@Rom_Dagashiya
此処は郷邑の街。
冬も過ぎ、街の景観は既に春一色となっていた。
そんなある日のことである。
街の中の一軒家。窓辺で三色団子をくわえながら、玄関前の桜をボーッと眺めている者が一人。
「全世界コッペパン協会」防衛大弾頭、朱鷺野 千鶴である。
千鶴(花見、こんなもんかぁ。)
と、団子に寄せていた意識を目の前の桜に映す。
千鶴「何あれ、タコ?」
ボーっとしていた意識が一気に疑念と警戒で覚める。
そのタコは窓越しにこっちの姿を確認したようで、そのまま玄関のチャイムを鳴らした。
ピンポーン
千鶴(え? 客なの?)
千鶴「はい、今行きまーす。」
ガチャ
?「ミミニミニニミ、ササニサハハサ、ボンジョールノ。」
千鶴「え、何々? かろうじてボンジョールノなんですけど!?」
?「おっと、翻訳機をつけ忘れていました。今の御無礼お許しくださいませ。」
千鶴「え? ええ、それで何を言おうとしたの?」
?「実は、聖耳界より聖都句蛸様が、千鶴様にお会いしたいと。」
?「それであなた様に聖耳界に来てほしいのです。」
千鶴「せいと、くたこ?」
?「ええ、聖都句蛸さまでございます。」
千鶴「な、なるほど……それで、なんでこっちから向かわないといけないわけ?」
?「句蛸様は賢者であります。とてもお忙しいので、宮殿を離れるわけにもいかないのです。」
千鶴「賢者……あんまり忙しいイメージないけどそうなんだ……。」
涼(呼んだ?)
千鶴「呼んでない!」
?「今回、お一人での訪問となります。移動には涼様の能力をお使いになられても構いませんが、聖耳界に着いたらそこで能力の使用を止めるようにお願いします。」
涼(はーい。)
こうして、謎の人物「聖都句蛸」に謁見するため、千鶴は聖耳界へと向かうのであった……。