@hinatori_kaeru
「もうあなたのことは愛せない。」
彼女はそう言った。
一体どうすればよかったのだろう。
ようやく人の姿を手に入れて、ハッピーエンドを迎えたのだと思ったのに。
そう思っていたのは自分だけなのか。
皮肉にも、彼女が求めていたのは王子様ではなく怪物だったのだ。
僕が人間になったとき、彼女は一緒に喜んでくれた。
僕が幸せならそれでいいと。
そう言ってくれた。
多分最初は、本当にそう思っていたのだろう。
だけども、段々と。
少しずつ、けれども確実に。
何かが崩れ落ちていくのを感じていた。
そして、もうどうにもならないことも理解してしまった。
考えても考えてもわからない。
人間として生きることと、人の姿を諦めて生きていくのと。どちらが自分にとっての本当の幸せなのか。
何より悲しかったのは。
どんなに汚い顔で泣いても、人では無かった頃の自分より遥かに美しい顔だと感じることだった。