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クーラー

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2022-03-23 22:07:42

毛利

Posted by @uk_plus_



 「好き」

真夜中のベッドの中。
寿三郎に後ろから抱きしめられながら、急に耳元で呟かれた一言がたしかに私の胸を刺した。
けれどそれがタオルケット一枚でも汗が滲む熱帯夜でなければ、どんなに良かっただろう。

「え、急」
「急ちゃうよ!いっつも思ってんで!」
「え、声うるさ。え、今である必要ある?」
「むしろ今しかないやろどう考えても」

日中の暑さで熱のこもった体とは対照的に冷静な心で返事をしてしまえば、
二人きりの深夜であるとは思えないような応酬をしていた。

「くっつかれると暑くて寝られないんだけど」
「この流れで寝るつもりなん!?」

タオルケットをぐいとひったくってそれに包まれば、後方から
中々の声量で驚いた声がする。

「声おっきい。熱いから動きたくない。あと弱いクーラーで寝たいからくっつかないで」
「ええ~

背中を向けたままつらつらと述べれば、今度は心底残念そうな声がした。
そして未だじとりと汗の滲む項に熱い息とくすぐったい髪先の感触がする。

「ほんまに、あかん?」
……
「ねぇ」
……
「寝たん?」

いい加減返事をするのもだるくなって狸寝入りを決め込んでみても、寿三郎は
私の耳元でひそひそと呟いてくる。その都度項にひとつずつキスを落として。

……
ねぇ」
……クーラー」
「えっ」
「クーラー、強くしてきて」

顔を向けないまま不服そうに言ったというのに、
後ろから聞こえてきたわかっという声はとても嬉しそうで。
そして寿三郎の気配が後ろから消えたのちに、クーラーのリモコンの操作音がした。

強まった風の音を聞いて、私はようやく彼の方を見た。



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