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言い逃れできない

全体公開 11 1678文字
2022-04-22 19:47:59

リク

Posted by @uk_plus_



 「ご、誤解だ、話を聞いてくれ」
「聞かない!」

誤解なんかないと強く反論してやれば、いつもは毅然とした月光が尻すぼみに言葉を濁した。

 事の発端は私に送られてきたメッセージだった。放課後、月光の部活が終わるのを待っていたらそれは送られてきた。相手は寿三郎で、砂浜をバックに月光と金髪美女がビーチバレーをしている画像が送られてきたのだ。それを見た私はもちろん激怒して、これはどういうことかと部活終わりの月光に詰め寄ったのがたった今である。

 「どう考えても言い逃れできないでしょこれは!」
「しかしだな
「しかしもへったくれもないよね!ええ?月光ぅ!?」
「だが
「だが!でもないの!」
「すまない
「謝んないでくれる!?」
「どうしたらいいんだ

散々な応酬の後、謝罪すらも封じてしまった私に月光は絶句した。

「たとえ合宿のためとはいえ、ここまで楽しそうにすることある!?」
「決して楽しそうでは
「楽しそうでしょどっからどう見てもさぁ!」
「少し、少し落ち着いてくれ」
「落ち着け!?こんな時にギャグか?落ち着けるわけないよね!?」

そばにあった机をひとつドダンと叩いて言えば、月光は肩をびくつかせた。日頃見上げている大男がまるで小動物のように縮こまっているようだった。

「こんなこんな楽しそうにしてるとかマジほんとマジやっぱり男は美人がいいんだ
「決して、決してそんなことはない」
「暗に私が美人じゃないって言ってるな!?」
「言ってないが
「というか今はそんなことはどうでもいいの!」
「じ、自分から振ってきたのだが
「いいからもう月光は黙って聞いて!」
「ええ?」

今度は自分の方から月光の口を封じて、私はひとつ大きくため息を吐いた。

「わかってるわかってるよ仕方ないことだってさ。でもこんなに楽しそうにされたらさ私だって

ナンパをした事実だとか相手が美人だとかそういったことはダメージにはならなかった。何より悔しかったのは彼が、月光が楽しそうにしていた事実だった。

「本当に、すまない」
「謝るってことはさちょっとは楽しかったってことだよね」
少々」
「ほらぁ!しかも写真撮られる程には気を許してたってことじゃん

あまりにも鮮明な写真を見返していたら、視界がぼやけてきた。重力に負けて落ちそうなそれを我慢して肩を震わせていたら、月光が腰を屈めて私に顔を寄せた。

「もう二度としない」
ほんと?」
「約束しよう」
「ほんとにほんとだよ?」

なんとか落ちなかった涙を手で拭いそこまで言ってから、私の心に悪戯してやろうという気持ちが芽生える。月光に背を向けて、私はぽつりと言った。

「それじゃあ私はこのことを教えてくれた寿三郎に今度何かを奢ります!」
……は?」
「今度の休日に寿三郎を誘って出掛けてきます!」
「ま、待て」
「待ちません!」
「それだけは、駄目
「月光に決定権はありません!」
「お、おい」
「今から寿三郎に電話します!」

勢いのままに画面を操作して通話を繋げる私を止めようとする腕からひらりと逃げて、私は寿三郎を呼び出す。そして繋がった先を確かめるより先に高らかに声を上げた。

「寿三郎!今度何か奢らせてね!デート!デートするよ!」

通話先の困惑する寿三郎の声と、私の後ろでそれだけはと狼狽える月光の声が耳に混ざった。
 そして私は宣言通りに次の休みに寿三郎と一回きりのお出掛けをするのだった。そこへ強引についてきた月光も一緒になったのはまた別のお話だ。


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「毛利、少し話をさせろ」
「うっす」




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