@ohmish_h
※ベータがスパイという噂が本当だったという捏造エピソード
※アルファとベータがこれからハロ学にいくって頃のお話
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「まだまだ改良が必要だな」
「こんな出来損ないじゃいかんな」
より速く、より強く、より正確に
「完璧」を目指して
「あれあれ?」
「!」
「どうしたの?こんなところに来て。ボクに会いに来てくれたの?」
「なんでこんなところにお前がいる」
「いやいや、その言い方はおかしいよべーくん。『お前がいる』っていうより『べーくんが入ってきた』んでしょ?ここは元々ボクの部屋だよ」
「ここは部品保管庫だ、お前の部屋じゃない」
「仮にボクの部屋じゃないとして、べーくんの部屋でもないし、ボクがいておかしなことはないよね」
「…」
「こんなところになんの用?」
「…ここは普段誰も踏み入らない。脳内の温度を調整するには丁度いい」
「機械って使いすぎると熱くなって大変だもんね。まあ全身機械のボクにはどうなったら熱くて冷たいかよく分かんないんだけどね。ところで」
「なんだ」
「なんでクールダウンが必要になるほどべーくんの『脳みそ』は熱くなってたの?使いすぎることがあったんだ?」
「アップデートだ。もっと高性能な駒になるために」
「駒、ね」
「それまでの俺は『出来損ない』だったそうだ。改良を加えたことによりそこからは脱した。またいつ『出来損ない』になるか分からない。日々改良を加え続けてもらわなければいけない」
「あの~…」
「なんだ」
「ごめんね『出来損ない』って言葉の意味が分からないんだ~。単語の意味がちょっと。忘れちゃってるから」
「………………お前みたいなやつのことだ」
「なるほどね、超幸せハッピーマンのことね」
「………」
「じゃあ改良しない方が良かったんじゃない?」
「………」
「ハッピーマンの方がいいじゃんね?」
「時間の無駄だった。クールダウンは完了した。失礼する」
「あ、べーくんべーくん」
「…なんだ」
「ボクはね、どんなべーくんも良いと思うよ。改良されても『出来損ない』のままでも」
「『出来損ない』ではダメだ。駒として働くためには」
「うーーーん、べーくんはもう少しべーくんがすごい頑張り屋さんだってことを知った方がいいんじゃない?」
「どういう意味だ」
「改良って結構キツイからね。それを毎度毎度されて、静かな涼しいところで体を休ませないとパンクしそうになる重労働をしてるのに、なんでそんなに自分を認めない顔をするのかなって」
「理解できない」
「けんきゅーいんの人はすぐに嫌なこと言うからね~悲しくなるよね~こんなに頑張ってるのにね~」
「……」
「おにーちゃんはべーくんの味方だよ~。えらいえらい、すごいぞ~~」
「黙れ、触るな、お前に何がわかる?」
「何も分からないよ、ボクには。ボクのこと以外。でもべーくんの味方でいるから安心してほしいとは思ってるよ」
「必要ない、味方など。そもそも研究員は敵ではない」
「そっか、まあなんにしてももう少し自分に優しくね。…さてと、ボクは旅に出なきゃいけないからさ、なかなか会えなくなっちゃうけど元気でいてよね」
「どこへ行く?」
「楽しそうなところだよ、まあボクに楽しめないことは無いけどね~」
そう言って奴はひらひらと手を振りながら消えた。それ以来研究所内で見かけることはなくなった。
おそらく廃棄された。『出来損ない』は場所を取る。改良も無意味だったあいつはどう考えても『お荷物』。
そうか、廃棄されたのか。
脳内で異常音がする。
また改良が必要か。
「あれあれ?べーくん!!」
「………なんで…ここに…」
「べーくんも入学してきたの?いやー後輩じゃないのー!先輩の言うことはよく聞くんだぞ~」
「お前も…スパイで?」
「すっぱい?なんのこと?」
「…」
「なんかがあってハロウィン学園に来たんだけど、そんな理由なんてとうの昔に忘れちゃったよ~」
「お前が、研究所にいた最後の日、話したことを覚えてるか?」
「最後の日?」
「部品保管庫で話したことだ」
「……、べーくん、」
「なんだ」
「そんな日のこと、ボクが覚えてると思う?」
こんなはずではなかった。『聞くこと』自体がミスだ。エラーだ。パーフェクトなサイボーグにはあってはならない。
あいつが『出来損ない』のクズだってことくらい分かっていたはずなのに。おかしい。こんなはずじゃなかった。
なにがおかしい?この異常音はなんのサインだ?
原因は『馬鹿なことを聞いてしまった自分に失望したから』?
それとも、あいつがあの日のことを…
「…………………………エラー音だ、失礼する」
馬鹿馬鹿しい。
あのスペックで覚えていられるわけないのに。
何を期待したんだ、俺は。
馬鹿馬鹿しい。
「べーくんもな~、早く忘れちゃえばいいのに。あんな悲しい記憶なんか」
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◆補足
・べーくんはハロ学に送り込まれる予定のスパイで改良を重ねてハイクオリティスパイ(造語)に仕上げられていた
・部品保管庫は廃棄予定のアルファの置き場所だった
・廃棄予定だったけど上手いこと廃棄を免れて自分でハロ学に到着したアルファぱいせん(悪運強し)
・アルファぱいせんは、べーくんとの記憶に関しては容量を割いちゃう習性があるのであの日のことはもちろん覚えていて、ってことで最後のセリフ
という妄想詰め込み物語。
なお「っていう設定があってもいいと思うんだよね!!!!!」ってべーくんに話すアルファぱいせんの妄想だったってオチでも可。