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雨の街点景『9月8日 -東の国ではじめての-』

全体公開 短歌 10 538文字
2022-02-11 23:49:28

短歌15首連作。
東の国ではじめて、ひとりで誕生日をむかえるネロさん。
既発表作も混じっていますが、大幅改稿&新作により組み直したものです。

6:00
嵐ならよかったのにな めざましの水をぬるんだワインに替える
6:45
鍵をさすときに分け入る闇のこと鉄と氷のにおいは似てる
7:00
風媒花たずねどころのない罪もすべてこの身に受けてしまえば
7:30
市場にはひかりが並べられているひとつひとつのひかりを選ぶ
花のひかり玉子のひかり実のひかり 選ばなかったものの静けさ
7:45
でもふいに冷えた光に射ぬかれて銀の腕輪を(枷を)購う


12:00
「生前」を切って崩して火を入れる硬貨と引き換えにそれを売る
15:10
左手を氷の川にさしいれて遠く水源地を思う(夢)
手を引かれ覚めたと思い込んでいた浅い午睡を抜けてしばらく
17:30
どれほどに重くても見えないなら無い スープ鍋から湯気たちのぼる
19:10
誓いとかではないですねって笑うたび胸裡にひとつ響く銃声
約束のかわりに銀の輪で縛る 冬でも雨の降る街にいて


23:35
いちにちを終わらせるため火を埋める灰は白くてはるか 雪原
23:55
銀の輪をシーツの岸に浮かべては波のゆくてを追わずに眠る

(そしてまた、新しい朝)
つめたさは赦すことよりやさしいと決めて薄明、種火を起こす


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