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誕生日プレゼント?

全体公開 1553文字
2022-08-15 00:15:43
Posted by @uk_plus_



 「月光~」
「どうした」

夕飯を終えたリビングで、彼女がゆったりと越知の名前を呼んだ。それに応えるように問えば、彼女は越知が座っていたソファの隣へ腰を下ろした。

「誕生日プレゼント何がいい?」
「誕生日、プレゼント?」

それは唐突な質問だった。それに越知は質問の意図が見えず誰のだと返答する。

「やだなぁ月光のだよ」
俺の?」

そこでようやく自分自身が近々誕生日を迎えることを思い出した越知は、ああと力無く声を漏らした。

「自分の誕生日忘れるって、相当じゃない?」
「さして興味ないのでな」
「嘘だぁ」

越知がしらっとそう言えば、彼女はくすくすと笑って越知の肩をひとつ叩く。
 実際越知は誕生日というものに興味が薄かった。興味があったのは小さな頃までで、その頃は蕎麦打ち道具を買い与えられる機会だったためだ。
 
 「で、何がいい?」

キラキラとした彼女の瞳が越知に迫る。そう言われて越知は腕を組んでうんと考えた。けれど思い浮かぶことがなく

ないな」

越知はそう答えるしかなかった。どう考えてみても自分の中に興味のあるものが思いつかなかったのだ。しかしそんな答えは許されるはずもなく、ええ!と声を上げた彼女は身を更に乗り出して越知に迫った。

「絶対になにかあるでしょ!興味のあるもの!なんでもいいよ!」

そう言われてもと首を掻く越知の目にひとつの光景が飛び込む。それは越知に迫ってくる彼女の瞳と、綺麗な首筋だった。

ひとつだけ、あるな」
「え!?なになに?」

紅潮した頬でまた迫ってくる彼女を見てから、越知はにじりと寄って彼女のすぐ目の前で言った。

「お前だ」
「えっ」

越知の顔面間近で驚きの声が響いた。その表情は困惑しているようで、彼女は目をきょろきょろさせてから自分の顔を指さした。

「わ、私?」
「そうだ」
「ででもだだだって」
「なんでもいいんだろう?」
「そ、そうだけどぅあっ」

もごもごと口ごもり未だに状況を飲み込めていない彼女の耳に、越知はひとつ口付けて今度はもっと近くで聞いてみせる。

「だめなのか?」

驚いた表情の彼女はそのまま硬直しており、越知の言葉が耳に入っていないようだった。うんともすんとも言わない彼女の耳元に越知は唇を寄せて、今一度言った。

「お前がいい」

その言葉は彼女の耳に届いただろうか。それを確かめぬ間に越知は彼女を押し倒し、首筋に顔を埋める。そしてぺろりとひとつ首元を舐めた。するとすぐ近くから可愛らしい声が漏れた。越知が顔を上げて彼女の顔を見やると、先ほど以上に頬を赤くして瞳を潤ませていた。

だめか?」
「い、いいけど」

もう一度聞くと、今度は肯定の返事が返ってきた。それに越知はひとつ頷いて、彼女をひょいと軽々抱き上げた。いきなり抱き上げられたことで彼女は驚きの声を上げたが、越知はお構いなしにリビングを後にする。

「ど、どこ行くの!?」
「寝室だ」
「嘘ぉ!?」

嘘を言ってどうすると言いながら彼女を運ぶ越知は至って冷静だ。軽々抱いたまま器用に寝室のドアを開いて、そして越知はベッドに彼女を座らせた。

「ありがたく貰うとしよう、誕生日プレゼントを」

それから彼女がぐったりするまで越知が求めたのはまた別の話だ。

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「い、今じゃないとだめ、かな!?」
「だめだ」


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