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【サガフロ】永久に響け/わすれがたき、きみ【アセルスとT260G】

全体公開 サガフロ 4776文字
2022-05-23 12:29:45

アセルスとT260Gって主人公だけど接点がないやあるじゃん!?と閃いた勢いだけで書きました。それぞれの物語のエンディング(アセルスは半妖エンド)から数十年後の遠い未来の話です。1p目がアセルス視点、2p目がT260G視点です。3p目のおまけ小話追加しました。

 かつての仲間の命日には毎年花を手向けに出かけている。既にあの頃の人間の知り合いは皆亡くなって久しい。唯一長生きしていたジーナが息を引き取ってからは、残っている知り合いは妖魔たちばかりとなってしまった。
 自分が人間ではないと、皆が亡くなって改めて感じるようになった。十七歳のまま永遠に時を止めた私の身体。紫色の血。人間でも妖魔でもない半端者。それでも、私を受け入れてくれた針の城の者たちや各地にいる妖魔たちがいるのは本当にありがたいことだとは思う。
 けれど、人間の私の心が「寂しい」と叫ぶのだ。もうあの頃の仲間たちに二度と会えないことが寂しくて悲しくなる。
「こんなこと言ったら、みんなに笑われるだろうな」
 そんな風に自嘲しながら、私は人間のリージョンでも目立たない服に着替えて、地下で待たせていたリージョンシップへと乗り込んだ。
   ***
 その昔、トリニティに反逆の汚名を着せられ滅ぼされたリージョン・ワカツ。トリニティ側からの謝罪を受け入れ、復興し、かつてボロボロだったお城は再建され今や立派な観光地になっていた。
 この地に、私の知り合いの一人が眠っている。
「あれ?」
 共同墓地の一角。多くの似たような墓石が並ぶ中、やたら目立つ存在があった。私の知り合いが眠るその前に佇むメカがいたのだ。……人間の時はそうでもなかったのだけれど、半妖になってから自分が人間じゃないと看破されてしまい、苦手な存在になってしまった。あと妖魔は機械の類が苦手だと言うのもあるんだろうけど。
……生体エネルギーの異常を感知。何か、私に御用でしょうか」
「!!」
 メカの頭がこちらへと向いた。慌てて周囲を見渡すが、私たちの他に数名がお墓参りに来ているくらいで、この近くには私しかいない。私は観念して一歩前へ踏み出した。
……私も、あなたの目の前のお墓に用があるだけよ。今日は、その人の——ゲンさんの命日、だから」
「記録照合——自データベースには不一致。ゲン様との会話記録から検索——容姿、一致。……そうですか。あなたがゲン様の仰っていたアセルス様ですね」
「ゲンさん、私のことあなたに話していたんだ?」
「はい。『いろんな奴らと共に旅をしてみたが、アイツほど危なっかしいのはいなかった』と仰っておりました」
「何それひどい!」
「『けれど、何度も目の前に壁があってもぶっ壊してでも進んでいくその力強さは誰よりもあった』とも」
……ゲンさ……
 ——あ? なんだ。俺に何か用かボウズ。
 ——誰がボウズよこのヨッパライ!!
 不意に、初めて出会った時のことを思い出す。そうして連鎖的に共に旅をした記憶がまるで映画やドラマのように思い出されていく。
「あ……ああ……ああああっ!!」
 私はその場にしゃがみ込んでまるで子どものようにぼろぼろ涙をこぼして泣いてしまった。そこへ機械の足音がゆっくり私に近づいてくる。
「私の周りの人々も亡くなり、もうゲン様のことを知る者が私以外には存在しなくなったかと思いました。……けれど、私以外にもゲン様を知る者が居た。きっとこれが喜びというものなのでしょう。私は制式形式番号T260 認識ID7074ー8782ー1099……かつてRB3破壊兵器として活動し、現在はタイム探検隊に所属しています。皆からT260Gと呼ばれていました。どうかあなたにも、そう呼ばれたいと思います」
「T260G……
「はい」
「ねえ、あなたの知る、ゲンさんを教えて。私も私の知るゲンさんを教えるから」
「情報共有ですね。わかりました。よろしくお願いします」
 そうして、T260Gが鉤爪のついた方の機械の手を差し出す。私はその手の上にそっと自分の手を重ねたのだった。

 ——これはかつての旅の仲間が結んだ、古代のメカと半妖の少女の奇跡の縁。

秋桜お題bot@cosmosnoより
「永久に響け」


 アセルス様がゲン様のお墓に花を添え、手を合わせ祈りを捧げた。その後「早速ゲンさんの話が聞きたい」と仰ったため、私たちは共同墓地を後にし、近くにあったベンチに座って話をすることにしました。
「そういえば思い出した。私、あなたとスクラップの酒場で会ってたね」
「私もデータベース検索中に発見しました。ええ、会っていましたね」
「そうそう、あの時も生体エネルギー異常!って言われてビックリしたんだった」
「あなたは妖魔なのですね」
 敵として現れた妖魔とアセルス様のデータはほぼ一致していました。しかし私がそう言うと、アセルス様は困ったように微笑みながら言います。
「うーん、厳密に言うと半分人間で半分妖魔なの」
「理解不能」
「あはは! そうだね。私も最初こうなった時理解できなかったよ。でもね、長い旅を経てやっと理解した……というか自分の存在を受け入れられるようになったっていうのかな。……って私の話はいいからゲンさんの話! ねえ、T260Gはどこでゲンさんと出会ったの?」
「ボロと言うリージョンです」
「ボロ……名前だけは聞いたことある」
「古代の戦争の舞台となった地です。その爪痕であるクレーターが点在しています。ボロの住人はそこから発掘される古代のシップやメカの残骸を掘り出し、売り買いして生活しています。コアだけとなった私をタイム隊長が拾い、タコ様がこのボディを作ってくださいました」
「えーと、なんかすっごい気になる単語あるけど続けて」
「はい。ボディを得た私はタイム隊長にボロのあちこち案内され、町外れの闘機場の酒場でゲン様と出会ったのです。……アセルス様どうされましたか?」
 私が言い終えた瞬間、ふんふんと頷きながら聞いていたアセルス様が手で顔を押さえてがくりと肩を落としました。何か不備でもあったのでしょうか。
……ごめん、ゲンさんやっぱり酒なんだなって思って……ふふっ」
 私が尋ねるとアセルス様は顔を上げると笑っていました。私の話が理解不能というわけではなくて安心します。
「ええ。誰が注意しても飲むのをやめて下さらないので、私が度々一日のアルコール摂取限界量の手前で酒瓶を破壊して止めていました」
「ええっ! 怒られなかった!?」
「もちろん怒りましたが周りの仲間たちがゲン様を気絶させて止めて下さったので問題はなかったです」
「いやちょっと待って十分問題あると思うけど!?」
「それからしばらくして私が摂取量限界の事を告げると飲むのをやめてくださるようになりました」
「そ、そうだったんだ……すごいねT260G。私、いくら言っても無駄だったよ……
「アセルス様も酒瓶を破壊すればよかったのでは?」
「う、うーん、武力行使は流石にちょっと可哀想かなって……ってまた話逸れちゃった! ごめんね!」
「いえ、こちらこそ申し訳ございません。ゲン様が私が戦闘用メカだと知って闘機に出ろと仰ったため、私は闘機場で他のメカたちと戦うことになったのです」
「えーと、ごめん。闘機って?」
「メカ同士を戦わせどちらが勝つかお金を賭け、勝った方が賞金をもらえ」
「賭博もしてたんかいあのヨッパライ!」
 私が言い終わる前にアセルス様が空中で手刀を切りながら叫びました。確かにこの方は妖魔とは雰囲気が違い人間に近い部分もあるのだなと実感し、半分人間というところがようやく納得できた瞬間でした。
「ええ、まあ簡単に言ってしまえばそうなりますね。それが、私とゲン様の出会いです」
「そっか。じゃあ私がゲンさんとスクラップで会ったのはそのあとだったんだ」
「そうですね」
 自分のメモリの中でも、すでに古いものになってしまったゲン様との出会い。バックアップは取ってあるとはいえど、これは消したくない大切なデータであると、アセルス様と話していて改めて思ったのでした。
 そう思った時、アセルス様が大きなため息を吐きます。
「あーあ、こんなことならカメラで写真の一枚でも撮っておけば良かった」
「映像記録でしたら私の中にありますが」
「えっ!?」
「スクリーンなどに投影すればアセルス様もご覧になられます」
「いいの!?」
「はい。せっかくですしどうぞ。ただ、私が見たゲン様の映像になりますが」
「そんなことないよ。もうどんな映像でもいいから見てみたい! えーと、どこかにスクリーン貸してくれるところあるかなあ」
 アセルス様がとても嬉しそうだったので、私もこの方と一緒にゲン様の映像記録を投影して鑑賞したいと思い、確実に見られる場所を提供することにしました。
「私の知り合いのところで良ければそこでご覧になりますか?」
……T260G、あなた神様?」
「? 私は制式形式番号T260 認識ID7074ー8782ー1099です」
……ふふっ、うん。いいよ。じゃああなたの知り合いのところへ案内してくれる?」
「わかりました。ではマンハッタンへ行きましょう」
「了解!」
 そうして、私たちは一路マンハッタンへ行くことになりました。そこでレオナルド博士と共に私の映像記録を見ながら、そこでまた盛り上がる事になったのでした。

Cock Ro:binお題配布bot@CockRobin_bot
「わすれがたき、きみ」


【おまけ】
「なるほど、鉄パイプでロープを切ったってこれのこと!」
「本当にこれゲンさんがやったの? すごいねえ。流石は剣の達人ってやつ?」
「この件に関しては未だ理解不能です」


「あーあ、やっぱり映像記録っていいなあ。私もカメラとかビデオでみんなの顔撮っておけばよかった」
 T260Gが記録してたゲンさんの映像を見終わてテーブルにダラリと伸びながらついぼやいてしまった。
「ですが、何かの弾みでデータは消えてしまうことがありますよアセルス様」
「そう考えると、紙に書いたものや石や金属に刻んだ方が残るかもねえ」
 それを聞いたT260Gとレオナルド博士がデメリットも教えてくれる。でも、言われてみればたしかにそうかもしれない。シュライクの古墳なんてもう気の遠くなるほど昔のものなのに、未だ健在なのだから。
「そっか」
「それに僕らメカだって定期的にメンテナンスしないときちんと保てないからねえ。そう考えると妖魔の体は何もしなくても永遠にそのままなのだろう? それは羨ましいと思ってしまうなあ」
 ため息を吐きながらやれやれと愚痴をこぼす博士がなんだか面白くて、私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ、なーんだ。私たち結局ないものねだりね」
「これが生きるものの性なのかもしれないね。自分にないものを常に求めてしまうことがさ」
「このリージョン界に人と妖魔とモンスターとメカ共存しているのは、ある意味バランスが取れているのかもしれませんね。知らず互いに支えているのだと思います」
「うーん、妖魔はあんまり支えてる気はしないんだけど……
「アセルス様。先程申し上げた通り、私はゲン様の事を直接知る貴女に出会えて嬉しかった。貴女が人間だったら、私は貴女に出会えなかったでしょう」
「T260G⋯⋯」
「もっと、ゲン様のことをたくさん話したい。幸い、私たちには時間があります。この記録を、ただ仕舞い込むだけにしたくないのです」
「⋯⋯そうだね。いいよ。私も出会ったみんなの話、もっとしたいな」
「ありがとうございます」
 ——例えこの世界に生きる人全てがゲンさんのことを忘れたとしても、私とT260Gが生きている限り私たちの中でゲンさんは生きている。
 T260Gの話を聞いて、私はそう思えたのだった。
【終】
イトシイヒトへ(お題bot)@ZelP_t
「強く生きたあなたに花を」


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