独自解釈、自己設定てんこもりなハス探。走り書き「」会話文構成。
@hirop573
歌トンと邪神のあれこれ
【歌】
「〜♪〜〜〜♪」
『随分と上機嫌だな、ノートンよ』
「……。聞いてるとは思わなかった。別に機嫌良い訳じゃないよ」
『そうか。…先程の歌は』
「え?あー…なんだったかな。流行りの歌だったはずだけど。歌というより曲。僕はそれを鼻歌で歌ってただけ」
『ほう。もう歌わぬのか』
「え」
『続きがあると見たが』
「歌わないよ」
『何故』
「他の気配があると嫌。上手い訳でもないし」
『我はそなたの歌を聞きたいのだが』
「…やだよ」
『ノートン』
「やだって」
『………』
「うわっ!?ちょ、言わせるの卑怯だって言ってるだろ!歌えばいいんでしょ!」
『うむ』
「はぁ…。どうしてあなたは…。まぁいいか。期待しないで、あっち向いてて」
『それは勿体ないであろう』
「……我儘」
『時にそなた』
「はい?」
『"謳える"な?』
「!」
『民謡でもなく…ましてや俗世の歌でもない。そうだ、讃美歌を。そなたのその声、聞き覚えがあると思っておった』
「……、僕は…」
『何故歌わぬ。そなたの声は価値があるというのに』
「奪われたんだ」
『奪われた?誰にだ』
「誰…誰…?分からない。ただ、あれを歌おうとすると喉が焼けるように痛いんだ」
『そうか。ならば強要はすまい。…そうか…』
「?」
【歌②】
「イソップ、イソップ」
「?キャンベルさん?」
「ごめん。少しの間だけ匿って」
「何か悪い事をしたのなら御免被りたいですが」
「違う」
「分かりました。鍵でもかけておきますか?」
「お願い」
「…で、理由をお聞きしても?あぁ、その前に」
「なに」
「ここにもう一人いるのですがよろしいですか」 「え?どこに?」
「やぁ」
「イライ?どうしたんだい君」
「イソップくんとお茶をしていた所なんだ。急ぎではないし、私の事は気にしないで…」
「……イソップ」
「はい」
「彼は僕のアレ、知ってるかい?」
「いえ」
「………。そうなら今は言えない。イライも口は硬いとは思う…けど…」
「あぁ、あの事ですか。誰かに聞かれたとか?」
「それはない。誰にも言ってないし、あのひとだって他言無用にするはずなんだ。……誰だろう…」
「気にしないでと言った手前なのだけど、一ついいかな」
「?どうぞ」
「本人も言わない。関わりある人も言っていない。なら荘園の主の可能性は考えられない?」
「!」
「キャンベルさんもハスターさんも…僕も言わないのであれば漏れるはずもありませんからね」
「余計な真似をしてくれるな…本当に…」
「ノートン、どうどう」
「…ごめん。ハスターが今試合でね。それが終わるまででいいんだ」
「それはもちろんですが…。今回限りでは済みませんよ、どうするんですか?」
「今から考える…」
「…そうですね…提案が」
「提案?」
「試合中、納棺するために技術をもっと上げたいんです。なので匿う代わりに、貴方の顔をよく見せて欲しい」
「あぁ、なるほど。いいよ。僕の顔描きにくいだろ」
「いいえそんな事は。皆にも言えることです」
「……そう」
『遅くなったか』
「いや。来てくれて助かったよ。断ってもしつこいから外に出られなくて…」
『そうか。我の部屋の方がよさそうか』
「しばらくそうしようかな」
「いつも通りでは?」
「言わない言わない。そうだノートン」
「?」
「いざとなったらコレ、だよ。コレ」
「…パンチ?」
「そう」
「キャンベルさんならまぁ…口で言ってもしつこいようでしたら出ても仕方ないと思います」
「馬鹿にしてない?そのつもりもあったけど」
「やっぱりあったんじゃないですか」
【歌③】
『………』
「ハスター」
『………』
「?ハスター?おーい、ハスター」
『!なんだ、居たのか』
「結構前からいたよ。初めて見た。あなたが考え事で周り見えてないの」
『いや…。そうだな。少し』
「…ちなみに何を?」
『あの歌を』
「歌?」
『奪われたのであれば取り戻せるだろうと』
「………。いいよ、もう。聞きたいのは分かるけど、危険を侵してまで取り戻して欲しくはない。あなたは大丈夫だと言うけれど、僕が嫌だって前に話しただろう」
『それでもだ。目星はついているのでな』
「…え?」
『問うぞ、ノートンよ。そなた、もう"知っている"であろう?』
「!!」
『我の存じている存在…あれに奪われたという段階までは把握していた。問い詰めればあれは不要なものだと放棄したと言う。故に持ち主に戻ったのではないか、と思うてな』
「…でも、僕は…あれが…」
『怖いか』
「!」
『強いはせん。取り戻せたのであれば我は満足だ』
「ぼ、くは…僕に歌が戻ってきたのはあなたのお陰なんだ、ハスター」
『……』
「あなたに引っ付いてた何かに触れて、それが失くなってた歌だと気づいたのは最近だ。…あなたのために歌いたいのはある。けど、やっぱり怖いんだ…」
『強いはせんと言ったはずだ』
「僕も無理にするつもりはない。ねぇ、どうして聞きたいのかもう一度聞いてもいい?」
『大昔、そなたと似た存在の歌詠みがいてな。その者が歌っていた歌は大変我を高揚させた。今思えばあれが好みというものなのだろう』
「……そう」
『奪われる以前のそなたのあの歌は、昔の歌詠みと全く同じ。今のそなたが歌えばまた違った歌が聞ける。そう思っただけだ』
「十分な理由だろう…。でも、そうだな…僕だって歌いたくない訳じゃない。歌うと火を思い出すんだ…」
『火か』
「その昔の歌詠み?って人みたいに特殊な仕事でもなくて、それこそイベントで賑やかしに歌を歌うって仕事だったんだ。でもある時の結婚式で…それこそ讃美歌、あれだね。歌ってたら急に火事があって」
『………』
「犯人も誰か分からないまま、結婚式も有耶無耶、新郎新婦も死んで、それこそ僕だけ生き残った。目が覚めたら焼け野原、おまけに声もしばらく出せなかった。覚えていた曲も一つどころかほとんど忘れてしまっていて…やる事なんて取り乱す事ぐらいだったな」
『……そうか』
「だからごめんよハスター」
『そなたが謝る事ではない。それにその犯人も予想はできておる』
「え、どうして」
『人の手によるものではないからだ。クトゥグア、我と同じ邪神の可能性がある』
④
『皆のためを想えないのであれば、我を想え』
「…ハスター…?」
『恐ろしいか、不安か。それが邪魔であれば捨てるがいい。我のために歌え』
「……僕の声なんて聞いても」
『有象無象がなんと言おうと我は良いと言っておる』
「……。分かった。その代わり約束して」
『この我とか。よかろう。して?』
「僕と契約して、僕を守って。…傷一つつかないで」
『ク、ハハハ。あぁ、確と。そなたの願い聞きいれよう』
⑤
「僕だって、僕だって!歌いたくない訳じゃない!無理なんだ!」
『理由を』
「…ッ無いんだ!"歌"も、"詩"も!"唄"も"謳"も"譜"も!!取られた!全部!全部だ!もう…分かんないんだよ…!いつの間にか無くなって、いつの間にか分かんなくなって…もう…僕には何もないんだ」
『……否』
「ぇ……?」
『そなたのものは有る。未だ有る』
「どうして分かるんだ、そんなの」
『全てではないが我が把握出来るからだ。…手を』
「…手…?はい」
『一つ取り戻してやろう』
「そんな簡単に…!?ぇ、あ…!?」
『ふむ。合っていたようだな』
「急に頭の中に…?なんで…貴方は…一体何…?」
『ハスター』
「ハス…ター?」
『左様。我は境界の門番に過ぎぬ存在…今はそう捉えよ』
「………。よく分からないけど、分かったよ…?」
『して』
「!わっ!何、びっくりする!」
『取り戻したものは"歌"だ。間違いはないか?』
「う、うん。ありがとう。あの、聞くだけなら降ろしてほし、」
『対価を』
「!!あ……」
『対価を、と。よもや無償で働いたとはそなたも思うまい?』
「それはそう、だけど。僕、本当に何も返せない…」
『否。ある』
「え?んむ…!」
『我は何を取り戻してやったと思っておる』
「!…歌えって?」
『………』
「え、と、しばらく歌ってなかったから、練習」
『今この時だ』
「う、あの」
『そうだ』
「〜〜〜!!分かった、分かったよ!下手でも知らないからね!」