X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです

あるBさんの証言6

全体公開 13 713文字
2022-06-06 20:30:20
Posted by @uk_plus_



 「ねえ越知、袖やって」

それが苗字さんの第一声で、私は声のした方を見て驚愕しました。

 それは理科の授業での出来事でした。実験の為、様々な器具に触れる機会がありました。その時です。苗字さんのそう言う声が聞こえてきたのは。見ればどうやら越知君に袖をまくるようにお願いしたようでした。しかし私はそれが二人だから出来ることであると知っています。普通の友人同士で「袖やって」だけで意味が通じるものでしょうか。またどうして苗字さんは越知君にそんなことを気軽に頼めるのでしょう。

 私のビーカーを持つ手が震えました。嗚呼また苗字さんと越知君のやり取りに動揺しているのです。
 
 見ると越知君は丁寧に苗字さんの制服の袖をまくってあげています。なんと優しい手付きなんでしょう。そして完全に袖がまくられて苗字さんのありがとうと言う声が聞こえてきます。そして二人は何事もなかったように実験に取り掛かり始めました。

 そんな普通のようにされてしまっては、私の動揺は収まりません。それって普通のことなんでしょうか。私がおかしいのでしょうか。とにかく今は実験に集中するべきだと、私は頭を振ってなんとか切り替えようとしました。嗚呼誰か。誰か私のこの日々のモヤモヤを払ってはくれませんか。今日も私の悩みは大きくなっていく一方です。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.