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あるBさんの証言4

全体公開 1037文字
2022-05-27 22:12:17
Posted by @uk_plus_



 人は誰でも一度は忘れ物をするものです。それは日頃ちゃんとしている人だってそうです。

 「あれー?これ誰のだろう」

それは放課後の掃除のタイミングでした。床を掃いていた女子のクラスメイトがそれを拾って呟いたのです。それは至ってシンプルな十五センチの定規でした。しかしそれには名前は書かれておらず、女子のクラスメイトは首を傾げていたのです。

先生に預けようか、そう声が上がった時でした。たまたま教室に入って来た苗字さんがその光景を目にして、こう言ったのです。

「あ、それ越知のだよ」

私は己の耳を疑いました。どうしてそれが越知君のものであると一発でわかったのか、と。そして越知君の物であると申告した苗字さんは更にこう言いました。

「私が渡しておくよ」

そうして女子のクラスメイトから定規を受け取った苗字さんはそれを持って出て行こうとしました。しかし私はどうしても気になることがあり、苗字さんにこう声を掛けてしまいました。

「ねえ苗字さん」
「ん?何?」
「どうしてそれが越知君のだってわかったの?」

私の声は少々震えていました。何故なら普段は見ているだけの苗字さんに声を掛けたからです。

 私と苗字さんはクラスメイトですが普段からお話をすることはあまりありません。そのための緊張なのか、それとも別の理由からなのか

 私が内心ドキドキとしていると、苗字さんはにこっと笑いながらこう言いました。

「ええ~誰でもわかるよ」

そんなこと、ない!!

私は心中大声で独り言ちました。絶対にあり得ない。絶対に。

「そ、そっか」

ですが内心とは裏腹に私はそう弱々しく返事することしかできませんでした。そして未だにこにことしている苗字さんは何かを思い出したように鞄を取りに行き、じゃあまたねと教室に声を掛けて去って行きました。

 苗字さんに声を掛けた私は未だにドキドキとしている胸を押さえながら、自分も帰宅する準備を始めました。そうか、誰でもわかることなのか、そうなのかと自分で自分を宥めながら。


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