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「私のすべてをあげる」をこんなふうに実現するんですね。

全体公開
2022-07-15 14:33:53

ものすごく個人的な感覚を綴った感想です。【CLOCK ZERO 〜終焉の一秒〜 西園寺寅之助√ ネタバレあり感想】

CZ三人目、トラ√の感想です。

本当は感想を書きたくないんです。
エンディング終えた瞬間の、あの感覚を、あの感情を、純度を保ってそのままの状態で保存しておきたい、、、言語化するとどうしても陳腐なものに変質しちゃう気がして、ありのままをとっておきたくて、、、

でもそんなことできるわけもなく失われていってしまう。いつか見返して、こんな感覚になったなぁって振り返りたいから、できるだけ生の感情のまま、原感情のまま言語化したいという試みです。

萌えたシーンとか撫子との関係性とか書かない。それを書いては野暮になってしまう、濁ってしまう。
書いてはいけないってわたしの潜在意識が言っているので。(面倒なプレイヤーですみません)

トラの人格と現代エンドの話しかしません。



小学校時代をちょっと一緒に過ごして、この子親からDV受けている子や・・・と思った。親から、愛情や承認を受け取っていない子。
大抵の子は生まれた瞬間から親に愛される。一般的には親は、人生で最初の、無条件で愛して、無条件で承認をくれる存在。そうやって無条件の愛や承認を受け健全な精神に育つと「失いたくないもの」ができるまっとうな子になる。
物を盗んではいけない、人を殺してはいけない、犯罪だから、周りの大切な人が悲しむから。まぁそうなんだけど、社会のルールを守って生きる大多数の人間の原感情は「これまで自分が築き歩んできた“まっとうな人生”を失いたくない」だと思うし、それを動機づけているのが倫理だと思う。
人によって高さは異なるけど、たいていの人にはそれなりの高さの倫理の壁がある。たぶん失いたくないものが大きければ大きいほど倫理の壁は高くなる。

「一度"キレ"ると手がつけられない」子って、決して感情の揺れ動きが激しいのではなくて。この、乗り越えちゃいけない倫理の壁が、人より低いんですよ。宿題をやらないのも物を盗むのも人を殴るのも人を殺すのも同じようなもんでそこに倫理の濃淡がない。失うものがないから。
それは元を辿れば、親から無条件の愛や承認を与えられなかったところからきていて。深層では、実は誰よりも愛や承認を求める本能が強い。だから繊細で優しくて、面倒見がいい一面を持っていたりする。飢えているから。自分から人に与えることで、心のどこかで自分にも承認を返してほしいって思っているから。
トラにも当然その欲求はあって、ただ、親から愛や承認を与えられず、虐待され、そういう欲求をいつの間にか無意識に殺して誰にも期待しなくなっていて。
それでも、それが完全に消えてなくなることなんてない。抑圧していた分誰よりもその欲求は鋭利で、それが帰還前にも少しずつ見え隠れしてた。

そういう意味で、トラの解像度は個人的にはとても高かったなと思った。キレて手がつけられなくなった次の日会うとフラットに戻っていたり、そういう、普通に育った人の普通の感覚とはちょっと違った反応が出てくる危うさ、不安定さみたいなのはとてもリアリティがあった。

どこかで書いたけど、わたしの乙女ゲの最愛って、キャラ単体が萌え刺さる+ヒロインとの関係性が刺さる、で完成するんです。だからヒロインとシンクロして、ヒロインに自己投影できるのが前提になってくる。
トラ√は、トラの人格はとても魅力的だったんだけど、わたしの萌えとは若干違ったし、何よりわたしがどちらかというとトラ側の人間なので、撫子に感情移入できなくて、、、

何も知らないのに「家族でしょ?」「そんな言い方よくない」って言われるのだけは無理なんだぁ・・・その瞬間、あからさまに拒絶することはなくとも、心の奥深くまでは踏み込ませないよう牢固に扉閉ざして二度と開けなくなってしまう。笑
わたし自身は、家族を悪く言うことを受容する人なので。
まぁまだ12歳だから、両親が世界の大半を占めていても仕方ないと思えるところはあるんだけどね。
(こんなこと書いているけど、うちの家族は仲良しだし、両親のことは好きです笑)

でも、そういう陽だまりの中で育った、濁り気のない、それゆえに隅々への想像力もまた備わらなかったちょっと鈍感な人に惹かれるんだよね、めちゃくちゃわかるよ(トラ目線の話です)。撫子とはシンクロできなかったけど、撫子のことは好きです。愛しい。

そんな感じで、キャラに萌えるとか関係性が刺さるとかはあまりなく、割と最後まで、ちょっと離れたところから、おぉ、ふーん、いいねいいねって感じで見てた。(何様w)

あとガン萎えしたのは芳宗。

トラみたいな、繊細で不安定で、でもフラットで、それがかえって危うげに感じさせる子を生み出してしまう親って、芳宗みたいな感じではない。笑
子に面と向かって「親にも捨てられた」とか「誰からも愛される資格がない」なんて薄っぺらい煽り吐かないよ。
あんまり赤裸々に書くと該当する家庭への無配慮になる可能性があるので割愛しますが、制作陣の周りにそういうサンプルがいなくて、想像の範囲内のステレオタイプを描いたのかなぁって感じて醒めてしまって、、、
撫子は芳宗のこと怖いって描写してたけど全然。小物すぎて拍子抜けしたしイライラした。
その長々とした小物ムーブ見てると、せっかく解像度高く魅力的に描かれたトラの不安定な人格に説得力なくなるから、もう喋らんと退場せぇと思った。笑

ただ、芳宗の薄っぺらさくらいでは現代エンドの人生みは失われないのでべつにいいんです。笑





理一郎√や円√は途中で中途BAD突っ込んだりしたし、理一郎√に至っては初めに壊れた世界エンドに入っていたのですが。

トラ√、一度も中途BAD入ることなく現代エンドに入りました。
つまりそれがわたしの人格の到達する運命だということだ。笑



やばいことになる確信はあった。こいつ絶対キングを手にかけるなって。もう心臓めちゃくちゃばっくばっく鳴ってて痛くて、呼吸が止まるかと思う無の感情の中テキスト読んでた。






……好きだったよ」






それまで別に一滴も泣いてなかったのに、この一言で地球ごと爆発したみたいに泣いた。止まらなかったし声を上げて泣いた。
なぜ泣いているのか、理由もよくわからないのに。脳が感情を峻別するより早く、とにかく体中の水分が土石流のように押し寄せ涙となって出ていこうとしていて、涙を排出する体の機能が追いついてなかった。今までにない不思議な感覚だったな・・・。



この一言だけで人生決まりました。優勝です。



撫子は、トラが狂っちゃった?って思ったみたいだけど。これ、撫子が帰還を選んだからトラが壊れちゃったとか、狂っちゃったとか、病んじゃったとか、そういうわけじゃないと思っている。
まぁ、制作陣も狂ったものとして作ってるかもしれないですが。笑

キングを始末すれば時の停滞は戻る、それがわかったから正面から最短経路で突っ込んだだけ。
本来そこに、到底乗り越えられない高い高い倫理の壁があって、普通の人なら踏みとどまるんだけど、
トラにとって倫理の壁は低くて、撫子の未来や幸せの方が優先順位が高くて、
だからなんとも思わず躊躇いなく乗り越えた、ただそれだけの話かなって。
(キングを始末して時の停滞が戻る理屈とか、鷹斗の存在自体が消える理屈とか、撫子が事故に遭わなくなる理屈とか、よくわからなかったけど、、、まぁバタフライエフェクト的な何かかなたぶん)

2020年のトラの中に、撫子と一緒にいる未来なんて発想あったのかな。元々なかったんじゃないかとさえ思う。もしかしたら、帰りたいか?って聞いた時点で、この子は2010年に帰る、自分との未来はないってほぼわかってて聞いていたのかもしれない。
だから、そこにはただ、撫子の未来と幸せのために淡々と障害を取り除くって発想があっただけで、それ以外の迷いや葛藤なんて最初から存在していなかったと思っている。



誇張抜きであの一言から5分くらい進められずただわんわん泣いたし、その後何とか自我を取り戻して進めたら、あのモノローグの余韻でエンディング突入するの人類が為しうる所業じゃなさすぎて、再び身体機能が破壊された(わたしの好みの極みという意味です)。



まどか√がめちゃくちゃ刺さったのは、
大きな運命を俯瞰的にみたときに最善の選択をして清算するって文脈が大好きなのと、
それでも、2010年のまどかに、2020年のまどかの残滓を見出して、時空が違っても、年齢が違ってもまどかはまどかなんだ、わたしはどの時空のどの年齢になっても変わらないこのまどかの本質を好きになったんだっていうのが痛いほど刺さってきたからで、、、
CZは、2020年の相手と築いた絆の残滓を2010年の相手に見出すのが尊いんだ、って掴んだような気がしていたのに。
トラ√、わたしの中で2020年のトラが唯一無二になってしまった。2010年のトラをもう愛せない。2010年のトラに2020年のトラと築いた絆の残滓を見出すのがCZなのにね。ごめんね。

ぶっちゃけると、
2020年になっても撫子は2010年の寅之助と付き合っていなくて、何か大切なものを忘れてしまった気がするという喪失感だけをずっとずっと抱え続けて生きていく、その消えない喪失感こそが、あのときあのトラと築いた絆が確かに存在したことの証、、、みたいなエピローグだったらガチ絶頂だった。
そういう文脈が好きな自分はマジョリティとちょっとずれているという自覚はあるし、このエピローグ実現させたらトラ推しが人権を剝奪されたと発狂するだろうとわかっている、他攻略対象とのバランス考えても、商業的にあり得んだろうことはわかっているけど、、、。笑

というわけで、わたしの中ではエンディング突入までがトラ√で完結し、エピローグの記憶は消えました。笑
エピローグで、2020年トラの残したものを感じ取っている余韻とか結構好きだけどね。やっぱ別の人だと思っちゃうな2010年のトラに失礼だな申し訳ないなと思ってしまうので。

他エンドの回収もしていないし、しばらくおまけコンテンツも見ないかもしれない。このまま完結させて他の要素を入れないで余韻に浸っていたい、、、
落ち着いたら見るかもしれませんが。笑







誰にだって、誰かの中に自分の存在を残したいって欲求があるじゃん?

あの一言で、2010年に戻ったわたしの思考や感情のすべては2020年トラに奪われ、
心には塞がることのない穴が開き、
その存在が鮮烈に刻みつけられて永遠になった。
あのトラとは二度と会えない。二度と会うことはない。だからこそもう誰もこの永遠になったトラを超えられない。

トラがそこまで意識していたのかはわからないけど、なんとなく、無意識にそうできるってわかってて言ったのかもしれないと思った。じゃないとわざわざあれ言う意味ないもん。

おまえ、、、ようこんな一言残してくれたな、ずっとストレートには言わなかったくせに、もう二度と会わないことが確定した最後にわざわざあえてこれを言うのか、そうやって二度と誰にもどうにもできない方法で存在を刻みつけていくそれがおまえのやり方か、、、と思いました。

そりゃ、わたしが帰ると決めたのが先だからね、その後のトラが何やったってわたしに何か言う資格はないんだけどさ、、、

でもその一言はさ、ずるいじゃん。

最後の最後に「あんたのすべては俺のもの」をこんなふうに実現するんですね。

完敗です。トラ√2010年のわたしは一生誰とも結ばれず、この一言によって鮮烈に永遠に刻み込まれた喪失感をあなたと結ばれた確かな証として胸に抱き、生きていきます。


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