@EYK_adzuraki
「罪責」
蓋で覆われた水路が厭だ。道路脇の側溝とか、ちょっとした暗渠とか。コンクリート蓋の隙間、グレーチングの格子の向こう。見たくもないのにどうしても目をやってしまう。すると必ず、目が合うのだ。
良く知っている目だ。たるんだ瞼に、ばらばらと生えた睫毛。陰気に充血して濁った白目。濃い茶色の虹彩の真中に、底なしの真っ黒な瞳孔が、ぎょっとするほど大きく散大している。
場所も時間も選ばない。そこに水路があって、ぼくが目をやれば、その目は必ずこっちを見ている。
嘲笑うでも憤るでも嘆くでもなく、ただ、見ている。
良く、知っている目だ。あの目。最後まで見開かれていた目。
砕いてトイレから少しずつ流したはずの、あいつの。
ああ。
(299字/タイトル・スペース除く)