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越知月光は見ているだけではなくなった3

全体公開 2 1693文字
2022-02-24 21:12:42

続編

Posted by @uk_plus_



 「で、で、で!どうだったんだよ越知!」

朝一番に声をかけてきた騒がしい越知の友人は、挨拶すらすっ飛ばしてそう聞いてきた。

まずは挨拶をしろ」
「はいはいおはよーおはよー。で、どうだった?」

これでいいだろとでも言いたげな友人の顔にため息を吐きながら越知は低く返事をした。

「何がだ」
「何ってお前彼女とデート?おうちデートしたんだろ?」
したが」
「どこまでいった?」

その先を促すように肘で腹を小突いてきた友人の次の言葉に、越知は噴き出した。

「何がだ
「何ってお前言わせんなよー朝っぱらからお前はー」

このこのーと更に腹を小突いてこようとする騒がしい友人の頭に一発重めの拳を入れて、越知は自分の席に着く。

「いってえな!加減を知れよ!」
「お前に加減したところで口が減らないだろう」

大袈裟に痛がる本当に痛かったのかもしれないが友人にぴしゃりと返して、越知はなんとでもないように朝の支度をしていった。
しかしそんな越知の態度が気に入らないのか、友人は目の前の席に座って更に詰め寄ってきた。

「だってお前二人きりでいて、なーんにもないとか、あり得ないだろ」

不満げに言いながら顔面に詰め寄る友人の言葉に越知は動きを止めた。そしてぽつりと口にする。

「あり得ないのか?」
「何が?」
「その何もない、ことが」
…………え?」

まるでそこだけ空気が停滞したような沈黙ときょとんとする友人の顔。それ以上に越知は驚いた顔をしていた。
その静かな空気を打ち破ったのは、いつも騒がしい友人の珍しく消沈した声だった。

「お前、まさか、本当になんっっっにもしてないの?」
勉強は、した」

あり得ないとでも言いたげなその声音に返答したのは、越知の、これまた珍しく弱々しい声音だ。

「ちょっと待ってくれお前マジで言ってんの嘘でしょ嘘だって言ってくれ」

騒々しい友人はいつも以上に騒々しくなりながらがくがくと越知の肩を揺すり、そして今まさに教室に入ってきた小柄な
もう一人の友人に大きな声で呼びかけたのだった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



「お互いに勉強に集中しててキスのひとつもできなかった、と?」
「きっ

キスというその単語で越知は本日二回目の衝撃を受けた。
すると小柄な友人は衝撃で固まっている越知を無視してため息のあとに続ける。

「えーっとじゃあ越知は彼女を家に呼んで、受験勉強して、そのまま解散したってこと?」
「そう、だが
「あー

あの日の自分の行動を今一度友人に反復されて越知は尻すぼみ気味に返事をした。
その言葉を聞いた線の細い友人は至極残念そうな声を出す。

「まあ、誘ってデートしただけでも越知にとっては大事件だったわけだしなぁ」
「それにしてもよぉ、まさかなんっにもしてないとは思わないじゃん」
それだけ越知が思慮深いってことだよ。お前と違ってね」
「言い過ぎぃでも刺さるぅ」

友人同士がやいのやいのと騒いでいるそばで、越知は両の手で顔を覆いながらもごもごと口にした。

「何か、なければいけないのか?」
「いけないってわけじゃないけど
「せめてさー手ぇぐらい繋いだよな?」

悲痛そうな越知の声色につられて小柄な友人の声も小さく返事をする。
しかしそれに続いた騒がしい友人の声はそこそこ大きいまま、越知に再度別の質問を投げた。


おい、越知まさか」
「そのまさかっぽいね」

沈黙が意味する理由を察した友人二人はいよいよため息をしっかり吐き、二人そろって今だ落胆している越知の肩に手を置いた。

「じゃ越知、次回の課題ね」
「頑張れよ

越知の苦難はまだまだ続く。




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