推しワンライチャレンジ二個目。客ザゲストのコ刑事とギルヨンです。ファピョンとユクグアン氏、ユンとチェ神父の出会いはそれなりに明かされてるけど、この二人の出会いはどうだったんだろう…
@kosame85
コ刑事は目の前で形ばかりの起立をしている新米刑事を見上げ、困ったように後ろ頭を搔いていた。「新人教育を頼むぞ」と言い、意味ありげに肩を叩いてきた班長がひらひらと手を振りながら去っていく。かましてやろうと用意していた文句が頭の中から逃げだしていった。
その新米刑事はベテランかのように着古されたジャケットを羽織り、それと同じくらいだるんとした動きで「どうも」と軽く頭を下げた。見るからに気が強く、生意気で、上司を手こずらせるタイプだ。それだけなら「面倒な手合いが当たった」ぐらいで済む話だった。そういう新人は大抵、過酷な現場に揉まれていくうちに角が取れ、出る杭打たれ、平身低頭を身に着けていくものだ。
だが、この新人は――カン・ギルヨンという名の新人は、その態度がすでに「堂に入って」いた。くたびれたジャケットも、適度に力を抜いたその姿勢も、何より先任刑事を見下ろしているとは思えないほど冷めた視線が、コ刑事には一朝一夕に身に着けたものではないように思えた。新人だが新人ではない、もう何らかのヤマを見据えて動き出している人間。端的に言って難しい相手だった。
コ刑事は「あーっと」と、まごまごしながら椅子に座り直した。
「お前の目標はなんだ? 何かあるんだろ?」
その質問は、新米刑事に少しの驚きと生気を吹き込んだようだった。突然色づいたような彼女の有り様に、コ刑事は返ってくる答えの苛烈さを予感して、ぽかんと口を開けた。
「……母を殺した犯人を捕まえることです」
開けた口はふさがなければならない。コ刑事はその覚悟を受け取って、静かに口を閉じて頷いた。