@hamad_tentative
「勇侠青春謳」のカバーの話をしよう
はじめに
この度はページにアクセスいただきありがとうございます。
これは「あんさんぶるスターズ!!」での「勇侠青春謳」カバーがTLで大絶賛される中、どうしてもその流れに乗れなかった人間の残すメモ書きです。
「勇侠青春謳」原曲については、カバー予定発表時から聴き慣らしたものです。
所々直接的な(人のことを考えているようでない)表現が残っていますが、ブラウザバックしていただくか(推奨します)、最悪な人間の愚かな妄言ということにしていただければ幸いです。
原曲を聴いてみよう
メロディとボーカル(宝野アリカ氏)
* 低音は少ないが高音方向に広い音域が設定されており、地声に近い音域がメインながらも要所要所に鋭く繊細な高音ボーカルが聴ける
* 音階は少し不安定(恐らく意図的なもの)。
* ボーカルのピッチも所々で低めに当たっているように聴こえるが、ロングトーンの後半で合っていく
* メロディー全体を一本に繋げていくような歌い方が使われている。「発音の仕切り直し」を明確にしている箇所は目立たない
* リズムに合わせて強く跳ねる(弾む)歌い方ではないので少し一本調子に近いが、発音が明瞭で、尚且つサビ前などで音量を上げて次のフレーズが映えるようにしてあり、最低限のメリハリは付けてある
伴奏(バッキング)を聴いてみよう(片倉三起也氏)
* 中〜高音域に配置されたシンセ弦が印象的。分厚くドス黒い方向ではなく、非常に軽やか。繊細なボーカルを華やかに支える。
* 弦の音は全体通して止まらない。ボーカルと同じく、曲全体の要素を繋いでいる
* 低音域はタイトで爽やかなバスキックがリズムを刻む。裏拍はクローズハイハットか。少なくとも「シャーン!」というような音はない
* ポイント的にパーカッションやディストーションがかかってそうなシンセが差さっている。おそらくだがこの要素がアクセントとして機能し曲を盛り上げている…と思う(自信はない)
* サビ直前のうねるような弦の3連符*2(伝わってほしい)がサビへの勢いをつけると共に、楽曲の纏う妖艶さを補強している
あんスタカバー版を聴こう
備考:今回のカバーの背景について
「あんさんぶるスターズ!!」の2022年の企画として、作中のアイドルユニット2組ずつが一般の楽曲をカバーし音源化している。そのうち、
紅月(あかつき):和風イメージのユニット。アプリ配信開始より実装、過去に和楽器バンド等のアーティストから楽曲提供を受けてきた。3人編成。
Valkyrie(ゔぁるきりー):西洋、アンティーク、人形のイメージを纏うユニット。第一次キャラクター追加に伴い登場。その際にALI PROJECTより楽曲提供を受けている(「魅惑劇」がそれに当たる。1stアルバム収録の「聖少年遊戯」も)。現在は2人編成。
の2組、計5名が今回のカバー要員。
キーワードは和風と西洋のバランス。
メロディーとボーカル(カバー版)
* キーは変更なし(原キー)
* 原曲ボーカルの「1オクターブ下」に全ボーカルを配置
* 複数ボーカルのためパート割りが存在
* 上に挙げた「一本調子系」の歌い方を継承しようとした形跡が目立つ
* しかし、5人もよってたかってハネも何もない歌い方をしたらボヤける
* 発声に余裕が少なく、音量上げなどの、原曲が仕込んでいた「メリハリをつけるための要素」を引き継げていない
* 「音を繋げる」ということを「発音の芯を抜く」ことと解釈した?
* 高音域に到達できたのが2人しかいないように聴こえる。ハモリとは別に、ただ半音下がっている声が見せ場的ポイントで出てしまっている
* 厳格に裏声を封印しているが、かといって地声では頭打ち感を強く感じる。裏声が超レアな世界。
* 2番以降は少し持ち直す
* ここまで書いたが要するにヤバいということ
伴奏(バッキング)を聴いてみよう(アレンジ:Arte Refact 山本恭平氏)
* 「和」のイメージを前面に出したアレンジ。尺八と琴が印象的
* 尺八の音は重めだが、音のバランスは原曲に近いので少しボワつく
* 低音域にいる音が多いものの、飛び抜けて低いものがないので「低音が多いのにスカスカ」に聴こえる
* 煌びやかな音色のシンセ弦も一応後ろに入っているが、聞き取るのは容易ではなく、MVの時点ではほぼない。再生機材をスマホから変えると聞こえやすくなる(バランスの問題)
* 結果的に和楽器系の音が強く目立つ
* ボーカルも低いので中低音域が混雑しているが、リズムを刻む低音の主張が薄く、締まりが悪くなってしまっている
* ベースギター系の音が低音部にずっと配置されており、曲のもたつきに拍車をかけている
* その中で、本来前に置くのがセオリーと思われるボーカルの音量が抑えられ、異様に引っ込んで聴こえる
* サビにスイープ音(「シュウウウ!」という感じの電子音。EDMで多用される)を置いたのは誰?和でも洋でもない
* サビ直前の弦の3連符が、弦を後ろに追いやり和楽器で補った弊害で一音一音の繋がりを失っており、盛り上がるきっかけが消えている
* 「和風アレンジであることそのもの」しかプラスに捉えることができない。もう少しなんとかならんか?
個人的終着点
キャラの声を維持した上で歌うことの困難さを、私は確かに知らない。しかし、仮にも音楽が絡むキャラクターコンテンツとして進む道を選んだのなら、その辺りを考慮したディレクションや選曲が当然ではないのか?音だけを考えると、本当に何を以て良しとしたのか見えてこず、やり場のない切なさだけがある。
今回のカバーソング企画は「今までネタ曲だったのに突然マトモになっていいのか?」という思いもあったが、MVのカット割がいい感じだったり、パート分けが良かったりしても、新規を呼びたいのならば、音がイカれていてはやはり論外であると思うのだ。
ここの公式は謝ること、改善をすることを頑なに拒むので、期待するだけ無駄なのも分かってはいる。それでもほんの少しの期待で、曲ぐらいはまともなディレクションのもとで作られてほしいと思う。