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猫の月光1

全体公開 1 17 1034文字
2022-05-12 21:51:24
Posted by @uk_plus_



 「猫?」

夕刻の頃。いつも通り帰宅したら、家に一匹謎の猫がいた。そのでかめの猫はどこか見たことのある柄の毛をしていて、尻尾をゆらゆらとさせていた。それに私はなんとなく名前を呼んでみた。

「月光?」
「なんだ」
「喋った!?」

月光と呼ばれた猫は平然と返事をして軽くぺろりと手を舐めて見せた。

「え、え、なんで、え、喋れるえ、なんで!?」
「少し落ち着け」

玄関先で慌てる私に猫は嗜めるように言いながらくるりと足元で回った。その尻尾はふわふわとしていて、白い毛並みが照明に当たってきらりと光った。

「俺にも理由はわからないが、帰宅した途端にこの姿になった」
「猫が好き過ぎて?」
「そんなことあるものか」
「えでもだってじゃあどうして?」
「わからない」

視線を落として猫の月光と二三話してみたがどうやら原因はわからないようだった。とにかく現状を理解するために私は足元の月光を抱き上げてみた。

「うっ結構重たい」
「失礼だな」
「で、デブって意味じゃないよ!でっかいからだよ!」

ふわふわの毛並みと柔らかい体は間違いなく猫のものだ。私はそのまま月光を抱いてリビングに向かった。

 するとリビングにはまるで抜け殻のように落ちている月光の衣服があった。

「本当に猫になったんだ

呆気にとられる私を尻目に、腕からするりと出た月光が自分の衣服の匂いを嗅いでから私に向き直った。

「とにかく、しばらくこの姿でやっていかなくてはいけないかもしれない」
「ど、どうしよう」

落ちている月光の衣服を集めながら動揺していると、彼が私の膝にひとつ手を置いた。

「ひとつずつ原因を探っていくべきだ」
「そ、そうだね!」
「ひとまず夕飯にしよう」

慌てる私を落ち着かせるように話す猫の月光にうんうんと頷きながら、私はすくっと立ち上がって夕飯の準備をしようとした。

「お腹空いてたら考え付かないもんねえ、ちょっと待って」

しかしそれにはひとつ問題があった。

「どうした?」
「猫のカリカリとか、うちにないんだけど
「蕎麦でいい」
「え」
「蕎麦でいい」
「そんな猫いる?」


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