@nikogori_san
そよぎ ゆら(24) 6/6生まれ
どこかの高校の数学教師をしている。
表情が乏しい、モデル体型のパンツスタイルが似合う数学教師。背がでかい。
賑やかな授業をする訳ではないが、教え方がわかりやすく解説に無駄が無いと勉学に励む生徒間で人気がある。
ふと見せる中性的な笑顔にやられる生徒や教師もおり、陰ながらファンもいたりする。
煙草を吸うギャップにやられる人も多数。 大食い。
煙草の銘柄はPEACEのアロマメンソール。
▶︎裏の顔
夜な夜な街に繰り出しては、声をかけてくる人間を人気のない路地裏に連れ込んで殺すを繰り返す殺人鬼。
性同一性障害であり、女性である自分を毛嫌いしているがその女性の部分で品定めする男を更に嫌っている。
女になれず、男にもなれぬもどかしい自分への苛立ちも相まって殺人衝動でストレスを解消している。
▶︎一度死んでいる身
自身の死を甘んじて受け入れていたのに現実世界へ戻されてしまった。
こんな自分は死んで当然だ。人を殺す事でしか生を謳歌できない人間など存在しない方がいい。
そう納得していた筈なのに理不尽にも現世へ戻される。
こんなのはおかしい、あっていいはずがない。
生まれてから他人に弄ばされてばかりだったのに、死んだ後も放っておいてはくれないのか。
この失敗作に生きる事を強要するのなら、命ある限り全てを壊してしまおう。
もう誰の手も、温もりも要らない。
私が生きていくには、それしかないのだから。
イメソン
柊キライ「ヴィータ」
MARETU「うみなおし」
DUSTCELL「足りない」
◆過去ss
「揺、お前がいけないんだよ。」
それは父の口癖だった。
何かにつけてそう言って、いやらしい下卑た笑みを浮かべながら手を伸ばしてくる。
衣服の中を這い回る掌が気持ち悪かった。
ごめんなさい、何度謝ろうとも終わることは無い行為。
それでも幼い頃の自分に抗う術などなかった。
助けを乞う視線を向けても、見て見ぬフリをする母。
その時、私の中の「女」の部分はきっと死んだのだ。
いや、昔から無かったのかもしれないが。
死を自覚したのはきっとその時だ。
悪夢の様な毎日が続くものだと思っていた。
中学にあがる頃、女性となるべくして迎えるそれが訪れた。
初潮。私は理解したと同時に、胃の内容物を全て吐き戻した。
自分が女となっていく過程が耐えられない。丸みを帯びる体付き、膨らんでいく胸、全てが気持ちが悪い。
…だが、それ以上に。
血を吐きたいくらいに気持ち悪い、存在がいた。
「なんだ揺、おまえ女になったのか。…そうか。」
にたり、と男の口元が吊り上がる。
「お前がいけないんだよ、揺」
まるで呪いの言葉の様だ。
ごめんなさい、ごめんなさいと無意識に繰り返す自分。
縛り付けて苦しめるその言葉に
私の中で何かが、割れた。
私がいけないのなら死ねばいい
そんな私を作り上げた欠陥品も、死んだ方がいい
おとうさん、おかあさん、ごめんなさい
だから一緒に死んでください。
柔くて暖かくて脆い。
人の命なんて思っているほど重くなんかない。
刃物を突き込めば忽ちどろどろこぼれて消えていく。
からん、と落ちる包丁には
赤い赤い、命に塗れた顔の自分が映っていた。
気がつけば病室のベッドの上にいた。
あの後、私は自室で首を吊ったはず。
どうも、近所の人が警察を呼んでいたらしく、その折救急車で運ばれたようだった。
…あれだけ母が叫んでいれば無理もないか、と冷静な頭で考えていた。
病室にいるのは私だけ。
両親は、警察が来た時にはもうこと切れていた。
そこからは生活ががらりと変わっていく。
両親を殺したが、何度か児童相談所に虐待の通報があり、さらに私の腕や脚などのアザから正当防衛が認められ、施設へと移された。
子が両親を殺すというあまりにも酷い事件は、世間を震わせるニュースとして騒ぎ立てられたが、それも一時の事。
時間が経てばあっという間に忘れ去られた。
でも私の中の傷は、癒えぬまま残された。
昔から勉学は得意だったので、施設にて他の子供に勉強を教える傍ら、将来の事も考えなければならなかった。
なりたいものというのに無頓着(というより興味のなかった)私は、他の子供たちの「先生みたい」という軽い発言に「じゃあそれでいいか」と安易に決めて、ならばと今以上に勉強に励んだ。
勉強の間は何もかも忘れられる。過去のこと、自身が女であること、
皮膚を切り裂き肉を抉った時の手の感触も、
生暖かい命を浴びた、心地よいあの感覚も。
ほんの些細な事
それは十分に影響を与えるに値する時もある。
高校から施設への帰宅時、私は暴漢に襲われた。
男と重なる父の影に、憎悪と嫌悪でぐちゃぐちゃになる頭。
無我夢中で抵抗した。覚えてはいない。
それは、もう。…見る影もないくらいに。
頭からは中身が漏れているし目は潰れて眼孔が見え鼻は折れ曲がって口の端からは血なのか泡なのかわからない液体が耐えず流れ落ちて
ああ楽しい。
気持ちが悪い物を壊して処分してるんだから問題ないよね。
何だ、簡単な事だった。
勉強なんかより、全然簡単だ。
今もまだ習慣のようになりつつあるその行動を
正義だなんては思っていない。
許して欲しいわけでもない。
もし、もしも戒めてくれる誰かがいるのなら
その時は殺して欲しいと願う。
◆