アル光。
誰ともフラグを立てずに冒険者を引退した光の戦士(みっきさん所のルカちゃんお借りしました)と、アルフィノのほのぼのしたお話です。
@FF1461450475
「私と、結婚してくれないか?」
冒険者を引退してニ年。
使い道なく貯めていたギルでラベンダーベットに家を買い、採掘や園芸をしながらのんびりと暮らしていた。
私の背を抜かしてスラリと手足も伸びたアルフィノ。可愛かった面影はちゃんと残しながら、大人の男性に成長した。
冒険者や、英雄じゃなくなっても、私に会いに来てくれた。
他愛のない会話をして、ご飯を食べて帰る。そんなアルフィノの背中を繰り返し見送っていたら、いつの間にか酷く寂しいと感じる自分がそこにいた。
「……いいよ」
頷いてみせると心底嬉しそうに破顔して、強く抱き締められた。
それから。
婚約者として、一緒にここの家で住むようになって一ヶ月過ぎた夜のこと。
「どうしたのだい?」
お互い仕事をして、ご飯を食べて、お風呂に入って別々に寝る。
これがこの一ヶ月の過ごし方だった。
「私たち……夫婦、になるんだろ?」
「君が、プロポーズを受けてくれたからね」
ルヴェユール家に挨拶をして、そこからは式の日取りを決めるためにと、アルフィノは仕事の調整をしている所だ。毎日たくさんの仕事を持ち帰っている。
それは、私とのこれからのための忙しさというのは分かっているけれど――。
キャミソールとショートパンツのいつものパジャマ姿。自分の枕を抱えてアルフィノの部屋に入る。
迎えてくれたアルフィノは、この姿を見て慌てて視線を逸していた。
「夫婦なのに、一緒の時間が少ない」
「それは……その、すまない。もうすぐ片付くとは思うのだが……」
端正な眉毛が困ったように下がって、しょげている私にどうしていいか分からないのかアルフィノの手がそわそわと揺れている。
「たがら……一緒に寝よう? それなら、一緒の時間も増えるし!」
一緒に暮らしているのに、傍にいる時間が短いのが何だかすごく寂しくて。返事がくる前にアルフィノが使っているベッドに入り込む。
お布団からはアルフィノの匂いがして、どうしてか少しムズムズした。
「……いいの、かい?」
「昔は一緒に寝たこともあったろ? ……それに、夫婦は、一緒に寝るものじゃないのか?」
一人用の小さなベッド。隅によってアルフィノへ背中を向ける。早く来てほしくて、恥ずかしくて、丸まりたくなる気持ちを抑え込む。
「ルカ……」
ベッドが沈んで体温が近付く気配がした。
お腹の上に手が回って、後頭部に優しい声と柔らかな唇の感触がする。
昔は同じくらいの身長で、可愛い抱き枕みたいだったのに。
アルフィノの腕の中で身体を反転させて、向き合う形で胸に飛び込む。
柔らかかった少年の体はもうそこにはなくて、私にプロポーズして抱き締めてくれた男の人の身体があった。
硬くて、大きくて、少し落ち着かないけれど。背の高くなったアルフィノに包み込まれるように抱き締められると気持ちが満たされていくのを感じる。
「……アルフィノ」
胸いっぱいに本物の香りを吸い込んで、胸元に頬ずりする。足をアルフィノの腿に挟んで密着を深めた。
「ルカ…………ルカ?」
アルフィノが近くにいるのか嬉しくて、幸せで、安心で。
「…………寝ている」
アルフィノの声と鼓動を聞きながら、夫婦になって良かったな。と、全身で感じながらいつもよりずっと深く眠りに落ちていった。
終わり