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にせものの運命

全体公開 1 5 9198文字
2022-08-25 22:38:19

自主練用お題に沿って書いたものでした

Posted by @hdictt

「あれ、五条さんいないんですか」
 放課後、担任からの届け物をしに七海が二年生の教室をたずねると、そこには机が三つ、座っているのは夏油と家入だけだった。「任務ですか? いつもの」二級術師の五条は単独での任務で学校を不在にしていることも多い。その光景にもそろそろ慣れてきた七海は、何の気なしに聞いた。
「あー……悟は、ええと」
「実家。七海あんた、何も聞かされてないの?」
 意外そうに家入が言ったのを、夏油が視線で制したのが気になった。七海は、はい、と素直に応えながら教室に上がり、預かったプリントを二人に渡して、ついでなんで聞いていいですか、と足を止めた。
「五条さんに聞いても話してくれないので」
 灰原を先に帰しておいてよかったな、と思った。長くなるかもしれない。夏油と家入は気まずそうに顔を見合わせ、内容によるけど、と夏油が苦笑いした。
「五条さんの実家って、なんなんですか?」
 御三家ってなんなんですか? 呪術界においてどう特別なんですか? 六眼って、無下限呪術って、それを同時に持って生まれたことの意味って? 結局、あの人は、自由なんですか?
 七海は五条の分の椅子に勝手に座って、先輩二人に相対した。
 夏油は「私が答えるのは悟を裏切るようで申し訳ないんだけど」と両手の指を何度も組み替えながら、家入は「私だって教科書の上のことしか答えらんないよ。でも図書館には通ったから、そこに書いてあることは教えてあげる」とたばこをふかしながら、長い話を聞かせてくれた。「いまの七海にはそれを聞く権利があると思うから」とふたりは異口同音に言った。
 話が終わったあと、差しこむ夕日の濃くなった教室で、七海はぼうっとしていた。夏油も家入も帰ってしまった。かろうじて、礼だけは言えたと思う。しばらくしたら私も寮に戻ります、だから先に、と言って帰ってもらった覚えがある。
 大変なひとに好かれてしまった、と思った。
 めんどくさいけど、どうしようもないくらい憧れる先輩、の一人に過ぎなかった五条から向けられた好意に応えて、七海と五条は付き合うことになった。付き合うと言ったって、べつに何かが劇的に変わったわけではなかった。相変わらず合同授業では容赦なく放り投げられるし、実戦でも弱っちいだのへたくそだの罵られる。寮への帰り道がたまたま二人だけだったら、手を繋いでみたりとか、部屋の行き来が頻繁になったりとか、する。それ以上のことはまだ、距離を測りかねている。でもそれが、七海には思いのほか心地よかった。だから続けている関係だ。
 でも、夏油と家入から聞かされた話から想像するに、五条はそんなふうにふらふらと人付き合いをしていていい人間ではない。テレビドラマや小説でも読んでいるみたいな気分だが、たぶん五条は、『家』が決めた行動範囲の中で、『家』が決めた交友関係を築き、『家』が決めた女性と結婚をして、『家』が求める子どもを授かる、そういう人生を歩まなければならない人間らしい。「高専に来たのはそれから抜け出したかったんじゃない。御三家って、わざわざ学校通う必要ないからね、本来」とは家入の言だった。
 週末を過ぎて、明くる月曜日の授業には五条の姿があった。午後の呪術実習、先週とはペアを組み替えて、と担任が言うので、七海は五条と組むことになる。灰原は夏油と、家入は外部の医師と課外授業だ。
 休園日のテーマパークで、吹き溜まりのように発生している呪いを片っ端から祓って、それ自体はどうということもない実習だったのだが、補助監督が運転してくれている行き来の車内での振る舞いに、七海は困った。行きは資料に目を通していればよかったからまだ助かったけれど、帰りはそうはいかない。五条のいない間に、五条自身のことについて他人の口から暴き出すような形で話を聞いてしまった後ろめたさを、七海はもどかしい思いで抱えていた。
……オマエ、なんかあった?」
 後部座席に隣同士で座っている五条が、ふと、サングラスをずらして振り向いた。視線を合わせないのもおかしいので、七海は同じように振り向いて、いえ、ととっさに応えたあと、そんな自分に嫌悪感がして、ごめんなさい、と吐き出した。両手は膝の上の武器ケースの上で拳の形に握りしめていた。
「え、なに、食堂の俺の買い置き勝手に食った?」
「いえそれは、ていうか、食堂に私物置くのやめましょうよ」
「えーじゃあなんだろ、あ、さっき祓い損なったの俺がサポートしてやったやつ?」
「あれはちゃんと五条さんに任せますって、そういう流れだったじゃないですか」
 なんだよそんな殊勝なこと言う奴じゃねえじゃん、と五条は笑う。
 七海は先日の夏油と家入とのやりとりを心底後悔しているというのに、人の気も知らないで、と七海の決まり悪さは次第に反発心に入れ替わりそうになっていた。
 補助監督が聞いているこの車内で、どこまで立ち入った話をすべきかも、迷いの種だった。
……五条さん、週末出かけてたじゃないですか」
「あー? ああ、まあね」
「いつもの任務かなと思って、夏油さんと家入さんに聞いたんです。そしたら、何かはぐらかされたから、聞いてしまいました。……アナタがなぜ特別なのかっていうこと」
 七海の座席から、運転席の補助監督の肩がこわばるのが見えた。やはり呪術界ではセンシティブな話題なのだ、と遅れて実感した。どうやっても五条悟という人間の在り方は、かれの周囲の呪術界に慣れ親しんだ人間にとっては、「特別」の響きに畏怖や、あるいは崇敬に近い感情がこもるらしい。七海にはフィクションの世界の話のように思えてしょうがないのだが、補助監督の反応を見ると間違いないみたいだった。
……いいんですか、私なんかと遊んでいて」
 付き合っていて、と言っても問題はなかったかもしれない。友人づきあい、の意味に聞こえる範囲のことにしか、補助監督には聞こえないはずだ。実際はそうではないのだから、言葉を選んだ七海自身が一番そのことに敏感になっているのかもしれなかった。
「遊んで?」
「高専でうろうろしてていいような立場じゃないって聞きました」
「まあ別に、うろうろしてるって訳じゃねーけど、ね、こうして仕事はしてるわけだし」
 二級術師、という肩書きとそれに与えられる任務が、五条の学生生活を担保しているということだろうか。
 だったらなおさら、と七海は拳を握りしめる。呪術師としての仕事以外に時間を割いている場合ではないのでは? 七海の頭にもたげた疑問は、しかし口に出されることはなかった。だってそれでは、五条に呪術師としての人生しかない、と七海の口から突きつけるようで、あんまりだと思った。
 それ以上七海は五条を問い詰めることができなくて、車内には沈黙が下りる。
 寮の前で車を降り、補助監督が車を運転して去るなり、七海は五条に腕を取られた。そのまま五条が寮に向かって歩き出すので、七海は引っ張られるようにしてついていく。なんなんですか、と聞かなくても、車内での会話の続きを求められていることは分かった。だから黙って追いかけて歩くしかない。
 それで、と有無を言わさず五条の部屋に連れて行かれた。
「傑と硝子に何を聞かされたって? まあおおかた予想はつくけど、なに、先輩にもずけずけ言い返してくる七海クンが黙っちゃうほどショックなことだった?」
 とん、と肩を軽く押されて七海はベッドに座らせられる。一瞬、自失する。その間に五条は造り付けの小型冷蔵庫からペットボトル飲料を一つ二つと手にとって、片方を七海に投げてよこした。それを受け取って、七海はようやくハッとする。
「マジでどうしたオマエ、らしくねーな」
「五条さんの実家、って、御三家って」
 ベッドに腰かけた格好の七海の前の床に、五条はしゃがみこみ、うん、と見上げてくる。
「特別な家柄で、その中でも五条さんの術式……というか、組み合わせが特別なんだって聞きました、術式と目と。百何十年に一度生まれるかどうかだって。高専も五条さんが無理言って通ってるんだって……今日みたいに、呪術師として任務をするから通わせてもらえてる、ってことですか?」
「何を確認したいのかわかんねえな」
……私を好きになってる場合じゃないんじゃないですか?」
 五条は一度まばたきすると、持っていたペットボトルのキャップを外し床に放り投げ、そのまま中身を半分ほど煽った。ペットボトルを床に置くのが見える。あ、こぼれる、と七海は思った。五条がサングラスを外し、それも床に雑に置かれた。
 五条がベッドの縁に手のひらをかけて、伸び上がるように腰を上げた。そのまま七海は、みぞおちに五条の額が当たるのを感じながら、抱きしめられるように押し倒された。
 七海の身体が、五条の使っている布団に沈む。学生用の、どの部屋も似たり寄ったりの安いベッドで、でも、五条が普段寝起きしていると思うと、七海はたまらない気持ちになる。
 腹のあたりで、五条の髪がくしゃくしゃと制服越しに擦りつけられる。
「だから、あの……こういうことを、していていい立場では、ないのでは」
「じゃあオマエは」
 七海は押し倒されてやり場のない両手を、五条の背中にまわすべきかどうか迷った。迷っているうちに、五条はその姿勢のままもぞもぞと喋り始めてしまう。
「俺がべつに七海のことなんか好きじゃないって言ったら、はいそうですかって、俺の言う通りになってくれるわけ?」
……そ、れは……
 七海は言葉に詰まる。五条に触れようとしていた腕を、自分の額に被せて、考え込んだ。
 大変な人に好かれてしまったと思った。
 そうじゃない。
 大変な人を好きになってしまった。七海は、こんな形で五条への好意の大きさを自覚するとは思っていなかった。
 「好きなんかじゃなかった」「元に戻ろう」抱きしめられたときの感触も、キスの味も、忘れて、ただの先輩と後輩になんて、戻れるわけがなかった。七海のほうが忘れられるわけがなかった。だからほしかった言葉は、「家なんて関係ない」という五条の断言で、「七海にはそんなことができるの?」という、試練みたいなものではなかった。
 そう思うと、喉の奥が熱くなった。言葉を返そうとして口を開くけれど、なにも出てこない。息を吸う。息を吐く。普段なにげなくやっているはずの動作が難しい。息をするよりも、我慢するほうに集中していないと、涙がこぼれそうだった。
「なんか言って、七海……、えっ」
 五条がもぞもぞと顔を上げて、七海の顔を覗き込んでくる気配がした。七海はとっさにもう片方の腕も使って顔を隠す。「嫌です、見ないで」振り絞った声が震えていた。
「ごめん、俺、間違えた、意地悪なこと言った」
「ちが……
「ごめんって。泣くなよ」
「泣いてな……ぅ、ぐ」
 五条の手が七海の腕を掴む。顔を隠している腕を、暴こうとする。七海は抵抗した。こんな顔見られてたまるかと思った。泣いてない、けど、泣きそうだった。呪術高専に入学して、やっと手に入れた環境――それまで七海には当然に見えていて、他人には理解してもらえなかった「呪い」について、ごく普通にコミュニケーションが取れる。その中で見つけた、「特別」な一人が、七海自身が思っている「特別」とは別の意味で、世界にとって「特別」な人間だった。その事実に、たぶん、七海は耐えられなかったのだと思う。だって七海個人と世界なら、世界のほうが優先されるはずだから。七海が好ましいと思った五条悟は、そういう男だったから。
 七海は、私なんかと遊んでいていいんですか、ではなく、ずっと私のそばにいてくれるんですよね、という確認を本当はしたかったのだ。五条もたいがい人のことをはぐらかすほうだが、七海は自分自身の言いたいことでさえ言い訳をして気づかない振りをしていたのだから、五条のことを笑えない。
 七海の腕を掴んでいた五条の手からふと力が抜け、代わりに、隣に長身が寝転ぶ気配がする。
「七海ー……
 だめだ、と七海は思った。横から見られたら、こめかみに涙が伝ったあとが見られてしまう。慌てて制服の袖で拭う。
……そーだよ、高専なんか行かなくていいって、家のやつらには言われたよ」
 五条の声音がすとんと低くなる。七海は呼吸を整えようと腹に力を込めながら、聞き逃さないように集中した。車内での問いかけに、五条は応えてくれようとしている。
「でも別に、俺だって家にがんじがらめだってわけじゃない。ガキの頃からそのへんふらふらしてたし。逆にこう、ガキが一人でふらふらしてても平気なのが俺っていうか……じゃーどこで何しようが俺の勝手じゃんっつって、高専に来たわけ。実際、五条の家で教えてもらえるのは五条の家のことだけだし。御三家が呪術師のすべてでもねーだろ」
 目が特別ってんならいろんなもん見たほうが勉強になるじゃん、とあっさりと五条は言った。
「経験値積んだほうが強くなるってんなら俺は迷わずそっちを選ぶまでよ。で、案の定ってーか予想外にってーか、高専にきたおかげで傑や硝子みたいな、御三家にいないような呪術師と友だちになれたし、……七海オマエだってさあ」
 五条が語りかけてくれるにつれて、七海が顔を覆い隠した腕はゆるんでいった。その隙間から、五条の指先が、七海の前髪の毛先をくすぐっていく。
「オマエだって俺が見つけて、選んだ、一人なんだけど」
 オマエだって特別なんだけど、と語尾を上げて続ける五条の声は、少し、ふてくされているようにも聞こえた。七海は思わず息を吐いて笑ってしまう。
「あ、笑った?」
 五条の言う「七海が特別」も、七海が思う「五条が特別」も、呪術界にとっての「五条悟は特別」の重さに比べたらきっと戯言のようなものなんだろう。でも、と七海は横目に五条の顔をのぞき見る。
「っふふ、いえ、自分がバカだったなというのと、五条さんがその、必死になってくれるのが、うれしくて」
 七海が笑うと、五条はやっと緊張から解放されたようにため息をついた。それから、五条の長い手足が七海の身体にまとわりついてくる。
「あんま考えんなよ、大丈夫だから」
 七海は形ばかり五条の拘束に抵抗しながら、そうやってじゃれ合うのも何度目かの気安さで笑みがこぼれるのを抑えられなかった。
「大丈夫だから。運命だから、俺が高専に通って、オマエが一年あとに入ってきて、一緒に訓練して。呪術師になるのが、運命だから」
 そういうふうにできてんの、と五条は七海の耳元でささやく。くすぐったくて、七海は肩を震わせた。
 五条の言う運命が、十代に特有の一時的な、軽々しいものだとは七海だって分かっている。たとえ五条が、いつもの軽薄さをしまいこんで、本気で言ってくれているのだとしても、どんなに言葉を尽くしても、今口に乗せられる「運命」なんてたかが若さと青さを帯びた頼りのないものでしかない。
 分かっている。でもその「運命」に乗っかってみたいと思うほどには、七海だってただの十代の少年だった。
 七海が高専を卒業して四年が過ぎた。
 四年ぶりに高専の敷地の土を踏み、現われた五条が、「ほら」と笑うまで、七海の学生生活は塗りつぶしたように真っ黒だった。
「運命だったでしょ」
……?」
「あ、覚えてないって顔だねソレは」
 一途だったのは僕だけか~と演技がかった仕草で五条は嘆いた。それから、高専を介して呪術師の仕事をするための事務手続きへ案内してくれる。七海にとってすぐ後輩にあたる伊地知が、補助監督として高専に残っていると聞いて顔を見ておきたかったが、かれは任務に出ているらしい。
 ほかの顔見知り――学長の夜蛾や、医師として高専に残った家入も七海の復帰をそれぞれの言葉で喜んでくれた。七海は自分勝手な理由で戻ってきたつもりでいたので、居心地がいいばかりではなかったが、それでも歓迎されているのはうれしい。
 帰りに声かけてよね、と五条は言って姿を消した。この四年教員として本当に高専に勤めていたというのは少し信じがたかったが、どうやら授業や訓練や、たしかに学生たちに指導をしているらしい。それから七海は、学長や顔見知りの教員と挨拶をして、書類に記入をしたり、判子を押したり、こちらの身分証を提出したりを何度か繰り返した。
 五条に言われたとおり帰りがけに声をかけると、僕も上がるから飯行こ、と有無を言わさず連れ出される。校舎を、高専の敷地を出て、校門前で「タクシー呼んであるから」と立ち止まる。
「都心に出るんですか」
「せっかくだからね。オマエの家の近所でいいよ、帰りが楽でしょ」
「帰りに難儀するほど飲んでもいいということですか?」
……そゆとこ変わんないね~」
 個人経営の居酒屋の個室で、四年分を取り戻すように、食べて、飲んで、話して、笑った。メロンソーダで酔うはずがないだろうに、五条は声をあげて、目じりに涙をにじませるほど笑った。七海は日本酒をいくつか試飲するように舐めながら、控えめに唇に笑みを浮かべて、時折皮肉を言ったけれど、それにも五条がうれしそうに笑うので、たぶん正解だった。七海にとっても話題を選ぶストレスのない状態で学生時代の話ができるのは本当に久しぶりだったし、五条の担当している学生たちの話を聞くのも親近感を感じられて好ましかった。
 お会計、と店員を呼んで待っているあいだに、七海はまだ猪口の底に残っている最後の一口を舐めた。それから、五条さん、と呼びかける。
「これで、運命になりましたか」
「うん? 七海酔ってる?」
 酔ってません、とはっきり否定してから、七海は五条の両眼を正面から見つめた。サングラス越しの、それでも十代の頃なんどか目にしたあの青の輝きを、いまでも覚えている。
「私は逃げてしまったので。五条さんが運命と呼んでくれたのに、呪術師としてアナタの隣に立つことを、諦めた……でもこれで、アナタにとっての運命が、ひとつ増えたのなら、私は満足です」
 言いたいことをすべて言い終えると、七海は軽く息をついた。五条は柄ではないだろうに呆然として、それから慌てたようにテーブルに身を乗り出す。
「覚えてたの……いや、ていうか、えっ、そんな理由で」
「そんな理由で戻ってくるほど子どもじみていません」
 七海は冷めた目で即座に否定する。それから、でも、と続けた。
「でも、私が戻ることで五条さんがそう思ってくれたらいいな、と思ったのは事実です」
 一般社会に出戻って七海はつくづく痛感した。一般人がいかに呪いについて無知かということ、かれらが無知でいられるということは、その影に呪術師の奮闘があるということを、その両方の立場に立った七海はきっと呪術界のだれよりも痛感した。その要となる御三家、上層部、どちらにも食い込める人間が五条悟なら、たしかに五条悟は、大衆のための――日本国民のための、ある種の犠牲なのだということも痛感した。
 五条さんの運命は、この日本の、この呪術界のためのものですよ、とは、思っても言えなかった。
 言えなかった代わりに、自分が覚えていようと七海は決めた。にせものでも、かりそめでもいい、五条が選んだ運命を、運命とかれが呼ぶものを、ひとつひとつただの事実に変えていこう。七海にできる範囲で。
「お……オマエさあ~~ほんっと、もう……
「ほら、お会計ですよ、先輩」
「いややっぱかっわいくねえ~~」
 五条が店員に向かって財布を開いている背中を、七海は笑って眺めていた。日本全土を背負っているこの背中が、かつては自分一人のものだった時もある。この先もそういう日がきたら、それはそれで、運命のひとつということにしてしまおうと思っていた。


どうやって書いたかの話!
・とりあえず読者を引き留める力を書き出さないといけないので、読者の好奇心をそそるような、疑問⇔答えの応酬や、具体的な場面の描写から始める。
・お題に沿った練習物なので、「にせもの」「運命」から「運命ってだいたい悲劇だよな」「一回悲劇に落としておいて、いーややっぱり運命だよ」って上げれば読後感が気持ちいな。これでいこう。

くらいしか短編のときは考えてません!あとはそれをどこに挿入するか、どのくらいの頻度で繰り返すか、全体のバランスを見つつ散らしていく感じ。ケーキのデコレーションみたいな。こっちにこの色の花飾りのせたからこっちにこの模様つけようイチゴはこの順番でのせてみたいな。

長編のときはこれをもっと大きい塊で考える。「最終的にテンションが上向けばいいから、そこまでに2回くらい落としたいな、落とすためのエピソードはこれだな」とか「テーマは『傷跡』『告白』だから、序盤で1回やって、そこで暗めに落としておいて、最後は七海がなんで五条を好きなのかの『告白』でさわやかに終わらせたろ」とか。
そのくらいの大きい石を瓶に詰めたところで、あいたところに小石(小エピソード、夏油や灰原や家入との関係とか、過去のことばっか振り返らせておいてからの『反転』として虎杖や伏黒との関係も入れておくとか)を配置していきます。
だからテーマ(というか書きたい場面)が決まったら、自動的に「じゃあ読後感を上げる(あるいは落とす)ためにこのへんにこのエピソード入れとくか」って決まる感じ。

悩み!
・導入部分って難しくないですか!?どうしても設定の説明になっちゃう、がそれは避けたい。人物の会話や行動で設定を説明するテクニックがほしい
ーーーーー※追記※-----
・感情をそのまま「悲しい」「嬉しい」「愛しい」と書くのではなく、身体表現や情景描写で書きたいんですが、①それがうまく伝わっているのか分からない。②感情を仕草や身体反応、見えているもので表現するパターンが少ないので増やしたい。
ーーーーーここまで-----
・ほんとは長編(本)を読んでほしい欲がある。どうやったらTwitterやpixivの短編を見て「ふーん本もあるのか、読んでみるか」ってなりますか? これは特に読み専の人の意見が聞きたい……
どんな短編がアップされてたら長編もってなる? 逆にそこは関係しない? いろんなコメントがほしいです。

3ページ目は「どうやって書いたか」の詳細版です。画像です。文字の説明わかりづれーよ!て方へ、矢印ひっぱったりして説明してます。



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