雪の降る街であなたと二人で楽しいパレードを始めよう。
ツイステ二次創作、シル監ラブストーリー第21話。
※創作女監督生の名前が出ます
※捏造設定あり
@natsu_luv
賢者の島が真っ白に染まっている。
今年も雪の季節がやって来たのだ。
ウインターホリデー間近の週末、私はシルバー先輩と麓の街を訪れていた。
ずらりと並ぶお店の屋根には雪化粧が施されている。
お店の看板にはポインセチアが飾られ、玄関の近くではつぶらな瞳の雪だるまが店番をしている。
クリスマスキャロルが流れる中、私とシルバー先輩は今回のデートの目的地である水族館へと歩いていった。
街中をくぐり抜けると、イルカの看板が目印の白い建物が視界に入ってきた。
「ここが街の水族館か」
「綺麗な建物ですね! 看板も可愛い」
「さっそく入ってみるか」
券売機でチケットを買い、私達はゲートをくぐって建物の中へと進んでいった。
館内に入ると、巨大な水槽の中を泳ぎ回る色とりどりの魚たちの姿が見えた。
別の水槽では少し大きめの魚たちがゆったりと回遊している。
まるで海の世界を訪れたような感覚だ。
私達は順路に沿って次の展示室へ向かった。
部屋を繋ぐトンネルも水槽になっており、丸みのあるアザラシが私達を迎えてくれた。
「あっ、アザラシさんがシルバー先輩の方へ行きましたよ」
「歓迎してくれているのか。ありがとう」
シルバー先輩の近くへやって来たアザラシが、ぴょこぴょこと小さな手を振っていた。
森の動物たちみたいに、アザラシもシルバー先輩に懐いているように見える。
トンネルを出ると、次のエリアである海獣コーナーへたどり着いた。
この展示室にはアザラシやラッコといった可愛らしい海の動物たちの水槽がある。
まずは、ラッコのいる水槽へ行ってみた。
ちょうど食事の時間だったのか、貝同士を叩いている様子を見ることができた。
「打楽器を演奏してるように見えますね。可愛いなぁ」
「そういえば、フロイドがカリムのことをラッコだと言ってたな」
「確かに、ドラムを叩いてるカリム先輩に似てるかもしれませんね」
ラッコの食事風景を眺めていると、別のラッコが私達の方へと近付いてきた。
シルバー先輩の姿を目で捉えたラッコは、挨拶をするかのように水槽のガラスを軽くノックした。
手厚い歓迎を受けている間に、食事を終えたラッコもシルバー先輩の方へとやって来た。
気が付くと、二匹のラッコがシルバー先輩に熱い視線を送っていた。
「そんなに見つめられると照れてしまう……」
「海の動物さんもシルバー先輩のことが好きになったんですね」
「そうなのか……」
はにかみながらシルバー先輩が呟いた。
カワウソやアシカの水槽も廻り、私達は次のエリアへ移動することにした。
次はペンギンたちの島をイメージしたエリアだそうだ。
再びトンネルをくぐり抜け、私達はペンギンコーナーにたどり着いた。
流氷を模した島と南極の海のような水槽が特徴的な場所になっている。
小さなペンギンたちが氷の島の上をよちよち歩いている。
私達は可愛らしい歩き姿を目で追っていた。
「可愛いですね。ずっと見ていられます」
「あっちには大きなペンギンもいるな」
「エンペラーペンギンですね。悠然としてますね」
向かいの島では、貫禄のある姿のエンペラーペンギンたちがゆったりと佇んでいる。
エンペラーペンギンたちの島の向こうに砂浜らしきものが見える。
このエリアには南極のようなエリアだけでなく、真夏の南の島ようなエリアもあるようだ。
足を進めると、ペンギンパレードのお知らせが視界に入った。
どうやら、このエリアから水族館に隣接するカフェまでの道をフンボルトペンギンたちが闊歩するらしい。
「面白そうですね。見てみましょうか」
「そうだな」
「もうすぐアフタヌーンティーの時間ですから、パレードを見てすぐにカフェへ向かうと良さそうですね」
「……始まったようだな」
パレード開始を告げるホイッスルが鳴った。
飼育員さんに誘導されながら、ペンギンたちが行進を始めた。
クリスマスの時期なので、ペンギンたちは首に鈴と赤と緑のリボンを付けている。
その姿もとても可愛らしい。
小さな足で一歩ずつカフェの方へと歩いていくペンギンたち。
私達も少しずつ後を追いながらカフェへと向かった。
「可愛いなぁ。みんな頑張れ〜!」
「もうすぐカフェに着くな」
「あっ、ゴールが見えましたよ!」
カフェの近くにゴールのゲートが立てられている。
着実にペンギンたちがゲートへと足を進めている。
しばらくして、無事にペンギンたちがゲートをくぐった。
パレードを見守っていた人々はペンギンたちに温かい拍手を送った。
他のお客さんたちと一緒に拍手をしていると、パレードを終えたペンギンたちが近付いてきた。
気付けばペンギンたちがシルバー先輩の近くでおしくらまんじゅうをしていた。
「困った。動けない」
「きゃあぁっ、シルバー先輩が囲まれてる〜!」
「お客様、申し訳ありません!」
慌てた様子の飼育員さんがシルバー先輩にくっついていたペンギンたちを引き剥がしてくれた。
アフタヌーンティーの時間が迫っている。
私達はすぐにペンギンの看板が目印のカフェの中へ入った。
カフェの中へ入ると、真っ先に海の生物が描かれた絵画が視界に映った。
海の生物のふんわりとしたぬいぐるみが飾られた温かみのある内装も印象的である。
メイドさんに席へ案内され、私達はアフタヌーンティーセットの到着を待った。
芳しい紅茶の香りが鼻を掠める。
きっとこのカフェで出される紅茶も美味しいに違いない。
「お待たせしました。アフタヌーンティーセットでございます」
「すごい、可愛い!」
「見事だな」
私達のテーブルに冬限定のアフタヌーンティーセットのティースタンドが置かれた。
下段にはスモークサーモンとクリームチーズのサンドイッチ、中段にはスコーンと海の生物の形をしたクッキー。
上段には苺のタルトレットと雪だるまの形をしたヨーグルトムースケーキが載っている。
紅茶は苺とバニラのフレーバーティーで、クリスマスケーキをイメージしたものらしい。
「良い香りがしますね。美味しい〜」
「ニコルが幸せそうで俺も嬉しい」
「今日は二人でここに来られて良かったです」
「あぁ、そうだな」
シルバー先輩が眉尻を下げて微笑んだ。
紅茶をひと口飲めば、苺とバニラのふくよかで甘い香りが口いっぱいに広がる。
サンドイッチはちょうど良い塩気とスモークサーモンの旨味を感じられ、スコーンは外はさっくりで中はふかふかの食感だ。
海の生物たちのクッキーは可愛い見た目とバターの香りを楽しめる。
「このクッキー、タコさんとウツボさんの形をしてますね」
「あの三人を思い出すな」
「そうですね。ウインターホリデーの間はモストロ・ラウンジのお手伝いに呼ばれちゃうかもしれません」
「無理はしないようにな」
「はい」
シルバー先輩の言葉に私はそっと頷いた。
他愛のない会話を交わしながら、お皿の上のティーフードを食べていく。
ようやく上段のケーキにたどり着いた。
タルトレットは甘酸っぱい苺とまったりとした甘さのカスタードクリームが相性抜群で美味しい。
雪だるまのムースケーキには、すっきりとした甘さのヨーグルトムースとラズベリーのソースが詰まっている。
お皿の上が真っ白になった。
紅茶もティーフードも美味しくて満足度の高いアフタヌーンティーセットだった。
「次はツノ太郎さんたちへのお土産を買いに行きましょうか」
「そうだな。ショップはカフェの隣か」
「何を買おうかな……」
カフェを出た後、私達は隣にあるスーベニアショップへ入った。
今回の水族館デートはツノ太郎さんとリリア先輩が用意してくれた。
まずは、二人への感謝の気持ちを込めた品を買うことにした。
店頭で綺麗なマリンブルーのゼリーが売られている。
私達は即決でゼリーを二人への贈り物にした。
「あっ、水族館限定のツナ缶がある! グリムへのお土産にしようかな」
「そういえば、グリムはリリア先輩とセベクが見てくれているのか」
「そうなんです。セベクくんにもお土産を買わないと」
セベクくんへのお土産は上質なスモークサーモンにした。
食べ物のお土産を買った後、私達は雑貨も見て回ることにした。
ふと、つぶらな瞳のクラゲのぬいぐるみと目が合った。
涼しげな薄紫色のクラゲのぬいぐるみは、どこかシルバー先輩と似ているような気がした。
クラゲのぬいぐるみの近くには、黒いウミウシ、赤いメンダコ、緑のワニの子のぬいぐるみもある。
どのぬいぐるみもまん丸な瞳とふんわりとしたシルエットが可愛らしい。
「このぬいぐるみ、ツノ太郎さんたちに似てるなぁ」
「ニコルのカチューシャと同じピンク色のエビのぬいぐるみもいるな」
「本当だ、可愛い!」
「このぬいぐるみたちも一緒に買おう」
可愛らしい海の生物のぬいぐるみも皆へのお土産にした。
お土産を買い込んだ後、水族館内の残りのエリアも見て回った。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
外はもうすぐ日が暮れようとしていた。
水族館を出た後、すぐに私達はナイトレイブンカレッジへ帰った。
ナイトレイブンカレッジの正門前にたどり着き、私達はそのまま鏡舎へと向かった。
夜にはディアソムニア寮でちょっとしたパーティーが行われる。
鏡でディアソムニア寮へとひとっ飛びし、夜の帳に包まれた寮の前へたどり着いた。
玄関の前でリリア先輩とグリムが手を振っている。
この後のパーティーを楽しみにしながら、私達はディアソムニア寮の門をくぐった。