新刊「ヨークランドでブルーとルージュがふたりぐらし」のbooth見本で読める部分の直後の話だと思っていただければ。
@wasser_welle
「ねえ、僕たちちゃんと家族になろうよ」
「……は?」
ブルーが僕とそっくりなその顔をポカンとさせた。いきなりすぎたかなあ。でも他になんて言えばいいのかわからない。
「僕さ、いわゆる外のリージョンで見かけた家族っていうのに憧れていたんだ」
「かぞく」
「うん、家族」
ブルーが何度も目を瞬きながら反芻する。少し考える素振りを見せた後、僕に問いかけてきた。
「……具体的に、お前はどうしたいんだ」
「えっ? ……うーんと、同じ家で暮らして、お喋りして、ご飯一緒に食べて、時々外のリージョンに遊びに出かける……とか?」
「ふむ……」
「ダメかなあ? というか、お互い一人暮らしするよりも二人で暮らした方が家賃と食費と光熱費折半できると思うんだけど」
「それはそうだな。じゃあなるか」
「うんうんありが……っていいの!? 本当に?」
「どこに住むにしても、金は入り用になるだろう。それに、不測の時に備えて貯蓄するにも、二人一緒にいて管理した方が良くないか?」
「う、うん。それもそうだね……」
ブルーって合理性を取るタイプなんだな。これは僕がさっき言ってたのは実現するには時間がかかりそうだなあと思ったその時だった。
「俺は、正直家族がどういうものか、よくわからん。興味もなかったしな。だから、お前が思う家族の在り方を、俺に教えてくれればいい」
「いいの? 本当に?」
その言葉に、僕は思わずブルーの方にぐいぐい寄りながら聞き返す。するとブルーがたじろぎながらそっぽを向いて腕を組みながら言う。
「くどい! 二度は言わん。むしろしつこいと撤回するぞ」
「ああああごめんなさい! 僕の思い描く家族でいいなら、僕と家族になってください!!」
僕が地面に額を擦り付けながら——いわゆる土下座というやつをすると、頭上から盛大なため息が聞こえた。
「最初からそういえばいいんだ。全く」
その言葉にホッとして顔をあげると、ちょうどフッと口角を上げたブルーと目が会う。その穏やかな表情に僕も自然と笑顔になったがすぐにブルーから笑みが消えた。え、ちょっと何で!?
「ちょっと! 何ですぐ真顔になるの! さっきまで笑ってたじゃん!」
「は? 俺は笑ってない。お前が気色悪い顔するからだろうが」
「はあ〜!? 人の笑顔を気持ち悪いってなにそれ! 言っていいことと悪いことがあるよ!?」
「思ったことをそのまま言って何が悪い」
「ちょっとは考えてからものを言おって言ってんの!!」
「なんだと!?」
売り言葉に買い言葉でどんどん互いにヒートアップしていく。そして、僕らの仲間達が生温かい目で見守っているとも知らず、お互い語彙と喉の限界がくるまでしばらく言い合っていた。
「あ、ブルーとルージュが喧嘩してるよ! ねえメイレン止めなくて平気?」
「うーん、あれって喧嘩っていうより……」
「兄弟同士のじゃれあいだから大丈夫さ〜。ほら、クーンだって同じラモックス族の友達とやるだろ?」
「あ、やるやるー!」
「まあ、もうちょいヒートアップしそうだったら止めればいいんじゃね?」
「そうそう。お互い一緒に住む前に言いたいこと言っとけば気がすむでしょ」
【終】
お題bot@GHQ!!@GHQkitakubu
「家族になろうよ」