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おーぼー

全体公開 1 2157文字
2021-10-23 20:23:09
Posted by @uk_plus_



 「あんたさぁちょっと蓮二くんと仲良くしすぎじゃない?」
「調子乗ってんじゃないわよ」

跡部様親衛隊みたいだ!

そんなことを一瞬で考えることができた私は全く恐怖も焦りも感じていなかった。

 事が起こったのは昼休みが始まってすぐ。さてお弁当を広げようかと意気込んでいた私を数人の女子がずずいと囲んだのだ。

「苗字名前ね。ちょっと来なさい」

そんなお決まりな台詞を吐いて。

 そして今に至る、というわけで。

「ええっと、皆さんはなんなんすか……

蓮二の親衛隊っすかと適当に言えば、仁王立ちしていた一人の女子が顔を真っ赤にして喚き始めた。

「あんた立場わかってるわけ!?」
「いや、わかるも何も、なんかこう、怒らせることしました?」
「無自覚なの?マジ腹立つ」

いや、そう言われましても。

そう思いながら困り顔で頭を掻いていると、視界の端に蓮二が見えた。

「あ、蓮二丁度よかった!あんたから言っておくれよ!私はなーんもしてませんって!無実ですってー!」
……は?」

至極迷惑だって顔をしやがりましたね、この人は。ですよね、わかってた、わかってましたよ。

「関係ない」
「あるあるある大いにあるわけっすよねこれがー!」

今にもその場を立ち去りそうな蓮二に大きく声をかけながら、私は手をぶんぶんと振った。

「どこにだ」
「あんた聞きなさいこのお方たちは蓮二くん親衛隊なわけっすよ。関係ねーわけねーだろっつー話!」
「ちょっと……!」

適当なことを言っている私に、彼女たちは再び苛ついたようだった。

……しかしお前の言動に問題があるようだが」
「いいや!私の言動のひどさはずっと前からっしょ!」

関係ないね!そう言い切ってやると蓮二は呆れたようにそれもそうかとため息を吐いて、こちらへと近づいてきた。親衛隊の方々はきゃーだかわーだか騒ぎながら、顔を真っ赤にさせて急にしおらしくなった。

存外面白い人たちだ。

「で、何が起きているんだ」
「えっとなんつーか、蓮二のせいで私がこの方々からお叱りを喰らってる」
「どうして俺のせいなんだ」
「なんつーの?私が?最近?蓮二と、仲良すぎ?」

とか?なんて終始疑問系で言っていると蓮二に軽く頭を叩かれた。スナップが効いていて、結構痛い。

「要領は得んが、名前が馬鹿だということはよくわかった」
「あんたそれ今わかったことじゃないっしょ」
「馬鹿のくせしてよく知ってるな」
「知っとるわ!」

しれっと人を小馬鹿にする蓮二に心底嫌そうな顔をしてやると、親衛隊の一人の子がおずおずと声をかけてくる。

「あ、あの……蓮二くんと名前、さんは、どういったご関係で……?」
「下僕だ」
「マジいい加減にしろや蓮二のくせに」
「下僕、と言う名の幼馴染だ」

ちょっと舌打ちしてから言い直した蓮二に私はガンを飛ばす。

「そう!ただの幼馴染」
「生粋の馬鹿だからな。俺でないと相手できん」
「ねえ生粋ってつけると一気にプロっぽくね!?」
「馬鹿どころの騒ぎじゃないだろう?」

まるで女子たちに同意を求めるように問う蓮二に、彼女たちは戸惑いながら笑っていた。苦笑いだ。

「というわけで、別段君らにとって名前は有害な人間ではない。わかってもらえたろうか?馬鹿が過ぎるが」
「一言多いんだよ」

ひどく残念そうな顔をして蓮二は彼女らに説明をする。助けてもらっているはず、なのだが苛つくのは何故だろうか。

「な、なんかごめんなさいね?」

すると彼女たちはそう言い残してそそくさとその場を後にしていった。私はきょとんとその背中を見送っていたが、蓮二は盛大なため息をついてから私の後頭部を殴打した。

「いでっ」
「本当に馬鹿だな。何のこのことついて行っているんだ、お前は」
「ええ?だって来いって言われたから
「俺が通りがかったからよかったものの」

蓮二は随分ご立腹らしく、どうやら今度は彼を怒らせたようだ。すると蓮二は何か思いついたように私のほうへキッと視線を向けて、しかめっ面でこう言った。

「明日から一緒に登下校する。昼も一緒に食べるぞ」
「ええええええええええええ!?やだああ!!」
「やだぁじゃない。絶対だからな」
「おーぼーだ!」
「日本語もまともに使えないくせに何をほざく」

この一件から私は以前の倍、蓮二と顔を合わせることになった。いつでもどこでもどんな時でも蓮二がいる。どこでもレンジ。とんでもないことになってしまった。

 それからしばらくして。ある時、幸村が私に言った。

「まんまと罠にかかった名前は本当に馬鹿だな……

これが蓮二の綿密に組まれた策略だと知るのは、私と蓮二の仲がもう少し深まってからの話だ。

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ほんと、おーぼーだね?
馬鹿にはこれくらいが丁度いい。


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