推しワンライチャレンジ三個目。客ザゲストのユンピョンです。傘をさしているユンと傘をさしていないファピョンが向かいあうあのシーン、とても象徴的で美しくて好きなんですよね…
@kosame85
傘をさしているのに入ってこない。
彼はそういう人だった。雨の中ずぶ濡れになっていても、目の前にいる人の傘には入らない。たくさんの雨粒に打たれ、ろくに寝ていない、そんな顔をしながら、ただ冷たいコンクリートの上、こちらを見ている彼を前に、あの日の自分は何を思っていたのだろう。
「入れてくんねえの?」
今横にいる彼は、二人分の遅い朝食が入ったビニール袋を片手に、なんてことない風にそう言う。久しぶりに雪ではなく雨が降って、空気は生ぬるく、羽織ったコートは少し暑い。降水確率は40%。なら降らないと言った彼は傘を持っておらず、きっと降ると言った自分は傘を持っている。食料品店のひさしの下に狭苦しく並んでいる二人の男は、傍から見れば少し邪魔かもしれない。
「前は入ってくれなかったじゃないですか」
「そうだったっけ?」
「そうですよ」
「あなたはいつもそうでしたよ」と密かに呟く。少し大きめの黒い傘を広げ、無言で隣に差し出す。彼は寄り添うようにして中に入り、「どうだ」というようにこちらを見上げた。
「では……進みますよ?」
「そんな緊張すんなって」
彼は呆れたように笑う。その体温が近くて、取りこぼさないように踏み出した一歩があからさまに小さくなる。また彼に笑われた。
あの日の自分が、傘に入ってくれる彼を望んでいたのかはわからない。だが、同じ傘の中、彼がいる今はたしかに幸福で、そんな温かさはあの日には決して思い付けないものだった。