@giftower2
「ぼく達の部屋へようこそ、親愛なるお兄さまお姉さま。」
「ここはぼくが主を務める第零層、離別の間。」
「現世から死者を迎え入れたり、祝福を受け取った皆さまを現世へかえす場所だよ。」
「じゃ、僕の言うことを聞かなかった皆さまはそこに並んでね。」
「興味ないので、約束通りすみやかに生き返らせて差し上げまーす。さよならー。」
「そして最後まで何も選ばなかった皆さま。これからずーっと一緒だよ。」
「この一ヶ月間、各街を巡礼する中で色んな人と出会ったでしょう?」
「あんな風に、皆さまはこれからは塔の中に暮らすんだ。」
「そうだ、次の主を目指すのもいいかもね!ぼくも自分がガイドした元巡礼者の作った街、見てみたいなあ。」
「……まあ、全力で拒むなら流石に諦めるよ。」
「けど別の場所で幸せになるのは許さない。魂ごと消滅させて、ぼくの目の届かないところにいってもらうからね。」
「あーあ、いいのかな、いいのかな……。」
「こわいよ?くらいよ?つまんないよ?さびしいよ?」
「そんなところに行くだなんてよしなよ。消えちゃうぐらいならぼくと遊ぼう?」
「……やっぱりそうやって嫌な顔するんだ。」
「いいよ、わかってる。誰かを好きになるって愚かなことさ。」
「自分の心の一部をちぎって、常に変化する存在である他人に預けるなんて、ほんとに気が狂った所業だよ。こんな面倒なことやらないほうがいい。」
「けど、そんなことわかった上で——どうせぼくはまた人間を好きになる。」
「気が遠くなるほど長い長い時間。この狭い部屋の中から。」
「いつかは食べこぼしたミートソースみたいに、どうでもよくなるのに。」
「……そしたら、預けたままのぼくの心はどこに行くの?」
「興味をなくす前に新しいものを補充しなきゃ。」
「そしたらぼくはかえってこない心を忘れていられる。昔のことをずっと覚えているだなんてめんどくさいし……それにぼくってほら、怠惰だからさ。」