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Perfect Half〜Magia Notes Part.17〜

全体公開 ツイステ二次創作 7152文字
2021-07-28 21:27:41

祝福されし盛夏の花婿と花嫁が学園内に現れる。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第17話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり

Posted by @natsu_luv

婚姻の女神に祝福されし六月の花嫁は、多幸に恵まれる。
元の世界ではすっかりお馴染みの伝承だ。
徐々に季節が夏へと向かっているこの時期に、ある日のナイトレイブンカレッジはゴースト騒動に見舞われていた。
オンボロ寮がゴーストたちに占拠され、イデア先輩はゴーストのお姫様に惚れられ、挙げ句の果てには大食堂で結婚式まで行われそうになった。
ゴーストたちを追い払うためにオペレーション・プロポーズという名の作戦を実行するなど、あの時は散々な一日を過ごす羽目になった。
今はすっかり落ち着いて、普段通りの学園生活を送っている。
午前の授業が終わった私とグリムは、他の一年生たちと大食堂で昼食をとっていた。
いつものように語らいながら過ごしていると、話題がゴースト騒動へと移っていった。

「あの時は本当に大変だったぜ……
「そうだね……
「エースくんとエペルくん、かっこ良かったよ。私とグリムは何も出来なかったからね……
「ふふっ、ありがとう」

オペレーション・プロポーズを見事に成功させたエースくんとエペルくんは、今回のゴースト騒動の功労者だ。
リドル先輩とルーク先輩も勇猛果敢にゴーストたちと戦っていたのは記憶に新しい。
一年生たちとは互いの結婚観のことまで話すことができた。
大変だったけれど、貴重な話を聞くことができて良かったとも思えた。

「僕……監督生サンのウェディングドレス姿が見たいな」
「えっ、私の!?」
「お前以外に誰がいるんだよ」

エペルくんの突然のひと言に私は動揺した。
あの騒動のきっかけとなったゴーストのお姫様は可愛らしい花嫁姿だった。
結婚式という特別な日に着るウェディングドレスを学生の私が着るだなんて想像もつかない。
戸惑う私を差し置いて、他の一年生たちとグリムは勝手に話を進めていった。

「監督生サンにはシルバーサンがいるよね。だから、フォトウェディングなんてどうだろう?」
「フォトってことは記念写真を撮るんだな!」
「その通り。記念撮影が終わったら、ちょっとしたパーティーをやってもいいかも」
「それいいな!」

徐々に話が膨らんでいく。
フォトウェディングどころか、披露宴まで行われそうな勢いだ。
挙げ句の果てには、グループチャットのトークルームにまでフォトウェディングの話が書き込まれてしまった。
さすがに断られるだろうと思ったけれど、先輩方はなぜか乗り気だった。
私とシルバー先輩は、ヴィル先輩にフォトウェディングの打ち合わせをするためにポムフィオーレ寮へ来るよう呼び出された。
無碍に断るわけにもいかないので、放課後にポムフィオーレ寮へ伺うことにした。

「なんだか緊張するなぁ……
「大丈夫だよ。僕らも色々お手伝いするから……ね」
「監督生のウェディングドレス姿、めちゃくちゃ楽しみだな!」
「俺は別に……仕方ねえ。今回は手伝ってやるよ」
「ありがとう! そういうことだから、監督生サン。最高の花嫁姿を見せてね」

エペルくんが満面の笑みを浮かべて私に念押しした。
他の一年生たちもやけに良い笑顔を浮かべている。
どうやら、完全に外堀を埋められてしまったようだ。
気付けば、昼休みの時間が終わりかけていた。
私達は慌てて次の授業の教室へ足を進めた。

午後の授業が終わってから、私はシルバー先輩と合流してポムフィオーレ寮へ向かった。
門の前ではエペルくんが待っていた。
さっそくエペルくんに案内され、私達は談話室に通された。
どこを見渡しても紫を基調とした絢爛豪華な装飾が光り輝いていて、大きなシャンデリアと孔雀の玉座が特に目を引く。
孔雀の玉座にヴィル先輩がいらっしゃる。
すぐ隣にはルーク先輩も控えていた。

「待っていたわよ。今回のフォトウェディングの話はエペルから聞いているわ」
「フォトウェディングのカメラマンは私が引き受けるよ! 今から楽しみだ」
「はっ、はい……

ヴィル先輩は私達にフォトウェディングとパーティーの概要をまとめた資料を手渡した。
当日の予定が事細かに書かれており、私とシルバー先輩が着る予定の衣装のテーマまで決められている。
ひと通り目を通した後、私達はヴィル先輩の説明に耳を傾けた。

「アンタたちにふさわしいテーマをアタシなりに考えてみたつもりよ。いかがかしら?」
「素敵です……! これなら皆さんにも楽しんで頂けるかもしれません」
「悪くないな……
「そうでしょう? 当日は最高の花婿と花嫁をプロデュースして差し上げるわ!」
「はっ、はい!」

私達はまたしてもヴィル先輩に圧倒されてしまった。
ルーク先輩は終始にこやかな笑顔を浮かべていた。
オンボロ寮に帰り着いた後、私はグリムと一緒にフォトウェディングの概要を見返していた。
ゴーストたちの結婚式騒動の後に執り行われるフォトウェディング。
一体どのようなものになるのだろうかと楽しみにしながら、私は当日までの日々を過ごした。



じめじめとした雨の季節から太陽の陽射しが強く降り注ぐ盛夏へと移り変わろうとしている時期。
この時期に花嫁姿になる私は、グリムと一緒にポムフィオーレ寮の前に佇んでいた。
今日のこの日、紫の屋根と白壁の美しい城が結婚式場と化す。
エペルくんが私達を出迎えてくれた。
私はヴィル先輩の待つ控室へと連れられ、グリムは別の部屋へと案内されていった。
控室の扉を開くと、ウェディングドレスが飾られたトルソーが真っ先に視界に入った。
今日着る予定のドレスは、所々にピンクの花があしらわれたプリンセスラインのドレスだ。

「美しいでしょう? さぁ、着替えてらっしゃい」
「はい!」

ヴィル先輩に促され、私はカーテンが掛かった部屋の一角へ向かった。
今回用意されたドレスは一人で着られる簡単な仕様のもの。
ひとたびドレスに袖を通せば、気分は挙式を控えた花嫁のようになる。
ドレスに着替えた私はカーテンを開け、ヴィル先輩に自分の姿を見せた。

「いかがでしょうか……?」
「よく似合ってるわ! アタシの目に狂いは無かったようね」
「ヴィル先輩が選んでくださったんですね! 素敵なドレスです」
「ありがとう。テーマは婚礼衣装の歌姫よ。ニコル、こっちへいらっしゃい」

ヴィル先輩に呼ばれ、私はドレッサーの前の椅子に腰掛けた。
このウェディングドレスに相応しいメイクを施されていく。
鏡の向こうにはすっかり色づいた私の姿があった。

「最後の仕上げは次の部屋で行うわ。早く行ってらっしゃい」
「わかりました。ありがとうございます!」

ヴィル先輩にお礼を言って、私は次の部屋へ向かった。
今度は誰が待っているのだろう。
扉の前に番号が書かれた札が提げられている。
私は二番目の部屋の扉をノックし、中へと入った。

「ニコル、待ってたぜ!」
「カリム先輩!」
「さぁ、ベールとアクセサリーはこっちだ。オレが綺麗に付けてやるからな!」

ヘッドマネキンに花々でデコレーションされたベールと煌びやかなアクセサリーが飾られている。
カリム先輩は私の首元に大きなネックレスを付けてくれた。
ローズクォーツを思わせる石がネックレスの中央で光り輝いている。
耳元にイヤリングが飾られ、仕上げにベールを被せられた。
一気に華やかになり、だんだんと花嫁姿に近付いていく。

「ニコル、すごく綺麗だぜ! 次の部屋も楽しみにしててくれよな!」
「ありがとうございます。行ってきます!」

カリム先輩に送り出され、私は三番目の部屋へと足を進めた。
扉をノックすると、どこか慈悲深さを感じる優しい声が聞こえた。
中へ入ると、香水の瓶を持ったアズール先輩が待っていた。

「僕からはあなたに香りの贈り物を授けましょう」
「はっ、はい……
「対価はあなたの美しい歌声を聞かせていただくだけで結構です。それでは、この甘やかな花の香りを贈りますね」

アズール先輩がドレスのスカートに香水を吹きかけた。
最初にふわりと花々の香りが漂い、ムスクやバニラのまったりとした甘い香りが残り香となってドレスのスカートにまとわりつく。
アズール先輩いわく、私に吹きかけた香水は恋する女性をイメージした香りだそうだ。
華やかで甘い花々の香りをまとった私は、アズール先輩に次の部屋へと送り出された。
四番目の部屋では花嫁の持ち物が手渡されるらしい。
扉をノックして、私が来たことを部屋の向こうで待つ人に伝えた。
明るく愛らしい声で迎えられ、私は部屋の中へ入った。

「監督生さん、待ってたよ!」
「オルトくん! イデア先輩まで……!」
「監督生氏、完全にリア充な花嫁ですな」
「兄さん、監督生さんにあれを渡してあげて」
「わかったよ。ちょっと待ってて」

イデア先輩が小さな箱を持ってきた。
箱の中身はピンクゴールドのマイクだった。
このマイクは高性能のものであり、イデア先輩がこの日のために創り上げた代物である。
工学が得意な生徒が集まるイグニハイド寮の寮長であるイデア先輩らしい贈り物だ。

「うん、監督生氏によく似合ってる」
「よかったね、兄さん!」
「監督生氏、早く次の部屋に行った方がいいよ。あまり待たせると部屋の主が怒っちゃうかもしれないからさ」
「わかりました。イデア先輩、ありがとうございます」

私はイデア先輩にお礼を言ってすぐに次の部屋へ向かった。
次に贈られるものは花束か何かだろうか。
五番目の部屋にたどり着いた私は、さっそく扉を叩いた。
入るように申し伝えられ、ゆっくりと扉を開いた。
部屋で待っていたのはリドル先輩と色とりどりの花々が束ねられたブーケだった。

「待っていたよ。ボクからは花嫁に似合うブーケを贈ろう」
「ありがとうございます!」
「よし、これでブーケの完成だね。さぁ、次の部屋に行っておいで。部屋の主が昼寝してるかもしれないからね」
「はい、行ってきます」

リドル先輩がリボンを使って、マイクにブーケを取り付けてくれた。
今回のテーマである婚礼衣装の歌姫に合わせた仕様のブーケだ。
彩り豊かな花で飾られたマイクで歌うのが楽しみで仕方ない。
次の部屋の主はおそらくあの人だろう。
彼がどのような贈り物を授けてくれるか色々と考えながら、私は六番目の部屋へ向かった。
部屋の中へ入ると、珍しくきちんと正装したレオナ先輩がいらっしゃった。

「なかなか様になってるじゃねえか。俺からはこいつをやるよ」
「あっ、ありがとうございます」
「草食動物には草食動物がお似合いだぜ」

レオナ先輩が私に手渡したものは、小さな白うさぎのぬいぐるみチャームだった。
チャームを授けてくれたレオナ先輩は、照れくさそうな表情を浮かべていた。
可愛らしい贈り物に私は思わず笑みをこぼしそうになった。

「おい、草食動物。さっさと最後の部屋に行け。あの野郎が待ってやがる」
「そっ、そうですね。ありがとうございました!」

私はレオナ先輩にお礼を言って、早々と部屋を出た。
最後の部屋で待つ人は、あの人に間違いない。
徐々に花婿の元へと近付いてきている。
早く私の花嫁姿を愛するお婿さんに見せたい。
はやる気持ちを抑えながら、私は最後の部屋へと足を進めた。
ようやく最後の部屋にたどり着いた。
深呼吸をして、重厚な扉をノックする。
深みのある低い声で名前を呼ばれ、私は部屋の中へ入った。
私を待っていたのは茨の谷の次期国王。
彼が花婿の元へと連れて行ってくれるという。

「待っていたぞ、ヒトの子よ。僕の手を取るがいい」
「はい……

私がツノ太郎さんと呼ぶ次期国王に花婿が待つ部屋へと誘われる。
もうすぐ花婿に会える。
ツノ太郎さんが大きな扉を開いた。
花々と宝石のように煌めく装飾で飾られた風景が私の視界に広がっていった。
煌びやかな風景の中に美しい花婿がいる。
その姿は絵本に出てくる王子様のようだった。



「ニコル、今日は一段と綺麗だな」
「シルバー先輩もとても素敵です」
「マーベラス! 美しく愛らしい花婿と花嫁が揃ったね。さぁ、そこに並んでおくれ」

今回のフォトウェディングでカメラマンを務めるルーク先輩に促され、私達はピンクの薔薇で飾られたステージへ向かった。
ステージの設営とシルバー先輩のヘアメイクを担当したのもルーク先輩だ。
シルバー先輩の花婿衣装のテーマは、純白の妖精騎士。
白いクラシックコートを基調とした華やかな衣装である。
シルバー先輩と肩を並べて寄り添い、カメラの方へと視線を送った。
ルーク先輩がきびきびとした動きでシャッターを切っている。
動きは機敏だけど、満面の笑顔と明るい話し声は相変わらずだった。

「眩しい太陽に照らされる夏の季節の花婿と花嫁、実にボーテ!」
「ふふっ、ありがとうございます」
「ニコルくん、素晴らしい笑顔だね! ムシュー・お寝坊ももっとリラックスしておくれ」
「わっ、わかった……

私の隣でキリッとした表情を見せていたシルバー先輩は戸惑いを隠せない様子だった。
距離を縮めるため、シルバー先輩にもブーケ付きのマイクに手を添えてもらった。
手が重なり合った時、シルバー先輩が眉尻を下げて微笑んだ。
そこですかさず、ルーク先輩がカメラのシャッターを押した。

「トレビアン! 美しい絵画をカメラに収められたよ。さぁ、最後の仕上げに付き合っていただこう」

私達はカメラに視線を送りながら、ぎゅっと寄り添った。
素早くシャッターが切られていき、無事に撮影が終了した。
写真撮影の次にはパーティーが控えている。
私達はパーティー会場であるボールルームへ足を向けた。
扉を開いて撮影部屋を出ると、グリムと一年生たちが花道を作っていた。

「あっ、出てきたんだゾ!」
「ニコルサン、シルバーサン、とても綺麗だよ!」
「なかなか様になっているじゃないか、人間!!」

グリムも他の一年生たちもこの日のためにおめかししている。
一年生たちは籠に入った花びらを取り出し、ふわりと天井へ向かって投げた。
フラワーシャワーで私達を祝福してくれるようだ。
舞い上がる花びらを浴びながら、私達はボールルームの扉の前にたどり着いた。
エースくんとデュースくんが扉を開くと、披露宴会場と化したボールルームの景色が視界に広がった。

ボールルームに入場した途端、クラッカーの音が鳴り響いた。
贈り物を届ける役を務めていた寮長たちも合流しており、温かい拍手で出迎えられた。
私の真向かいにあるステージには、既に楽器がセッティングされている。
今日のライブ会場はポムフィオーレ寮のボールルームだ。
トレイ先輩がワゴンを使って大きな箱を運んできた。
パーティーの最初の出し物で必須のものが入っているという。

「この日のためにウェディングケーキを作ったんだ。エースとデュースも手伝ってくれたぞ」
「シルバー、ニコル、愛の共同作業じゃぞ」

箱から取り出されたケーキは二段重ねのメロンのショートケーキだった。
スポンジの層の中に熟したメロンの果肉がたっぷり詰まっていて、見るからに美味しそうである。
リリア先輩に剣型のナイフを手渡され、ケーキ入刀の準備は万端だ。
手を重ね合わせるように、二人でひとつのナイフを握った。
ゆっくりと切っ先をケーキのスポンジの中へと沈めていく。
剣型ナイフの切っ先がケーキに入った瞬間、拍手が巻き起こった。

「素晴らしいのう……!」
「これはマジカメ映え間違いなしだね!」
「早くケーキ食べたいんだゾ!」

多くの参加者たちがスマホをケーキと私達に向けている中、グリムは相変わらず食欲に正直だった。
入刀されたケーキはトレイ先輩に端の方へと回収され、人数分に切り分けられていった。
エースくんとデュースくんがシャンメリーを注いでいる。
切り分けられたケーキとシャンメリーのグラスは、ワゴンに乗せられて皆の元へと運ばれていった。

「二人ともよく似合ってるぞ。結婚式の予行演習に参加できて、俺達も嬉しく思うよ」
「ありがとうございます!」

トレイ先輩が私とシルバー先輩にお祝いの言葉をかけてくれた。
シャンメリーで乾杯し、さっそくトレイ先輩渾身のメロンのショートケーキを頂いた。
二種類のメロンの果肉の甘さが口に広がって、ケーキを食べる手が止まらなくなる。
同じくケーキを食べている参加者たちも満面の笑顔を浮かべている。
それほど美味しいケーキなのだろう。
ケーキを完食してしばらく参加者たちと歓談した後、私と軽音部の先輩方はステージへと向かった。

「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。ささやかではありますが、花嫁から楽曲演奏の贈り物をさせていただきます」

今回のフォトウェディングとパーティーのプログラムの中にライブも組み込まれていた。
ウェディングドレス姿で歌うのは初めてなので、この時を楽しみにしていた。
先輩方が楽器を持ってスタンバイをしている。
私も深呼吸をして所定の位置についた。
イントロの壮大なオルガンの音色が鳴り出した。
賛美歌のようなメロディが奏でられていく。
オルガンの旋律が鳴り止んだ途端、一気に楽曲に激しさが加わった。
待ってましたと言わんばかりに観客たちは頭を振り出した。
温かい祝福を受けた盛夏の花嫁は、声高らかに希望に満ちた歌詞を歌い上げていく。
尊敬する先輩方、親しい友人たち、そして私の愛してやまない微睡みの守護者に歌声を捧げるのだ。


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