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Glory to the World〜Magia Notes Part.14〜

全体公開 ツイステ二次創作 8119文字
2021-05-15 17:19:29

私の愛する人に多幸あれ。
愛する人が生きるこの捻れた世界に栄光あれ。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第14話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

日を追うごとに濃くなっていく緑の中に、色とりどりの小さく愛らしい花々を見つける歓び。
大地に降り注ぐ暖かい陽射しがもたらす希望。
そんな歓びと希望に満ちた初夏の時期に、私の愛する人がこの世に生を受けた。
もうすぐシルバー先輩の誕生日。
リリア先輩に誘われて、私はシルバー先輩へのプレゼントを買いにナイトレイブンカレッジの麓の街を訪れた。
賢者の島が観光地として有名ということもあってか、麓の街も朗らかな笑顔の人々で賑わっている。
まずは、可愛らしいうさぎの看板が目印の雑貨屋に入ることにした。
このお店には動物をモチーフにした雑貨がたくさん売られているらしい。

「シルバーは動物たちに好かれておるからのう」
「シルバー先輩、この間一緒に料理した時にはうさぎさんのエプロンを着てらっしゃいましたね」
「あのエプロンか。可愛いじゃろう? あやつによく似合っておる」
「確かに、よく似合ってると思います。あっ、このグッズ可愛い!」

リリア先輩と動物モチーフの雑貨が陳列された棚を見渡していた時、羊のぬいぐるみと目が合った。
真っ白でもこもこした質感で、ぎゅっと握ってみると柔らかい。
店主さんによると、この羊は抱き枕であり、店内で一番人気の商品だという。

「これは可愛らしい枕じゃのう」
「シルバー先輩によく似合うと思います」
「シルバーへのひとつ目の贈り物は、この抱き枕とするか」
「はい!」

ひとつ目の贈り物は羊の抱き枕に決まった。
店主さんにプレゼント用の包装を施してもらった後、私達はふたつ目の贈り物探しのために次のお店へと足を向けた。
麓の街までプレゼントを買いに行く前に、私はリリア先輩にシルバー先輩への誕生日に何を贈ろうか相談していた。
その時にリリア先輩が話してくれたのは、茨の谷の伝承であるお姫様への三つの贈り物の話。
とある国にお姫様が産まれた時、三人の妖精がお祝いに三つの贈り物を捧げたという。
一つ目は薔薇のような美しさ、二つ目はウグイスの歌声、三つ目は希望の光。
その話を聞いて、私はシルバー先輩に三つの贈り物を授けようと決めたのだ。

「次は何を買おうかな……
「ニコル、こっちに長持ちする花の店があるぞ」
「あっ、プリザーブドフラワーのお店ですね! 行ってみましょうか」
「プリザーブドフラワーというのか。楽しみじゃな」

お店の前に色とりどりの花々でデコレーションされた看板が立てられている。
どうやら、リリア先輩は看板に書かれた言葉を読み上げたようだ。
私達はさっそく店内へ入って、ふたつ目の贈り物になり得る花を探した。
ふと、五月の誕生花を頭に浮かべた。
その時、シルバー先輩の瞳の色に近い色味の美しい花を見つけた。
カンパニュラ、花言葉は『誠実な愛』-——シルバー先輩への贈り物に相応しい花だ。
薄紫のカンパニュラに惹かれるがままに、私は花籠を手に取った。
カンパニュラだけでなく、鈴蘭も一緒にデコレーションされている。

「これは見事な花籠じゃ」
「シルバー先輩によく似合うと思います。二つ目の贈り物はこの花籠にしましょう」
「そうじゃな」

カンパニュラと鈴蘭の花籠を買い、私達はプリザーブドフラワーショップを出た。
三つ目のプレゼントはシルバー先輩の誕生日当日に仕込むので、麓の街で買うべきものは全て揃えた。
あとは、ナイトレイブンカレッジに戻って誕生日パーティーの準備を手伝うだけ。
そう思っていた矢先に、リリア先輩がもう一件付き合ってほしい所があると言ってきた。
リリア先輩に連れられて、たどり着いた先はフォーマルドレスの専門店。
一体どういうことなのかと聞こうとしたら、リリア先輩の待ち合わせ相手が現れた。

「リリア、ニコル、待ってたわよ」
「ヴィル先輩!?」
「お主には誕生日パーティー当日にドレスを着てもらいたくてな。似合うドレスを探してほしいとヴィルに相談したのじゃ」
「ええ、その通りよ。アタシもアンタたちと一緒に選んであげるわ」

確かな審美眼を持つヴィル先輩がいらっしゃれば、きっとドレス選びに適切なアドバイスを頂けるだろう。
店内に入って、パーティードレスのコーナーへと向かった。
可愛らしいものからセクシーなシルエットのものまで、様々なドレスがハンガーラックに掛かっている。
リリア先輩が黒いドレスを何着か選んできた。
茨の谷の正装は黒だとツノ太郎さんが仰っていたことを思い出した。
そのため、リリア先輩は私に黒のドレスを着せようとしていたのだ。
さっそく私は試着室へと入った。
順番にドレスを着ていって、どれが一番よく似合うかリリア先輩とヴィル先輩に見てもらうことにした。
まずは、マーメイドラインのロングスカートのドレスを着て見せた。

「お二方、こちらのドレスはどうですか?」
「大人っぽくて綺麗じゃな」
「確かにね。でも、胸元が開きすぎなのが気になるわ。ニコルには可愛らしいデザインの方が似合いそうよ」
「そうですか。では、次はこちらのドレスを着てみますね」

次はバストの下をライムグリーンのベルトで引き締めたエンパイアラインのドレスを着てみた。
さっき着たマーメイドラインのドレスよりは胸元も開いてなくて、スカートの丈も短い。
二人の反応はいかがなものだろうか。
試着室のカーテンを開けて、二人にエンパイアラインのドレスを着た私の姿を見てもらった。

「こちらのドレスはいかがでしょうか?」
「わしはこちらの方が好きじゃのう」
「マーメイドラインのものよりはマシだと思うわ。でも、少し地味な気がするわね。プリンセスラインかAラインのドレスは無いの?」
「あったような気がします。では、そちらを着てみます!」

ヴィル先輩に促され、私はAラインのドレスを試着した。
このドレスは星空のようにきらきらとしたスカートが特徴的だ。
黒いドレスは一歩間違うと喪服になってしまう。
だけど、このAラインドレスは着るだけで華やかな雰囲気になれる。
二人の反応がどんなものか見てみたい、そう思って試着室のカーテンを開けた。

「おお、似合っておる!」
「一番しっくり来るわね。黒のドレスでありながらも華やかだわ」
「ありがとうございます! このドレス、私も気に入りました」
「よし、パーティー当日に着てもらうドレスはこれで決まりじゃ!」
「ニコル、あの顔の良いカカシを魅了してやりなさい」
「はい!」

こうして、パーティー当日に着るドレスが無事に決まった。
元の服に着替えて試着室を出た後、私はリリア先輩にドレスを手渡した。
リリア先輩は真っ直ぐにお会計へと向かった。
今回のドレスの費用はリリア先輩のポケットマネーによるものだ。
お店を出た後、私はリリア先輩とドレス選びを手伝ってくれたヴィル先輩にお礼を言った。
そして、リリア先輩には少し高めのトマトジュースを贈ることを約束した。
ナイトレイブンカレッジに戻ってから、私はディアソムニア寮に行って、パーティーの準備を手伝った。
当日はどんな一日になるのだろう。
心を弾ませながら、私はツノ太郎さんたちと一緒に会場の設営に励んだ。



シルバー先輩の誕生日当日がやって来た。
穏やかな太陽の光が緑色の大地に降り注いでいる。
この良き日を祝うかのように、雲ひとつない蒼天が広がっていた。
私はグリムを連れて、パーティー会場であるディアソムニア寮へと向かった。
オンボロ寮の外の景色とはうって変わって、厳かな夜の闇に包まれているディアソムニア寮。
門をくぐり、談話室へと足を踏み入れると、ツノ太郎さんたちが私達を待っていた。

「ヒトの子よ、お前もシルバーの誕生日を盛大に祝ってくれるのか」
「はい、もちろんです! 贈り物も用意してきましたよ」
「そうか、楽しみだな」
「ニコル、アンプの設置を手伝ってくれんか?」
「はい、今行きます!」

リリア先輩に呼ばれ、私は寮室の方へと向かった。
キャスターを使って、寮の空き部屋にあったギターのアンプを運び出した。
一方で、リリア先輩は軽々とベースのアンプを談話室に運び込んでいた。
アンプを設置した後、新たな客人がディアソムニア寮を訪れた。

「リリアちゃん、お待たせ!」
「ドラムセットも持ってきたぞ!」
「おう、待っておったぞ。さて、ステージを完成させるとするか」
「はい!」

ケイト先輩とカリム先輩がディアソムニア寮に顔を出した。
ドラムセットを設置し、マイクスタンドを立てて小さなステージの完成だ。
チューニングとちょっとしたアンサンブルを済ませた後、私は料理を運ぶお手伝いをするためにキッチンへと足を向けた。
今回のパーティーのために用意された料理は、どれも購買部から取り寄せたものだ。
中でもピスタチオクリームのケーキは、有名パティスリーの一番人気のケーキであるという。
ひとつずつ、料理のお皿を談話室にある大きなテーブルへと運んでいく。
料理を運び終えた後、また新たな客人がディアソムニア寮に現れた。

「お邪魔いたします。キッチンはどちらでしょうか?」
「よくぞ来てくれた。キッチンはこっちじゃ」
「ありがとうございます。さっそくお借りしますね」

バスケットにどっさりと入ったきのこを抱えたジェイド先輩が、キッチンの方へと向かっていった。
そういえば、シルバー先輩が大絶賛したきのこのリゾットを作ったのはジェイド先輩だ。
ふと、そのことを思い出した私はドレスに着替えるために寮の空き部屋へ行った。
空き部屋のクローゼットの中にリリア先輩がプレゼントしてくれた黒いドレスが掛かっていた。
パーティーにおあつらえ向きのドレスに袖を通すと、非日常の空間へと誘われた気分になる。
髪型とメイクを整えて、私は再び談話室へと赴いた。
談話室へ向かう途中、廊下でリドル先輩とばったり会った。

「ニコル、やはりキミもパーティーに来ていたんだね」
「はい、リドル先輩」
「今日は一段とお洒落だね。ちょうどボクも談話室へ向かうところだったんだ」
「では、一緒に参りましょうか」

私とリドル先輩は肩を並べて、ディアソムニア寮の廊下を歩いた。
だんだんと人々の明るい声が大きくなっていく。
パーティー会場である談話室は客人たちで大賑わいだった。
あとは、本日の主役であるシルバー先輩の登場を待つだけだ。
パーティーの開始時刻が迫っている。
キッチンで料理をしていたジェイド先輩が、蓋付きのお皿を持って談話室へと戻ってきた。
料理も全て出揃った。
時計の針がパーティー開始の時間を指した。
寮室の方から足音が聞こえてくる。
本日の主役のお出ましだ。

「さぁ、今日はシルバーの誕生日だ。皆で盛大に祝ってやろう」
「誕生日おめでとう!」

シルバー先輩が姿を現した途端、クラッカーの音が談話室中に鳴り響いた。
シルバー先輩はいつもの寮服姿ではなく、特別な衣装を身にまとっている。
銀色のロゼットが付いた白いジャケットに黒のシャツとスラックス、誕生日のために用意された衣装一式だ。
シルバー先輩自身も何処か柔らかな表情を浮かべているような気がする。
見た目麗しい若き紳士のような姿だ。

「ありがとう。祝ってもらえて嬉しい」
「さっそく祝杯をあげるとしよう」
「若様、グラスは僕らが用意します!」

セベクくんとディアソムニア寮生たちがグラスにシャンメリーを注いでいく。
グラスが全員に行き渡った後、ツノ太郎さんが乾杯の音頭をとった。
こうして、シルバー先輩の誕生日パーティーの幕が上がった。
皆がそれぞれ料理を取り分け始めた。
本日の主役であるシルバー先輩は、特別な席に座っていた。

「まずは、僕からの誕生日プレゼントです。高級なきのこを使って、シルバーさんの大好物を作りましたよ」

そう言って、ジェイド先輩が得意げにお皿の上の蓋を開けた。
蓋が開いた瞬間、きのこの芳しい香りとバターのコクのある香りが漂ってきた。
好物であるきのこのリゾットを目の前にして、シルバー先輩は子供のように目を輝かせている。
さっそく食べてみてほしいとジェイド先輩に促され、シルバー先輩はリゾットをひと口頬張った。

「美味い……! これまで食べた中で一番美味い……!」
「ありがとうございます! そのお顔が見たかったんです」
「嬉しそうじゃのう」
「シルバー先輩可愛いです」

大好きな食べ物を前に喜ぶ幼子みたいに、シルバー先輩は夢中になってきのこのリゾットを食べている。
私達もジェイド先輩特製のきのこリゾットを食べてみた。
きのこの旨みがリゾット全体に溶け込んでいて、コクのあるバターの風味と混ざり合って美味しい。
他の料理も少しお高めの食材が使われているのか、普段食べているものよりも美味しく感じる。
いつの間にか料理のお皿は真っ白になり、誕生日ケーキにロウソクが立てられた。
三段のピスタチオクリームのケーキの山の頂きに一本のロウソクがそびえ立っている。
ツノ太郎さんの合図で、シルバー先輩がロウソクの火を吹き消した。
火が消えた瞬間、拍手の音が鳴り響いた。

「シルバー、ニコル、ここからは愛の共同作業じゃ」
「リリア先輩!?」
「おっ、いいな!」
「シャッターチャンスだね!」

リリア先輩が私達に剣の形をしたナイフを手渡した。
誕生日パーティーというより結婚式ではないかという小声の突っ込みが聞こえてくる。
だけど、剣型ナイフを渡したリリア先輩はにこにこと満面の笑みを浮かべていた。
ケイト先輩たちがスマホを構えている。
その姿に応えるように、二人でひとつの剣を握り、ケーキの中に切っ先を入れた。

「素晴らしいのう……!」
「二人とも可愛いよ!」
「さて、皆でケーキを頂くことにしよう」
「はい!」

私達は入刀したケーキを全員分切り分けていった。
セベクくんと寮生たちが紅茶を運んできた。
紅茶とケーキが皆の元に行き渡った。
ピスタチオクリームのケーキはシンプルな見た目のケーキで、ディアソムニア寮のイメージカラーを思わせる鮮やかな緑が美しい。
ひと口食べてみると、なめらかな舌触りのピスタチオクリームのまったりとした甘さが口の中に拡がる。
ケーキを頂いた後は、いよいよプレゼントの授与式だ。
今日のパーティーの来客たちがこぞってプレゼントの箱を持ち出した。



まずは、リドル先輩からのプレゼント。
馬専用のグルーミンググローブ、シルバー先輩と同じ馬術部のリドル先輩らしい贈り物だ。
シルバー先輩は馬たちにも好かれているようで、貰ったグルーミンググローブで撫でてみたいと喜びの声をあげていた。
カリム先輩からはペパーミントの香りの紅茶を頂いていた。
普段からよく眠ってしまうシルバー先輩を見て、眠気覚ましに爽やかなミントの香りを選んだとカリム先輩が言っていた。
次はいよいよリリア先輩と私の番。
この日のために用意した三つの贈り物、シルバー先輩は喜んでくれるだろうか。
はやる気持ちを抑えながら、私はプレゼントを運んだ。

「まずは、わしからの贈り物じゃ。こやつを捧げよう」
「ありがとうございます」

リリア先輩からのプレゼントは、お揃いの警棒と剣を磨くための工具一式。
警棒には小さなコウモリのチャームが付いている。
虹色に光る箱の中に入った工具はどれも銀色の輝きを放っていて、中でもドラゴンの角のような飾りが付いた棒状の砥石が印象的だった。
私からのひとつ目の贈り物は、ふんわりとした手触りの羊の抱き枕。
麓の街で見つけた時、シルバー先輩の顔が頭に浮かんだ代物だ。

「ありがとう。嬉しい……
「シルバー先輩、あなたによく似合うお花です」
「これは……

シルバー先輩の瞳の中のオーロラが煌めいた。
薄紫のカンパニュラと鈴蘭の花籠を手にしたシルバー先輩は、妖精たちに祝福されたお姫様のように美しく愛らしい。
眉尻を下げた微笑みを浮かべながら、シルバー先輩は花籠をぎゅっと抱きしめていた。

「シルバー、ニコル、そこに並んでおくれ。わしが写真を撮ってやろう」
「あっ、はい」

リリア先輩にそう言われ、私はぴったりとシルバー先輩の方へと寄り添った。
花籠に手を添えて、肩を寄せ合い、カメラに笑顔を向けた。
シルバー先輩とのツーショットを撮ってもらった後、私はツノ太郎さんやリリア先輩たちとの写真を撮ることを提案した。
家族のように仲の良い四人の記念写真は、きっとシルバー先輩のかけがえのない宝物となるだろう。
少し離れた場所にいたツノ太郎さんとセベクくんを呼び、シルバー先輩を囲むように並んでもらった。

「それでは、皆さん笑顔でお願いします!」
「おう!」

スマホの画面越しから見る四人の笑顔は、温和な太陽の光のように眩く見えた。
写真を撮った後、私と軽音部のメンバーはステージの方へ集まった。
シルバー先輩の誕生日祝いにミニライブを敢行しようと、事前にリリア先輩たちと話をしていたのだ。
楽器を手にして、それぞれの位置についた。
私はマイクに向かって、開演の挨拶を始めた。

「シルバー先輩、誕生日おめでとうございます。ささやかですが、楽曲の贈り物を捧げます」

カリム先輩のドラムスティックでのカウントを合図にして、私はアコースティックギターの弦を爪弾いた。
静かなアコースティックギターのアルペジオから始まるこの楽曲は、初夏の夜空に流れる星をテーマにした歌。
シルバー先輩に抱えられているグリムが、リズムを取りながら楽曲に耳を傾けている。
シルバー先輩が好きだと言ってくれた私の歌声。
これが私からの三つ目の贈り物だ。
一曲目を歌い上げた後、ひと息ついてから二曲目のイントロを奏でた。
ケイト先輩のエレキギターから奏でられる音色が、楽曲に彩りを与えている。
私は優しくも何処か哀愁漂う旋律に歌声をのせて、観客たちへと届けた。
二曲目の演奏が終わった後、私は最後の仕上げに、ある人の名を呼んだ。

「今宵は僕からも旋律の贈り物を授けよう」
「マレウス様……!」
「特別にわしとニコルが頼んだのじゃ。しかと聴くのじゃぞ」

バイオリンを手にしたツノ太郎さんを見て、シルバー先輩は目を丸くしていた。
カリム先輩が再びドラムスティックでカウントを取った。
それから、ツノ太郎さんがバイオリンでイントロを奏でた。
緩やかな川の流れのようなバイオリンの旋律に、二つのギターとベースの音色を重ねていく。
シルバー先輩がステージを見つめながら、奏でられる音に耳を傾けている。
ツノ太郎さんの演奏する姿を見られて感極まったのか、セベクくんに至ってはうるうると目に涙を浮かべていた。
夜明けの光を思い起こさせる詩をメロディに乗せて、私は声高らかに歌い上げた。
全ての楽曲の演奏が終わり、パーティー会場内に拍手の音が響き渡った。

ミニライブが終わった後、再びパーティー会場は歓談の間と化した。
シルバー先輩はテラスに出て、夜風に当たっていた。
私もテラスの方へと歩み寄った。
夜空には幾千の星がきらきらと瞬いている。
今日のディアソムニアの夜は一段と美しい。
私はシルバー先輩の隣に身を寄せた。

「誕生日は俺にとって特別な日だ。皆に盛大に祝ってもらえて嬉しい」
「喜んでいただけて良かったです」
「ニコル、ありがとう。お前に出逢えて良かった……

シルバー先輩のオーロラ色の瞳が再び煌めいた。
愛してる、そう囁いてシルバー先輩は私をぎゅっと抱き締めた。
暁の光に吸い込まれそうになりながら、私はシルバー先輩と口付けを交わした。
この日は捻れた世界に愛する人が生を受けた日。
美しい微睡みの騎士に多幸あれ。
私の愛してやまない王子様が生きるこの捻れた世界に栄光あれ。
ディアソムニアの空を煌びやかに飾る綺羅星に、私はありったけの願いを託した。


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