
金城は荒北に指差された胸元を見て、合点する。
「シャツの一番上ェ。とれかけてンだよ」
「ああ、気がつかなかった」
昨日の夜は夢中だったからな、とニヤリと口の端を上げた金城の尻を、荒北は無言で蹴り上げた。
「惚気てンじゃネーヨ! この色惚け野郎!」
了.