We Best Love:2位の反撃 EP3後~EP4までの書逸の気持ちの動きを考えてみて、その情景をストーリー風にしました。復縁シーン直前まで。想像です。
@blhabbit
目覚めると、夜が明け始めていた。
薄闇の中で身じろぎもせず、腕枕をする仕徳の体温を背中に感じながら懐かしい匂いのなかで静かに横たわっていた。
熟睡した気がする。
いつも浅い夢を見ては、ゆるい頭痛と共に目覚めるけれど、今日はない。
仕徳はいつからこの体勢で眠っているのだろう。
きっと腕がしびれているに違いない、あの保健室の時のように。
俺はまた目をぎゅっと閉じた。
心に刻まれてしまった感覚は容易に記憶と直結してしまう。
最近は仕事への集中力やルーティーンを使ってコントロールできるようにはなっていたけれど、仕徳と再会してからはうまくいかなくなっていた。
5年は長い。そしてこの3年は…。
考え始めて暗澹たる気分になった。
はぁ、…俺たちはいったい何をしていたんだ…。
ふと薬袋と椀が見えた。
仕徳を起こさないようそっと起き上がり、ふとんをかけてやった。
静かに、俺は仕徳を眺めながら食べた。
馬鹿なやつ。
俺に見合う資格を5年以内に得るだなんて、親父の胸算用次第でいくらでも変えられるような条件を呑むなんて。
馬鹿正直にもう3年も……。
泥酔して現れた夜、取り決めを口外しないなんていう親父との約束を守ろうとして苦しみぬいていたと考えるとため息しか出ない。
……だが、俺も誤った。
あの時、アメリカで見たものが何だったのか、俺は確認しなかった。
「会って説明したいことがある」というこいつのメッセージを、思い込みと怒りで断罪した。
信頼した人に絶望させられることも多かった俺は、傷ついた心を守るために相手を可能な限り素早く切り捨てることを覚えた。
俺は仕徳を信じていたつもりだったけれど、連絡の取れなかった間に静かに積もっていた小さな不安で、まるであの光景が答えであるかのように錯覚し冷静な判断を失った。
信じられると思っていた、信じていたかった仕德に裏切られたという受け入れがたい思いに対し、俺は仕徳を切り捨てるという対処方法しか知らなかった。
切り捨てられるわけもないのに。
馬鹿な俺。
仕德の”一生””未来”を信じていなかったのは俺も同じだ。
薬を飲んだあと食器を置き、そっとベッドに戻った。
目を閉じ、程よく胃を満たした粥に満足しながら仕德に背を向けて横になった。
もう時間は取り戻せない。
「あの時、アメリカになんていかなければ」
「もう一度やり直してくれないか」
そう言って涙を流したこいつの気持ちに、今は胸が詰まる。
日は昇り始め、解放的な窓から朝日が差し込んだ。
俺は仕德の方に向き直り、馬鹿なほど俺を求めている男の寝顔を眺めた。
すっと瞼を開いた仕德と目があう。
「ごめん。お前の永遠を信じなくて」
仕德が悲し気に、申し訳なげにぽつりと告げた。
起きていたのか。
俺は仕德の目を見、静かに聞いていた。
これからは、もう仕德の一言一句は逃さないでいよう。