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幸せを呼ぶKitchen〜Magia Notes Part.12〜

全体公開 ツイステ二次創作 3993文字
2021-04-10 16:28:08

美味しい料理は人々に幸せを運んでくる。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第12話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

蒼い空に温和な笑みを浮かべた太陽が昇っている。
上機嫌な太陽が草地に暖かな光を照らしている。
色とりどりの花が美しく咲く、うららかな春の季節がナイトレイブンカレッジにも訪れたのだ。
今日も授業が終わってから、私はシルバー先輩と一緒に中庭の木陰でゆったりとした時間を過ごしていた。
シルバー先輩の周りには動物たちがいて、私達の頭上には小鳥が運んできた花冠が被せられている。
この中庭の一角だけ、まるでお伽話のワンシーンのようだ。

「暖かくて気持ち良いですね」
「ニコルは今日も幸せそうだな」
「春は私の好きな季節なんです。シルバー先輩、紅茶をどうぞ」
「ありがとう」

今日の紅茶はジェイド先輩に勧めてもらったフルーツとバニラの香りの紅茶。
お茶菓子はメープル味のマドレーヌ。
のどかな中庭で頂く紅茶とお菓子は、一段と美味しく感じる。
ここ数日は春のライブに向けての練習とアルバイトに加えて、バルガスキャンプという名の運動部員のための強化合宿の記録係を担当していた。
多忙な日々から解放されて、またこうして緩やかな時の流れに身を任せている。

「そういえば、ニコルは料理が得意だったな」
「あっ、はい。どうかなさいましたか?」
「実は……

シルバー先輩は私にマスターシェフという名の料理の授業のことを話してくれた。
シルバー先輩はリドル先輩と一緒にマスターシェフを履修していて、この間は料理レシピの本を買いに行ったそうだ。
今は授業で習ったことを復習するために、料理に挑戦することが多いらしい。

「ニコルが良ければ、俺と一緒に料理をしてくれないか?」
「もちろんです! 私でお役に立てるなら」
「ありがとう。マレウス様たちにも話しておく」
「せっかくですから、他の寮からも何人かお誘いしましょうか」
「あぁ、そうだな」

さっそく私達は日時を決めて、料理レシピ本を見ながら何を作ろうか話した。
二人で作るならば、あまり難しくない料理が一番良いだろう。
ある程度候補を出して、シルバー先輩と私の好きな料理をその中から選んだ。
作る料理を決めた後、おもてなし当日に都合がつく人を募った。
当日はディアソムニア寮を会場にして、来客に手料理を振る舞う。
シルバー先輩が自分で料理をする人であることは知っていた。
けれど、一緒に料理をすることになるとは思ってもみなかった。
二人で作る料理はどんなものになるのだろう。
美味しく出来るだろうか。
私はおもてなし当日を今から楽しみにしていた。

手料理でのおもてなしパーティー当日。
私とグリムはディアソムニア寮の門の前でシルバー先輩を待っていた。
相変わらず、ディアソムニア寮は仄暗い夜の帳の中にそびえ立っている。
しばらくすると、シルバー先輩が出迎えてくれた。
談話室へと通されると、ツノ太郎さんとリリア先輩がいらっしゃった。
セベクくんは自室にいるらしい。
グリムにはツノ太郎さんたちと一緒に談話室で料理ができるまで待ってもらうことにした。
私はシルバー先輩とダイニングの方へと向かった。

「ここが台所だ」
「広いですね! あっ、コンセントもある」
「材料はあらかじめ買い揃えておいた。足りないものはないと思う」
「そうですね。では、さっそく始めましょうか」

私は持ってきたエプロンを身につけ、手を洗った。
シルバー先輩も普段の重厚な装備を外して、寮服のジャケットを脱ぎ、愛用のエプロンを身につけた。
先輩の持っていたエプロンは、私が想像していたものとかなり違っていた。

「あっ、シルバー先輩のエプロン可愛い!」
「あぁ、これか。親父殿から貰ったんだ」
「シルバー先輩のお父様は可愛らしいものがお好きなんですね」
「そうだな。確かに親父殿は可愛らしいものが好きだ」

シルバー先輩愛用のエプロンは、淡いピンク色の生地に人参を持った白いうさぎのイラストがプリントされたエプロン。
裾にフリルも付いていて、男の人が着るにはあまりにも可憐すぎるかもしれない。
だけど、シルバー先輩は見事に着こなしていた。
身支度が整ったので、私達は材料の下ごしらえを始めた。
今日のメインディッシュはチキンときのこのクリームシチュー。
レシピ本を眺めながら、二人で作ろうと決めた料理だ。

「まずは、具材を切っていきましょうか。私が皮剥きしますね」
「わかった。切るのは俺に任せてくれ」

私はピーラーを使って、人参とじゃがいもの皮剥きをしていった。
皮剥きが完了したものはシルバー先輩に次々と渡していく。
今回は作る分量が多いので、工程も二人で分担しようと決めていた。
シルバー先輩が手慣れた包丁捌きで野菜を切り分けていく。
私が具材を切る時よりも力強く、姿勢も凛としていて美しい。
皮剥きを終わらせた私は、シチューの要になるホワイトルー作りを始めた。
フライパンにバターを弱火で溶かして、薄力粉を入れて炒めていく。

「ダマにならないように気をつけないと……
「ニコル、具材を全て切り終えたぞ」
「ありがとうございます。では、鶏肉に火を通して具材を炒めていってください」
「わかった」

私がそう言ってすぐに、シルバー先輩は鶏肉に塩こしょうと薄力粉を振り、大きな鍋に入れて皮目から火を通していった。
シルバー先輩が手際良く具材を炒めている間も、私はホワイトルー作りに集中していた。
バターで炒めた薄力粉に少しずつ牛乳を注いで伸ばしていく。
ホワイトルーがだんだんと仕上がってきた。
具材にもある程度火が通り、次はいよいよ煮込みの工程だ。

シルバー先輩が具材の入った鍋に水を入れた。
ホワイトルーもダマにならずにきちんと仕上がった。
私は仕上げたホワイトルーを鍋にゆっくりと注いだ。
しっかりとかき混ぜながら、さらにじっくりと煮込んでいく。
シルバー先輩がうとうとし始めている。
私は即座に声を掛けて、眠りそうになっているシルバー先輩の意識をこちらに向けた。

「あぁ、すまない。また寝そうになってしまった……
「大丈夫ですよ。今回は私もいますから」
「少し昔を思い出した……

シルバー先輩が私に昔話をしてくれた。
小さい頃、シルバー先輩はお父様のためにポトフを作ろうとしたらしい。
だけど、途中で眠ってしまってお鍋の中を真っ黒に焦がしてしまったそうだ。
お父様はシルバー先輩に怪我が無くて良かったと言って、黒焦げになった鍋の中身を笑顔で食べたという。
シルバー先輩のお父様の寛大さに、私はただひたすら感心していた。
全体にとろみがついて、シチューが完成した。
付け合わせのバケットを軽くトーストして、サラダに使う野菜とツナもお皿に盛り付けた。

「美味しそうに出来ましたね!」
「あぁ、完璧だ。皆も笑顔で食べてくれそうな気がする」

私達がシチューをお皿によそっている間に、今回の来客がぞろぞろとやって来た。
リリア先輩とセベクくんがダイニングへと案内している。
ツノ太郎さんとグリムは、既に席に着いていた。
お腹を空かせているのか、グリムはそわそわした様子で料理が運ばれてくるのを待っていた。
シチューを全員分用意できた。
私達は手分けしてダイニングへと運んでいった。

「あっ、ニコル!」
「エースくん! デュースくんまで」
「ニコルの手料理が食べられると聞いて、お腹を空かせてやって来たぞ」
「ありがとう」

今回の来客はエースくんとデュースくんだけではない。
ラギー先輩とジェイド先輩もいらっしゃる。
エースくんとデュースくんはともかく、ラギー先輩とジェイド先輩はあまり見かけない組み合わせだ。

「美味そうっスね! タダ飯が食えると聞いて飛んできた甲斐があったなぁ」
「えぇ、そうですね。きのこの料理が出ると聞いて、人魚ですが飛んで参りましたよ」
「ところで、シルバーくん。そのエプロン、ダサくないっスか?」
「そうか? 俺は気に入っているが……

ラギー先輩がシルバー先輩のエプロンに対して、驚いた顔でツッコミを入れていた。
あっけらかんとしているシルバー先輩を横目に、エースくんとデュースくんも頭に疑問符を浮かべている様子だった。
シチューを載せたトレーが全員の目の前に行き渡った。
ディアソムニア寮での小さな晩餐会の始まりだ。

「お待たせしました! 心ゆくまでお召し上がりください」
「もう腹ペコなんだゾ!」
「いただきます!」
「お代わりもありますから、ご入用の方はおっしゃってくださいね」

牛乳とバターの香りが溶け込んだホワイトルーで煮込んだ、チキンときのこのクリームシチュー。
我ながら上手く仕上げられたと思う。
シルバー先輩と一緒に作った料理は、どんな味がするのだろう。
そう思って、ひと口食べてみた。
具材の旨味がホワイトルーと混ざり合い、口の中に広がっていく。
まろやかな味わいが優しく身体に染み渡る。

「めちゃくちゃ美味いっスね!」
「モストロ・ラウンジのシフトを代わってもらって正解でしたね。あとでお代わりさせてください」
「はい、もちろんです!」
「オレ様もお代わりするんだゾ!」
「僕もだ!」
「わかったから、落ち着いて食べてね」

ディアソムニア寮のダイニングがシチューを食べている皆の笑顔で満たされている。
美味しい料理は人々に笑顔をもたらし、幸せな時間を運んできてくれる。
お代わりを求める声に応えるために、私はダイニングへ行った。
シチューをかき混ぜながら、楽しい食事の時間に想いを馳せる。
愛するシルバー先輩と一緒に作った料理が、無事に成功して良かった。
お代わりの分をシチューをお皿によそって、皆のいるテーブルへと運んだ。
美味しく出来た料理をトレーに載せて、私は皆に幸せを運ぶのだ。


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