X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです

パーフェクト・ペルフェクティ プロローグSS

全体公開 プロフィール・プロローグ 844文字
2022-06-11 22:19:18
Posted by @DSSmafia

 完全者たれ。それが我がペルフェクティ家の家訓であり、ファミリーの一員だと認められる為の条件でもある。完全者とは何か?今代はその言葉を敗北しない事だと解釈している。敗北者はペルフェクティに居場所無し。それは例えボスの一人娘である私――この、パーフェクト・ペルフェクティであろうとも。
 
 「パーフェクトお嬢様」

 「ええ、じいや。今日まで本当によく勤めてくれました」
 
 私の言葉にゆっくりと頷いた後、目の前の老人が刀を抜く。彼は魔人能力者などではない。常人よりかは幾らか戦えるであろうが、所詮世話係であった男だ。年齢も全盛期には程遠いだろう。どれだけの理由が有って私の前に立ちはだかっているのかは分からないが、それでもペルフェクティ家に敗北は許されていない。当主の座を奪うというのであれば尚更、私には正当性と権威が必要だ。

 「お覚悟を」

 振り下ろされた一太刀目を懐から取り出した長財布で受け、間合いを取る。二つに割れた財布から零れ出る硬貨を掴みながら、私は魔人能力を起動した。

 「『金は力なり』」

 貨幣を価値に応じたエネルギーに変換する魔人能力。単純な能力だがそれだけに出力は高く、価値の高い紙幣でなくとも人体を破壊するには充分な火力がある。ばら撒いた硬貨は全身を削り、じいやの腕ごと剣を弾き飛ばした。残ったのは突っ込んだ勢いのまま晒される無防備な身体……決着だ。

 「手切れ金よ」

 静かな微笑みが浮かぶその頬へと、握りしめた札束を振り抜いた。唸るような轟音と共に老人の身体は消し飛び、エネルギーへと変換された紙幣は光の粒子へと変わっていく。このままこの場所に居れば音に気付いたボスの手下に見付かるかもしれない。攻撃の余波で空いた大穴から屋敷を抜け、闇の中へと歩を進める。もう戻れない……そう思うと胸に痛みが走ったが、足を止める訳にはいかない。胸の御守りから小さな硬貨を取り出して、光に透かす。刻まれた不思議な模様を撫でてみれば、心が少し落ち着いた気がした。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.