「山河令」36話+αまで見た上で、蔚宁が阿湘に7話と29話で伝えた漢詩を振り返ってみたくなった29話の分です。最後まで見ている上での振り返りですので、ある意味ネタバレになるかもしれない。そして素人のメモです。ご注意ください!
@feishang
■29話
蔚宁と阿湘が竹林で歩いているシーン。
蔚宁がルンルンで口ずさんでいる漢詩です。
前半は北宋の秦観による「鵲橋仙」、後半は唐の白居易による「長恨歌」の一節を少しアレンジしています。
「長恨歌」の永遠の愛を誓い合った言葉を軸に、師叔と師兄にも紹介できたし二人でこれから一緒になるんだ~と喜んでいる蔚宁というところなんですけども、「長恨歌」は愛する人を失って、もう一度会おうとする悲劇の恋歌でもあるんですよ蔚宁……分かっているのか蔚宁。分かってるとは思うけど!
「長恨歌」は“長くて悲しい歌”という意味です。
「鵲橋仙」秦観
北宋(960年 - 1127年)の詩。鵲橋とはカササギでできた橋。七夕の夜にカササギが集まり、天の川を渡る橋を作る。織姫と彦星がその橋を渡って会うという、織姫と彦星の説話をもとに書かれたもの。七夕の日の約束で締められる「長恨歌」を意識して作られている。
「長恨歌」白居易(白楽天)
唐(618年 - 907年)を代表する詩。当時の日本でも流行し、『源氏物語』などにも影響を与えた長編漢詩。唐代の皇帝・玄宗皇帝とその愛妃・楊貴妃の悲劇を詠っている。仲睦まじい夫婦を形容する「比翼連理」は「長恨歌」からの故事成語。
<蔚宁が口にしていた詩>
金風玉露一相逢(秦観「鵲橋仙」)
天上人間不算数 ※「鵲橋仙」では便勝卻人間無數
在天願為比翼鳥(白居易「長恨歌」)※「長恨歌」では在天願作比翼鳥
在地願結連理樹 ※「長恨歌」では在地願為連理枝
<書き下し>
金風玉露一たび相ひ逢はば
天上人間(じんかん)算(かず)数えず
※便(すなは)ち勝卻す人間(じんかん)の無数なるに
天に在りては願はくは比翼の鳥と為(な)り
※天に在りては願はくは比翼の鳥と作(な)り
地に在りては願はくは連理の樹として結ばれんと
※地に在りては願はくは連理の枝と為(な)らんと
金風玉露:秋風と白露のこと。秋の景色の様子。七夕は旧暦では西暦の8月。
人間(じんかん):世の中、世間のこと
比翼の鳥:『山海経』などに登場する古代中国の伝説上の生物。1つの翼と1つの眼しか持たないため、雄鳥と雌鳥が隣り合い、互いに飛行を支援しなければ飛ぶことができない。転じて夫婦の仲睦まじい様子のこと
連理の枝:夫婦・男女の仲むつまじいことのたとえ
<意味>
秋風と白露の二人が(七夕の日に)一たび出会えば、
天上にせよ俗世にせよ問題ではない
※たやすく、人の世の無数といえる多くの恋愛沙汰に勝っている
天にあっては比翼の鳥となって(仲良く並んで飛びたい)
地にあっては連理の樹に結ばれたい(添い遂げたいと誓いました)
※地にあっては、願わくは連理の枝となりたい
七夕の織姫と彦星や玄宗皇帝と楊貴妃のように愛を誓いあう漢詩をルンルンで伝える蔚宁に対して、「何変な事言ってんの?」ってなっている阿湘……つまり誓い合えていないのでは?と思わなくもないのですが、江湖で出会った二人が、どこであっても一緒になれるとも取れるので、この後の展開がつらいやつですね。
西安の華清池(楊貴妃が温泉に入ってたと言われる郊外の場所)で、毎晩「長恨歌」のショーというか野外劇をやっていまして、それを見に行ったことがあるんですが、ラストはなんと左右に伸ばされたクレーンが比翼になり、そのクレーンがぐるっと回って連理の枝を表現していてとても面白かったです。
ちなみに、ショーは玄宗皇帝がおじいちゃんになって死んでから、あの世で楊貴妃と再会するという展開になっていました。死んでるけど再会して大団円!というのも「比翼連理」CPの定石なのかもしれません。