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「罪責」

全体公開 4 337文字
2022-09-11 03:00:56

Twitter300字SS投稿用/第九十回「流れる」

「罪責」

 蓋で覆われた水路が厭だ。道路脇の側溝とか、ちょっとした暗渠とか。コンクリート蓋の隙間、グレーチングの格子の向こう。見たくもないのにどうしても目をやってしまう。すると必ず、目が合うのだ。
 良く知っている目だ。たるんだ瞼に、ばらばらと生えた睫毛。陰気に充血して濁った白目。濃い茶色の虹彩の真中に、底なしの真っ黒な瞳孔が、ぎょっとするほど大きく散大している。
 場所も時間も選ばない。そこに水路があって、ぼくが目をやれば、その目は必ずこっちを見ている。
 嘲笑うでも憤るでも嘆くでもなく、ただ、見ている。
 良く、知っている目だ。あの目。最後まで見開かれていた目。
 砕いてトイレから少しずつ流したはずの、あいつの。
 ああ。
(299字/タイトル・スペース除く)


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