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太陽と月の宴〜Magia Notes Part.13〜

全体公開 ツイステ二次創作 4140文字
2021-05-01 18:08:30

眩しく輝く太陽と美しい姿で佇む月が織りなす舞踊。
今この時、盛大な宴が始まる。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第13話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

午前の授業が終わり、私とグリムはいつものように中庭へと足を運んだ。
初夏の陽射しが降り注ぐ中庭は、この時期のランチスポットに相応しい場所だ。
すっかり濃くなった木々の緑と小動物たちに囲まれながら、シルバー先輩がお昼寝している。
柔らかな銀色の髪をそっと撫でて、私が近くに来たことを知らせた。
夢心地だったシルバー先輩が目を覚まし、オーロラ色の瞳を輝かせた。

「俺を起こしてくれたのか?」
「はい。そろそろお昼ごはんの時間ですから」
「そうだな」
「おーい、シルバー、ニコル!」

木漏れ日の中でのランチタイムを始めようとした矢先だった。
私達を呼ぶ明朗な声が聞こえてきた。
同じく中庭で昼食をとろうとしていたカリム先輩の呼び声だ。
カリム先輩の後ろにジャミル先輩が控えている。
ジャミル先輩はお弁当箱を手にして、やれやれと言いたそうな様子でカリム先輩を見守っていた。

「オレ達もそこに行っていいか?」
「もちろんですよ!」
「ありがとな! ほら、ジャミルも行こうぜ」
「わかったから先走るな」

カリム先輩たちが中庭の木陰へとやって来た。
シルバー先輩と二人きりのランチタイムも好きだけど、こうして大人数で過ごすお昼時も楽しい。
ジャミル先輩手作りのお弁当は見栄えが良く、入っているおかずも美味しそうだ。
食後に歓談していると、いつの間にかスカラビア寮の話題が始まっていた。
ジャミル先輩は寮内でも料理の腕をふるっているようだ。

「なぁ、シルバー、ニコル。お前たちもスカラビアに遊びに来いよ!」
「えっ、いいんですか?」
「いいぜ! ジャミルにも美味い飯たくさん作ってもらうからさ」
「美味い飯! 行きたいんだゾ!」
「こら、カリム。勝手に話を進めるな」

ジャミル先輩が困った顔でカリム先輩を諫めた。
スカラビア寮の宴はいつも大盛況で、美味しい料理と寮生たちのダンスパフォーマンスを見られるという。
寮長であるカリム先輩が宴を開くことが大好きで、何かあるとすぐに寮内がパーティー会場になるらしい。
料理の用意をするのはいつもジャミル先輩なので、カリム先輩の突然の提案に戸惑うことも多いようだ。

「カリムが先走ってすまない。君達がスカラビアに来ること自体は歓迎するよ」
「ありがとうございます」
「君達の都合の良い日を教えてほしい。その日に宴を開くことにしよう」
「ああ、わかった」

私は手帳を開いて、空いている日をシルバー先輩と一緒に確認した。
私もシルバー先輩も、ちょうど来週の日曜日が空いていた。
カリム先輩とジャミル先輩にそのことを伝えて、私は腕時計をちらりと見た。
そろそろ昼休みが終わろうとしている。
カリム先輩たちと別れ、私達も次の授業の教室へと急いだ。

スカラビア寮の宴当日となった。
鏡舎の前でシルバー先輩と待ち合わせをして、鏡でスカラビア寮へとひとっ飛び。
しばらくすると、果てしなく続く砂漠の中にそびえ立つ宮殿が視界に入った。
えんじ色の屋根の宮殿は絢爛豪華で、絵本の世界に出てきそうな砂漠の国の王の城のようだ。
これが砂漠の魔術師の熟慮の精神を讃えたスカラビア寮の姿だ。
建物の前に近付いてみると、寮生たちが並んで歓迎のダンスを披露してくれた。
寮生たちが花道を作ると、カリム先輩とジャミル先輩が姿を現した。

「今日は来てくれてありがとうな!」
「歓迎するよ。さっそく談話室へ案内しよう」

二人から手厚い歓迎を受け、私達はスカラビア寮の建物の中へと入った。
内装も豪勢な装飾が施されていて、何処を見てもきらきらと金色の光を放っているように見える。
スカラビア寮の建物は改装されたようで、費用はカリム先輩のお父様が出資したと聞いた。
あまりにも規模が大きすぎて、庶民の暮らししか知らない私は感心するしかなかった。
私とシルバー先輩は談話室に通された。
カリム先輩とお話しながら、他の寮生たちが料理を運んでくるのを待っていた。
しばらくすると、スパイスの香りが談話室に漂ってきた。
食欲をそそる香りが鼻を掠める。

「待たせたな。さぁ、存分に味わってくれ」
「うわぁ、美味しそう!」
「オレ様もう腹ペコなんだゾ!」
「あっはっは、さすがジャミルだな! よし、みんなで食べようぜ!」
「いただきます!」

食卓に料理のお皿がずらりと並んだ。
ヒヨコマメのコロッケ、揚げ饅頭、魚の香草焼き、どれも美味しそうだ。
中でもひと際スパイスの香りを漂わせているのが、シャーワルマーというこんがり焼けた羊肉と野菜をパンに挟んだ料理だ。
シャーワルマーは他の国や元の世界ではケバブという名前で知られている。
どの料理も初めて食べるものばかりだ。
カリム先輩に勧められて、私はシャーワルマーをひと口食べた。

「美味しいです。レモンのソースがかかっているから、さっぱりとした味わいになってますね」
「俺も初めて食べた……
「そうか、そうか! せっかくだから、たくさん食べてくれよな!」

カリム先輩が満面の笑みで、さらに料理を勧めてきた。
相変わらず、グリムがもりもりと料理を食べている。
私とシルバー先輩もジャミル先輩渾身の料理を心ゆくまで味わった。
いつの間にか、料理のお皿が真っ白になっていた。
ジャミル先輩がデザートと飲み物を運んできてくれた。
バクラヴァという名前の焼き菓子とドンドゥルマというアイスクリームのような氷菓が私達の目の前に出された。
ミルクティーを思わせるイエローブラウンの飲み物が入ったカップも一緒に食卓に置かれた。

「デザートも美味そうなんだゾ!」
「カップからスパイシーな香りがしますね」
「チャイが気になるか? ぜひ飲んでみてくれ」
「はい……甘っ!!」

シナモンやクローブの香りが漂うチャイをひと口飲むと、とてつもない甘さが一気に口内に溢れ出した。
シルバー先輩とグリムも驚いたらしく、目をぱちくりとしていた。

「一気に目が覚めた……
「こんなに甘いお茶は初めてなんだゾ……
「そうか、君達にはあまり馴染みがなかったか」
「そういえば、ジェイドにも驚かれたなぁ」
「驚くのも無理ないですよ……

まだ甘さが口の中に残っている。
どうやら、熱砂の国では砂糖をたくさん入れた甘いお茶がポピュラーらしい。
口の中を占めていた砂糖の甘さが落ち着いてから、私達はバクラヴァとドンドゥルマを頂いた。
バクラヴァは表面に薔薇の香りのシロップがかかった甘いペストリーで、ドンドゥルマは粘り気のあるアイスクリームだ。
今まで味わったことのなかったお菓子を知ることができて嬉しい。
美味しい料理によるおもてなしを受けた後、寮生たちによるダンスパフォーマンスが始まった。

「歌え、踊れ! 盛大なパーティーはまだ始まったばかりだぜ!」

カリム先輩の明瞭な掛け声が談話室内に響き渡る。
エキゾチックな音楽に合わせて、寮生たちがしなやかで力強いダンスを踊っている。
一寸の隙もない息の合った動きに私達は目を奪われてしまった。
カリム先輩とジャミル先輩が立ち上がった。
二人もステージの方へと向かって、寮生たちと合流した。
カリム先輩とジャミル先輩による躍動感のあるダンスパフォーマンスは、ステージに輝きを放っているように見えた。
カリム先輩は朗らかで眩しい太陽、ジャミル先輩は光に照らされて美しく輝く月。
太陽は眩い光で月を照らし、月は太陽の周りを巡りゆく。
スカラビア寮長と副寮長のダンスは、まさに空に浮かぶ太陽と月のようだ。
音楽が鳴り止み、最後の決めポーズで綺麗にダンスショーが締められた。

「お見事です!」
「すげぇんだゾ!」
「ありがとな!」
「楽しんでもらえて良かったよ」

ダンスショーが終わった後、私達は引き続きカリム先輩たちと歓談していた。
話題が私とシルバー先輩のことになった途端、私達は寮生たちからたくさん質問をもらった。
普段はどうやって過ごしているのか。
仲の良さの秘訣は何なのか。
お互いの寮に遊びに行ったことはあるのか。
私達はひとつひとつの質問に対して、丁寧に答えていった。

「この宴を開こうって決めたのは、一緒に中庭で弁当食べた時なんだぜ!」
「おっしゃる通りですね。あの時のカリム先輩たちのお弁当も美味しそうでした」
「君達は普段から中庭でゆったりと過ごしているんだな」
「そうだな。あの中庭は落ち着く」

質問をしてきた寮生たちは、私とシルバー先輩の回答を頷きながら聞いていた。
時々、カリム先輩とジャミル先輩が話を広げていってくれた。
今日の宴で披露してくれた舞踊は、多幸と恋仲の発展を願うものだったらしい。
ナイトレイブンカレッジ前代未聞の男女カップルのために、寮生全員で考え出したそうだ。

「私達のために……ありがとうございます」
「嬉しいな」
「喜んでもらえて良かったぜ!」
「カリムが突然言い出すから、短期間でここまで仕上げる羽目になったんだぞ。無事に形になってホッとしたところだ……
「すまん、ジャミル……

またしても、ジャミル先輩がカリム先輩に釘を刺していた。
日常茶飯事な二人のやりとりを見て、寮生たちも苦笑いしていた。
気付けば外の景色が茜色に染まっていた。
スカラビア寮の外は夜になると、真冬のようにぐっと寒くなるらしい。
私達は夜が更ける前にそれぞれの寮へと戻ることにした。
再び寮生たちが花道を作り出した。
お見送りも盛大に行ってくれるらしい。

「シルバー、ニコル、グリムもまた遊びに来てくれよな!」
「こちらこそ、お誘いありがとうございました!」
「また招待してもらえると嬉しい」
「ご馳走もたくさん食べたいんだゾ!」
「そうだな。次もとっておきの料理を出そう」

スカラビア寮の建物を出て、行きと同じように鏡を使って鏡舎へとひとっ飛びした。
いったん鏡舎に戻った後、シルバー先輩は外まで私とグリムを見送ってくれた。
茜色の太陽が沈んでいく。
太陽が沈んだ後には、光に照らされた美しい月が顔を出す。
今日の宴のことを思い出しながら、私達は帰途へ足を踏み出した。


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