@shiroganeeee
遠坂凛を構成する要素を寓意的に解釈してみると、実は彼女に隠されたヒーロー像の雛形(モデル)は救世主(メシア)ことイエス・キリストなのでは?というこじ付けから生じた妄想。ネタバレは控えめ。
☆寓意的解釈
「寓意的解釈」とは、物語に登場する単語や要素を字義通りにとらえずなんらかの寓喩(象徴、シンボル)として捉える解釈のこと。絵画や詩文、昔話や民話を読み解く上で使われる技法の一種。
☆バックグラウンド
遠坂家は魔術と教会の双方に深い接点を持っている。初代遠坂家当主は隠れキリシタンだった。おそらく監督役である聖堂教会との接点もこの辺りから来ているのではないか。直近の当主(時臣・凛)自信が信者であるような描写は特にないが、Fate/Zeroにおいて時臣はキリスト教式の葬儀で埋葬されており、また凛も神父である言峰を後見人に持つなど少なくとも凛の代まで遠坂と教会の繋がりは続いている。
☆アレゴリー(寓意)の一覧
・衣服の胸元の十字架=十字架がキリストの象徴であるのは言わずもがなだが、同時に非常に普遍的なシンボルでもあるため割愛。
・シンボルカラーの赤=赤は血の象徴。キリストの贖いの血。他に受難(殉教)を意味する場合もある。
・血液による魔力転換=同上。血は生命の象徴であり、契約や贖罪の儀式に使われる聖なるもの。
・ルビー*=ルビーはヘブライ語でオーデム→アダム(人類最古の男性)と同じ語源。聖書において、イエスはアダムによる人類全体の原罪を贖う「(最初のアダムに対して)最後のアダム」とされている。
・体内を流れる魔力が『清流を舞う魚』のイメージ=魚(古典ギリシア語でイクトゥス)は「イエス、キリスト、神の、子、救世主」という語の頭文字を並べた符牒となっており、イエスの代表的なシンボルの一つ。
・死者蘇生=秘蔵の宝石を使って瀕死の衛宮士郎を蘇生させた凛。死者蘇生はイエスが行った代表的な奇跡。
・心の贅肉=以下引用。
“すると、その地方のカナン人の女が出て来て、叫び声をあげて言った。「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が、ひどく悪霊に取りつかれているのです。」
しかし、イエスは彼女に一言もお答えにならなかった。そこで、弟子たちはみもとに来て、「あの女を帰してやってください。叫びながらあとについて来るのです。」と言ってイエスに願った。
しかし、イエスは答えて、「わたしは、イスラエルの家の滅びた羊以外のところには遣わされていません。」と言われた。
しかし、その女は来て、イエスの前にひれ伏して、「主よ。私をお助けください。」と言った。
すると、イエスは答えて、「子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのはよくないことです。」と言われた。
しかし、女は言った。「主よ。そのとおりです。ただ、小犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます。」
そのとき、イエスは彼女に答えて言われた。「ああ、あなたの信仰はりっぱです。その願いどおりになるように。」すると、彼女の娘はその時から直った。” マタイ伝15:22-28
イエスの最優先すべき目標は「イスラエル人に向かって福音を語ること」。そのため、外国人の女性に手を差し伸べることは「子どもたち(イスラエル人)のパン(神の恩恵)を取り上げて子犬に投げる」ようなもの。しかしそれでも諦めない女性の心に動かされて、願いを聞き入れる。
自分が優先すべきことを理解しながらも、「心の贅肉」と言いながらつい他人に手を貸してしまう凛の姿に重なる部分がある。
これらは筆者の発想を元にした根拠のない仮定に過ぎない。だが、Fateという物語の中で度々ヒーロー的な活躍を描かれ、過去を愛しながら未来に進んでいくヒロインである遠坂凛の雛形の一つに、救世主的なヒーロー像が用いられている可能性を考えれば、1人の人間としては苛烈にも映る彼女の人間性の眩ゆさにも納得がいくのではないだろうか。
*注釈:遠坂凛に定着した宝石と赤のイメージから、ルビーが二次創作物の題材として取り上げられることもあるが、実際に原作において凛がルビーを所持している描写はない。遠坂家秘蔵の宝石は原作では「水晶」と描写され、彼女自身が魔力を溜め込んだ宝石の種類は不明。Hollowで彼女が変身する魔法少女の名は「マジカルルビー」だが、おそらくこれはステッキに宿る「人工精霊・ルビー」が由来(ただしこの時点でルビー=遠坂凛のイメージが定着した可能性あり)。ちなみに、Fate/EXTRAでは凛の所持するマラカイトと天然ルビーを交換するイベントがある。