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越知月光は見ているだけではなくなった8

全体公開 13 1306文字
2022-04-19 17:50:49

続編

Posted by @uk_plus_



 約束の時間よりも十分程早く待ち合わせ場所についた越知は、そわそわと落ち着かずにいた。何故なら今日は彼女との二回目のデートであり、初めての屋外でのデートだったからだ。何度もポケットのスマホを覗いては時刻が進むのを待っていた。

「ごめん越知君、待った!?」
「問題ない、俺も今来たところだ」

スマホの時計が約束の時間一分前になった時、少し遠くの方から彼女が小走りで近づいてきた。越知は自分の姿を認めた彼女が駆け寄ってくれたことに気付いて、心拍が少し早まる。そして目の前に来た彼女がいつも見ている制服姿とは、またこの前のデートとは少し違う装いであることに気付いた。この前は比較的動きやすい恰好をしていたはずだが、今日は少しだけふんわりとした姿だった。

「ん?越知君、どしたの?」
「ああ、いや

あまりにもまじまじと見ていたのだろう。彼女は不思議そうな表情で首を傾げた。越知は右手を口元に宛ててその先を濁した。思ったことを素直に言える勇気はまだ越知にはない。

「それで、その、今日はどこへ行きたいんだ?」
「え、ああ、えっとね」

そんな気持ちを誤魔化す為に越知は話題を変えた。すると彼女はぱっと笑顔になり、ある方角を指さした。

「私たちの大事なとこだよ」



 そうして数分歩いて辿り着いたのは、越知が猫の栞を購入した雑貨屋だった。越知はしばらく通いがなかったが、どうやら彼女はここ最近も来店したことがあったようだった。

「新しい猫ちゃんの雑貨が増えてたよ」

カラカラと音を立てたドアベルと同時に開いた扉をくぐって、越知は彼女に続き入店する。眼下に広がった可愛らしい小物たちや猫を模った雑貨たちが越知を一気に見上げるようだった。

「ここに来たかったのか」
「うん」
「何か欲しいものがあるのか?」
「あーと、えっと

雑貨たちを眺めながら店の奥へと入っていく彼女に問うと、少々口ごもりながらその言葉は続いた。

「私と越知君の共通の大事な所、だから

その言葉に越知は思い出した。彼女が自分に一度くれたことのある飴玉のことを。

「だからさ、せっかくだし二人で来てみたいなって思ったの」

彼女のその言葉に越知の脳裏にたくさん以前のことが過った。ずっとずっと彼女に片想いしていた記憶も。

「覚えていて、くれたのか」
「もう忘れないよ」

その時、越知は何のためらいもなく彼女の手を握る。するりと掌に収まったそれは、越知自身の体温よりも少し温かかった。それに呼応するように越知を見上げる彼女はにこりと笑った。

「何か一緒の物買っていこっか」
そうしよう」

そうして二人の思い出の物がひとつ増えた。お揃いの猫を模ったバッグチャームだった。
 店を出る時も繋がれたままの手は、今後の越知の苦難も和らげる効力があっただろう。



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